| 少年ナイフ、チボ・マット、ロリータ18号…。“日本のガールズ・バンドは強い”というか、海外で評価を受けているバンドがたくさんいる。そんな彼女たちの共通項は、“日本人っぽいキュートさ”と、それとは裏腹な“ライヴ・パフォーマンスの凄さ”である。
うーん、女の私から見て本当に頼もしい限りだが、最近、ライヴが“ かなりかっこいい♪”と評判なガールズ・バンドと言えば、SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER(以下、シーガル)。
シーガルは今までものすごいライヴの数をこなし、今年の初めにはライヴ盤『No! No! No! Star 2000』をリリース。楽曲は英詞を多く用い、2000年には台湾でライヴも行ない、海外での評判も上々だ。そんなシーガルは夏を間近に控え、先頃リリースしたアルバム『FUTURE OR NO FUTURE』を引っさげてのツアーを敢行!
「シーガルのライヴを1度観ると虜になる」という噂を確かめるべく、ツアー最終日、渋谷クアトロに潜入した。
ステージ左にはさくらんぼがプリントされているTシャツを着てサングラスをかけた怪しいマネキンがぽつり。そしてお客さんはみんなちょっとおしゃれでキュートな女の子が多いが、なんだか海外のアーティストを観にきたように力強い熱気とパワーがうずまいている。クアトロがなんだかNYのガレイジ系ライヴハウスになったようだ。
そして登場したアイハ(Vo)とナオ(B)の格好はちょっときわどいミニ・スカートにシャツ、ネクタイ。CDのジャケをみても思うことだが、本当にシーガルはヴィジュアルでもその雰囲気を創り出し、“シーガルらしさ”を狙っている。
<FUTURE OR NO FUTRE 2001> 2001/06/17 @Shibuya Club Quattro 1: Futuristic 2: No Telephone 3: Fuck It Up 4: Lullaby 5: Sentimental Journey 6: L'amour 7: Think It Over 8: Mo'Mo'Gimi Mo' 9: Evolution 10: Let's Dance 11: Chik Chik A. A. 12: Rhythm Voice 13: Neat Neat Boy 14: It's Brand New 15: Count Zero
アンコール 1: Six In The Morning 2: Pink Soda 3: Down To Mexico
| パワー全快「Futuristic」で幕をあけると、そのまま一気に「Fuck It Up And Get Hurt」まで疾走感溢れるギター音とリズムに身体を委ねてあっという間に3曲を演奏。
そこで「ワインが足りない。持ってきて!」とアイハのお姉さん口調でMCが入る。ボトル・ワインごと豪快に口へと持っていく。観客の存在的熱気と相反して演奏のあまりの迫力に圧倒されて静かめなオーディエンスに、アイハは「もっと盛り上がろうよ!」と観客をガツンと煽る。
そしてナオに話しかけて振ってみたが、マイペースなナはチューニング中。
「ナオ、相変わらず人の話、聞いてないよねー」そんなボケと突っ込みのふたり。 対照的なイメーが映るふたりだが曲が始まると不思議と呼吸はぴたり。その辺はさすが9年目に突入したベテラン・バンドらしく貫禄とふたりのあうんの呼吸を感じさせる。
ちょっとセクシーな大人の曲「Lullaby」をアイハらしくしっとりと歌い、後のMCで「真冬で脱いだんだから買てよね~身体はってんだから…」と言い放った、シングル曲「Sentimental Journey」を続いて演奏。切ない叫びをぐぅ~んと胸に突き刺すサウンドで見事に表現。女心を表現したガールズ・バンドらしい曲だと改めて実感。おなじみのブルージーな曲「L'amor」も日本語詞で披露。やはり歌詞の意味がわかる曲は五感に響く。
▲アイハ | そして後半戦の1発目はゲスでBaffalo Daughterの大野由美子を迎え、アルバムでも1曲目に収録されている「Evolution」を演奏。大野のMOOGでポップさをプラスした仕上がりに。そうして次の「Let's Dance」でもMOOGが入ったが、その後はまたギター、ベース、ドラムを軸としたシーガル節をかなりテンポよく披露して4曲一気にとばす。 そして本編の最後を締めくくったのはおなじみの曲「Count Zero」。ズンズンと旅をする感覚で駆け抜けるように締めくくった。
しかし、もちろんこれで終わるはずなく、アンコール。再びステージに現われたアイハに観客から「アイハ、かっこいい~~」と歓声。しかし、「かっこいいはもう飽きた。かわいいじゃなきゃ嫌。」の一言。 でもワインボトルを持ち上げて飲んでいる姿はやはりかっこいい。
「すごく飲んでるようでしょ。でもこれ麦茶だよ。しかも甘い麦茶。甘いのって許せないよねー」とお茶目な中身を暴露。次々とMCで盛り上がっていき、自分でまきを入れるくらい、甘い麦茶で完全にいっちゃってました。
そんなMCのテンションとはうって変わって「Six In The Morning」の演奏。朝焼けが目に浮かぶような壮大なストリングスに哀愁漂うメロディをアイハの物悲しい歌声でしっかり歌う。
この終盤でやっぱり思った。
本物志向の迫力あるサウンドと歌声+お茶の間でテレビをみるような感覚のMC。あまりにもギャップが激しいが、それがシーガルらしさ。長年、演ってきたからこそできる重厚なショウ。演奏を身体で体感した楽しみと満足感、そして「あはははー」と声をあげて笑えてしまうひと時はCDでは味わえないシーガル・ライヴの魅力だろう。
その後、シーガルの昔の曲を2曲演奏してライヴは幕を閉じ、私は帰り道、「またシーガルのライヴが観たい!」と素直に思った。 |
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