愛葉:(笑)普段からそういうの着てるの? 立花ハジメ(以下、立花):いや、そんなこともないけど……。楳図かずお(笑)。 愛葉:ハジメさん、そういう服はどこで買うの? 立花:これはミスターフリーダム。その頃は水玉で有名なミスターフリーダムと、T・レックスのマーク・ボランなんかが着てたアルカズーラと、ストーンズなんかが着てたグラニーテイクスアトリップ、これがいわゆるロンドン・ポップで、ロンドン御三家のブランド。 愛葉:え、日本で買えるの? 立花:いやいや、'73年当時のロンドンで。 愛葉:あ、私2才だ。 立花:でも僕なんかにはロンドン・ポップってついこの間の話なんだけど、みんなデヴィッド・ボウイとか知ってても、ロンドンポップとかは知らないでしょう? 愛葉:知らない。 立花:だけど、それって「『2001年(宇宙の旅)』観たことない」って言われるみたいなもんだよね。 愛葉:2001年は知ってるよ。 立花:いや、僕にしたらそれと同じくらい驚くよね。あの当時、'73年のロンドンはデヴィッド・ボウイが現役で。その後で、ヴィヴィアン・ウェストウッドが出てきたわけで……。この調子でいいんでしょ? 愛葉:うん、いつもこんな感じなの。でも、ワタシ意外とハジメさんのことは知らないんだよね。 立花:でも今回はどういう風のふきまわしか、愛葉ちゃんのコーナーに呼ばれたんだけど……。違うの、僕ね、入り方間違えちゃったの。 愛葉:は? 立花:最初の入り方間違えちゃって。っていうか、最初会ったのは、昔僕が原宿にデザイン事務所のスペースを持ってて、そこにお父さんと一緒に愛葉ちゃんが来て…あれは愛葉ちゃん高校生ぐらいの時かな? 愛葉:中学生。 立花:中学生! そんな前なんだ。愛葉ちゃんお父さんの後ろにそーっと隠れてて「娘の愛葉です」って感じで紹介されたんだけど、なんかおとなしい内気な人なんだな、ってその時は思ってて……。 愛葉:その時はたまたまお父さんと原宿で買い物してて、なんだかわからないまま連れて行かれたから! 立花:いや、だからそういうイメージがずっとあって、その次が、クアトロのイベントで、愛葉ちゃんフライングV持って、かなりぶっとめの音でガーンってやってたから「あら? 全然イメージ違うじゃんっ」て。シーガル観たのその時が初めてだったんだけど、すごい良かったからライヴ終わった後に、愛葉ちゃんに話しかけて……。で、そこで入り方間違えちゃったの(笑)。 愛葉ちゃんに「すごい良かったよ。覚えてる? 前にお父さんと一緒に会ったことあるよね?」って言ったら「お父さんなんか関係ないもん! アタシはアタシよ」みたいな……。 愛葉:(笑)そんな事言ったっけ? 立花:ホントホント。お父さんから入ったのが気に入らなかったんだね、きっと。 愛葉:そう、その時レーベルともめたりいろいろあって『業界嫌い一点張り』(笑)みたいな時期で、業界と名の付く人から全員離れた時期だったから、お父さんのこともイヤだったし(笑)。 立花:そう、完全にそんな感じよ。でもとにかくシーガルはすごい良くって、その後『スワローアップ』はかなり愛聴してたよ。それでその後、四谷P3でアプリケーション・ツアー('95年に行なわれた立花ハジメ第三回個展アプリケーション・ツアーのこと)やった時に、週末のイベントに出てもらったんだけど、その時もまた入り方間違えちゃったのよ(笑)。俺とにかく『スワローアップ』をずーっと聴いてるわけよ。だから「『スワローアップ』の曲が聴きたいな。今日それやらないの?」って聞いたら「もっといっぱい新しいのあんのよ! いつまでもそんなのやってないわよ!」だって(笑)。また怒られちゃったよって(笑)。 愛葉:(笑)そんな事言ったっけ? 立花:でも最初のフライングVで、メタリカみたいな音で……。アレは良かったけどね。 愛葉:メタリカみたい? そんな格好よかったかな? 