『Handbags and Gladrags』 V2 Records Japan V2CP-118 2002年01月09日発売 1,575(tax in) 1 Handbags and Gladrags 2 First Time Ever I Saw Your Face 3 How 4 Caravan holiday (live acoustic version) 5 Nice To Be Out (live acoustic version)
| 『Just Enough Education to Perform』 V2 Records Japan V2CI-100 2001年3月28日発売 ¥2,520(tax in) 1 Vegas Two Times 2 Lying In The Sun 3 Mr. Writer 4 Step On My Old Size Nines 5 Have A Nice Day 6 Nice To Be Out 7 Watch Them Fly Sundays 8 Everyday I Think Of Money 9 Maybe 10 Caravan Holiday 11 Rooftop 12 Maritim Belle Vue In Kiel
| | 2001年春にリリースされたアルバム『Just Enough Education To Perform』が最新シングル「Handbags And Gladrags」のヒットの影響でなんと8ヵ月ぶりに全英1位に返り咲いたばかりのStereophonics。そんな、タイミングとしては絶好の状態での来日となった今回のStereophonicsの日本公演。<FUJI ROCK FESTIVAL'01>のステージでは、Patti SmithやNeil Youngといった伝説の強豪の間で挟まれたためにバンド自体が緊張してしまい、どこか堅さの取れないパフォーマンスとなってしまったが、今回の日本公演はその絶対的な人気と実力で自信をつけての来日なだけに期待も高まった。しかし、好事魔多し。 ドラマーのStuart Cableが身内の忌引きにより来日が不可能となってしまったのだ。そこで急遽サポート・ドラマーを補充しての来日となったが、ライヴの方はそうしたハプニングをもろともしない屈強なものとなったが、気になる点は別のところにあった。
オープニングは最新アルバムからの1stシングル、お馴染みの「Mr.Writer」からだった。ステージにはこれまでの3ピース編成に加えて、フジの時と同じく、サポート・ギタリストとキーボーディストを加えた5人編成。このアルバムの前までは、3人というロックの基本編成としては最大限に表現可能なパワフルでソウルフルなロックンロールをアピールしていたが、今はさすがにそれだけでは表現しきれないものが増えて来たのか、音色の可能性を増す事によって、より深みのある味わい深い、ちょっと大人になったロックンロールを聴かせられるようになってきた。ヴォーカルのKelly Jonesの歌い上げも堂に入ったものとなり、その声のしゃがれぶりは進行し、聴く者の心により深く刺さるものとなってきた。これはつい先だってRod Stewartの名曲でもある「Handbags and Gladrags」をカヴァーした影響もあるのかもしれない。
まあ、全体のトーンとしては最新アルバムで聴かせた、ミディアム~スローを主体とした、土臭いアメリカン・トラッド・ロックへの傾倒をアピールした、アコースティックな感覚も大幅に導入した渋みに満ちたものとなっていた。ただ、初期の躍動感に満ちた豪快なギター・オリエンティッドなロックンロール・ソングが予想以上に少なかったのは正直意外だった。今回のアルバムが落ち着いた作風となったのは、単にガッツ溢れたロックンロールが既に多かったからバランスをとってそうした曲を増やしたもので、ライヴでは従来と変わらずにロックもスローもやるのだろう。僕はずっとそう思い込んで来ていたが、事実はどうやら違ったようだ。
彼らは本格的に“大人のロック”へと脱皮したがっているようだ。そしてそうしたものをやる上では、今の時点から合格点のライヴではある。しかし、まだ20代半ばの若い彼らが何故にそうした成熟に向かわねばならないのか。若さと疾走感溢れたロックンロールも充分魅力なバンドだけにそこが惜しくもある。 文●沢田太陽(02/01/30) | |