【ライブレポート】G-FREAK FACTORY、ツアー<HAZE>開幕「ここを選ばせてもらったのには理由があります」
2024年9月4日にリリースした4年ぶりのアルバム『HAZE』に込めた、さまざまな想いを全国各地に届けるための長い長い<HAZE TOUR 2024-2025>が10月19日、千葉LOOKから始まった。
◆G-FREAK FACTORY 画像
5月17日の東京・Zepp DiverCityファイナルまで計36公演。「先を見ると、30何本残ってるんだけど、先のことは見ないようにする」とこの日、G-FREAK FACTORYの茂木洋晃(Vo)は笑いながら言ったが、それはつまりファイナルはおろか、それこそ次の公演のことさえも考えず、とにかく1本1本、渾身のライブをしていこうということなのだと思う。
ファイナル以外は対バン形式で開催する<HAZE TOUR 2024-2025>。各地、日頃ライブハウスで鎬を削っている盟友たちが対バンにラインナップされているが、今回、G-FREAK FACTORYが初日の対バンに迎えたのは、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSだ。
「ア・バ・レ・ロ!」という雄叫びを合図にLOW IQ 01(Vo, B)、渡邉忍(G)、DAZEこと山崎聖之(Dr)の3人は代表曲の数々を次々と投下。すし詰めになった観客をぐらんぐらん揺らしながら、決して広いとは言えないフロアにモッシュサークルまで出現させるほど盛り上げ、この日の主役であるG-FREAK FACTORYに最高の舞台を提供した。
「ツアーの初日(にふさわしい)バンドだよね!」とその熱演を称えた茂木はこの日、曲間のMCで、LOW IQ 01とのエピソードの数々も披露。たぶん、各地で明かされるに違いない対バンとのエピソードもまた、ツアーの見どころ(と言うか聞きどころか)のひとつなのだと思うのだが、原田季征(G)と茂木が観客として参加した<AIR JAM>で、当時すでにSUPER STUPIDのメンバーとして活躍していたLOW IQ 01に握手を求めたことと、その時、茂木が感じたLOW IQ 01の第一印象は、こぼれ話としては傑作の部類に入るものだろう。それを明かせるのは、今現在の両者の関係性があるからこそ。ちょっと得した気分になった。
それはさておき、G-FREAK FACTORYのライブはいつも通り原田、吉橋“yossy”伸之(B)、岩本“leo”怜王(Dr)、サポートの多畠幸良(Key)によるジャムセッションからスタート。4人の演奏が徐々に熱を上げていったところに茂木が加わり、「G-FREAK FACTORY始めます!」と声を上げ、原田がリフをかき鳴らすと、観客がステージに押し寄せ、すし詰めのフロアが揺れ始める。しょっぱなから、“Yeah Oh! Yeah Oh!”と観客がバンドの演奏に応え、シンガロングの声を上げたと言ったら、ファンなら何の曲かわかると思うが、そこから1時間20分。「残念ながらこの暗い時代に明るいものを見つけにいこう」と茂木が言つつG-FREAK FACTORYが演奏したのは、現在の彼らのライブに欠かせない代表曲に加え、新境地もアピールしつつ、彼ららしさに磨きを掛けた『HAZE』からの新曲の数々だ。
血気盛んな観客の気持ちをさらに煽る「WHO UNCONTROL」と、語るような歌をじっくりと聴かせるアンセミックなバラードの「HARVEST」。ともに『HAZE』からセットリストの前半戦と後半戦の重要な位置に置いたその2曲の振り幅からも、『HAZE』がどんなアルバムなのかが窺えるだろう。
その新曲も含め、ほぼ全曲で観客がシンガロングするアンセミックな光景は、G-FREAK FACTORYのライブならでは。中でも、吉橋がオクターブで刻むリズムに観客が手拍子とシンガロングを重ね、演奏になだれこんだ中盤の「Too oLD To KNoW」は、その最たるもの。「おまえらがボーカルだ! そんなもんか!? 聞かせろ。声をくれないか? 生きてる証ってその声を!」と叫んだ茂木に応え、観客全員が“Oh!!!!Oh!!!!”と声を上げた瞬間、そこにいる全員が確かに一つになった。その時、僕らは決して一人じゃない、と不意に思ったのは、もしかしたら高揚感から生まれた錯覚かもしれない。だとしてもだ、この日、THE RHYTHM MAKERSの渡邉忍が「どれだけの人がG-FREAK FACTORYに救われたんだろう?」と言ったように、そんな錯覚をさせる高揚感や一体感に救われたという人は少なくないはず。それもまた、G-FREAK FACTORYのライブの魅力。
「ツアーの初日は、どうしても千葉LOOKでやりたかった。ここを選ばせてもらったのには理由があります。ライブが終わる頃にはわかるでしょう」
そんなふうに言った茂木は、多くのライブハウスがコロナ禍でボコボコになっても千葉LOOKがひとつも媚びなかったことや、千葉LOOKの店長から勧められ、挑んだ日比谷野音公演がバンドの転機になったことも語る。