立花:そうだよ、ぶっちょい感じで。 愛葉:Vあんまり好きじゃなかった、ルックス以外は。 立花:そうなんだ、似合ってたけどね。もうVとか持ってないの? 愛葉:持ってるけど、今はタルボ以外使ってないの。Vはね、慣れなかった。 立花:あの時は……。Vにメッシュのサンダル履いてたのかな? 愛葉:金のだ。それ7年前に買って今でも履いてる。 立花:ああいうのってどこで売ってるの? 愛葉:あれチンチラっていうヤンキーメーカーの。3000円ぐらいで売ってたやつ。 立花:(笑)あれ、いいよね。 愛葉:(笑)自分でも、なんで当時からピンヒール好きだったのか謎で。今はみんな履いてるけど……。 立花:みんな? バンドやってる子はスニーカーとか多いんじゃない? そこでフライングVでサンダル履いて……。あれやって似合う子なかなかいないよ。 愛葉:ありがとうございます(笑) 立花:今ってツアー中なの? 愛葉:そう、昨日名古屋から帰ってきたの。 立花:去年バッファローのツアーで何曲かサックス吹いたんだけど、それ以来ライヴはやってないなぁ、でもライヴはいいよね。シーガルは、最近のビデオは観たけどCDは聴いてないから。 愛葉:えぇっ!『NO! NO! NO!』聴いてないんだ! 立花:あ、僕ね、一昨年完全に引きこもってたのよ、'98年。だから一昨年から去年の中頃までシーガル聴いてなかったっていうより音楽全然聴いてないから。 愛葉:じゃあ今度まとめてどっさり渡しますよ。ハジメさんも今プロモーション中なんでしょ? 立花:今この『The end』っていうi モードのサイトを立ちあげて、僕と横尾忠則さん、藤原ヒロシ、浅田彰、山口小夜子がとりあえずのスタートメンバーなんだけど、そこでボクはThe endっていうニュー・アルバムをそこで配信してるの。MP3みたいに音源じゃなくて、MIDIデータを配信してて、みんな携帯端末自体がそれを再生する機能持ってるでしょ? そういうニュー・アルバムなの。基本的に電子音楽と、あとミニマルっていうかアンビエントとか。 愛葉&ナオ:すごいね、これ。 立花:それで、毎週1曲出してこれを死ぬまでやるって企画なの。 ナオ:死ぬまでやるんだ! 立花:まぁ何とかなるような気がするけど。もうヘタしたら5年か10年だから。そんなの若い時に決めたって現実的じゃないけどさ、この年になるともう全然現実的だよ。ちょうどいいくらいのライフワーク。 愛葉:……。 立花:でも月に4曲だから……。っていっても「ピー」とかさ。 愛葉:「ピーとかさ」って、自分で言ってる(笑) 立花:いや、ミニマルでいいじゃん、別に手抜いてるわけじゃなくてさ。で月に4曲だから年間約50曲か。ていうことは10年で500曲だ……。 ナオ:これヘタすると死ぬまでに今まで作った曲の倍ぐらいになるんじゃない(笑)。 立花:だって今までちゃんと発表した曲って、結局LPは10枚ぐらいだから…今まで200曲くらいしか書いてないって事だからね。 愛葉:私、今までにもう120曲ぐらい書いてる。 ナオ:調べた人が私たちじゃないからよく解らないんだけど。 立花:それ多くない? 『The end』は、12 inchのピクチャーコードは出すの。裏は横尾さんのデザインで、そういうのだったらボクも欲しいから。それでDJ用にかなりパーツとかも入れたり、そういうのを作ろうと思ってる。どうですか? ニュー・アルバムは? 愛葉:え? それはハジメさんが死ぬまで解らない。 立花:え? 死ぬまでに評価してよ!(笑)1年ぐらい経ったらでいいからさ。 愛葉:だって死ぬまでっていうんだったら最後の曲聴くまで評価できない。もしかしたら死ぬ日も作ってるかも知れないし……。 立花:うーん、確かに死なないとねー。 愛葉:わかんない。でも私はそういうふうにしかできない。途中で余計な事言うのもね……。 一同:(笑) |