「ダディ・ダーリン」「Fire」と繋げ、ややエモーショナルになりすぎたかもしれないフロアを、バンドは「Unscramble」から再び揺らしていく。「らしくあれと」では、岩本が打ち鳴らすドラムに合わせ、観客が“Oi!Oi!Oi!”と威勢のいい声を上げる。
本編の最後を飾ったのは、「アメイロ」だ。「一緒に歌えるか?」と言ってから歌い始めた茂木の歌声に観客がいきなり重ねたシンガロングが、前回のツアーから披露してきたこの叙情ナンバーがすっかり観客に浸透していることを物語る。バラードとも言える曲調は、茂木の歌、バンドの演奏が放ち始める熱とともにアンセムと言えるものに変わっていった。原田がメズマライジングなソロを閃かせる。
「大先輩のいっちゃんに挑んだ最高の初日になりました!」と茂木が声を上げ、バンドは本編を締めくくったが、もちろん、それで終わりじゃない。
「あと3年で30周年。ぼんやり何かやりたいと思ってます」という茂木の言葉が観客を歓ばせてからのアンコールでは、前述の大先輩を半ば無理やりステージにひっぱり出して、一緒にNUKEY PIKESの「If You Love Something Set It Free」を1番だけ披露して、観客をさらに歓ばせるという対バンならではのサプライズも飛び出した。
「(千葉LOOKでツアーの初日を迎えたかった理由が)わかったでしょ? まちがいなくノレるんだよね。この距離とか、この熱とか、この顔ぶれとか。本当にバンドやっていてよかったと思えるのは、こういう場所だと思います」
茂木の、その言葉は千葉LOOKに対する賛辞であると同時に全国にあるライブハウスに対するものでもあるのだろう。長い長いツアーは始まったばかりだ。G-FREAK FACTORYはここからツアーファイナルまで、毎回こういうライブを繰り広げていくのだ。
取材・文◎山口智男
撮影◎Kazuya Kohsaka
■<G-FREAK FACTORY “HAZE” TOUR 2024-2025>
10月19日(土) 千葉・千葉LOOK
10月20日(日) 栃木・HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2
11月02日(土) 鹿児島・鹿児島CAPARVO HALL
11月03日(日) 福岡・小倉FUSE
11月16日(土) 兵庫・神戸太陽と虎
11月17日(日) 滋賀・滋賀B-FLAT
11月30日(土) 青森・弘前KEEP THE BEAT
12月01日(日) 秋田・秋田CLUB SWINDLE
12月07日(土) 三重・松坂M'AXA
12月08日(日) 岐阜・柳ヶ瀬ants
▼2025年
01月18日(土) 福岡・福岡BEAT STATION
01月19日(日) 広島・広島LIVE VANQUISH
01月25日(土) 宮城・仙台Rensa
01月26日(日) 山形・山形ミュージック昭和セッション
02月01日(土) 京都・KYOTO MUSE
02月02日(日) 石川・金沢AZ
02月08日(土) 静岡・静岡UMBER
02月09日(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
02月15日(土) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
02月16日(日) 宮城・石巻BLUE RESISTANCE
02月23日(日) 群馬・高崎芸術劇場 スタジオシアター
02月24日(月/祝) 群馬・高崎芸術劇場 スタジオシアター
03月02日(日) 福島・郡山Hip-Shot Japan
03月08日(土) 茨城・水戸LIGHT HOUSE
03月09日(日) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA
03月20日(木/祝) 北海道・函館club COCOA
03月22日(土) 北海道・札幌PENNY LANE24
03月23日(日) 北海道・苫小牧ELLCUBE
03月30日(日) 新潟・新潟LOTS
04月05日(土) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
04月06日(日) 香川・高松MONSTER
04月12日(土) 長野・長野CLUB JUNK BOX
04月13日(日) 山梨・甲府KAZOO HALL
04月19日(土) 山口・周南RISING HALL
04月20日(日) 岡山・岡山CRAZY MAMA KINGDOM
05月17日(土) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
▼チケット
前売り¥4,000 (税込 / ドリンク別)
※5/17東京公演のみワンマン
※他公演はゲストバンドあり
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