【舞台裏インタビュー】＜山人音楽祭2024＞ROTTENGRAFFTY、「ぶっちゃけ無双状態」

「＜山人音楽祭＞、散らかしに来たぞ！　ブッ跳び放て!!」

N∀OKI（Vo）の言葉を合図に巻き起こるクラウドサーフ、ダイブ、そしてサークルモッシュ。アリーナ会場をたちまちライブハウスへと変貌させるROTTENGRAFFTYとオーディエンス。それでも煽りに煽り続けるROTTENGRAFFTYだった。

「群馬のローカルヤンキー？　ローカルバンドの最高傑作、G-FREAK FACTORY？　ハ〜っ？　それは俺らのことやろ！　死ぬ気で掛かって来い!!」

ライブ中盤、そう叫んだのはNOBUYAだった。ROTTENGRAFFTYとG-FREAK FACTORY、生まれも育ちもスタイルも違うバンドではあるが、近い時期に結成し、互いに地元意識を持ちながら、全国のライブハウスで活動している。ライバルであり、仲間であり、そして盟友。ROTTENGRAFFTYが＜山人音楽祭 2024＞で放つ音や言葉は、ラウドで荒々しいところも含め、大事な仲間や仲間たちを愛するヤツらへ、最高に心がこもったものでもあった。

そんなステージを終えたばかりのROTTENGRAFFTYから、N∀OKIとMASAHIKO（G）に話を訊いた。

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──ライブ中のMCで、最初に出会ったときは圧倒され、今では兄弟のような間柄、とG-FREAK FACTORYの茂木さんとの関係についてN∀OKIさんは話していました。知り合ったのはどういうきっかけからですか？

N∀OKI：京都のWEEPIESっていうライブハウスにG-FREAK FACTORYが来ていたんですよ。バンド名は知っていたけど、G-FREAK FACTORYが目当てじゃなくて、ツレの主催やったから観に行って。当時の茂木はドレッド・ロッカーズっていうか、すごい長いドレッドヘアーで。本質のラスタイズムを持っているヤツ。

──ファッション的にレゲエとかラスタを好んでいる感じではなくて？

N∀OKI：軽々しく採り入れている感じじゃなくて、G-FREAK FACTORYはマジでレゲエミュージックを愛している人らなんや、というのが伝わってきたし。熱さと気持ちも。偶然、G-FREAK FACTORYのライブを観た形ではあったけど、カッケーと。

──N∀OKIさんは音楽的にオープンマインドな考えを持っているから、そういうカッコいいバンドやミュージシャンを前にして、すぐに仲良くなったんですか？

N∀OKI：いや、そのときはしゃべれなくて。その後、俺らが群馬の前橋でライブしたとき、対バンしてたヤツがG-FREAK FACTORYと仲良くて、ギターの原田が観に来てくれていた。その次が、京都ミューズにG-FREAK FACTORYが来たとき、俺は観に行って、初めて話し掛けたんかな。それが23〜24年前。

──結成時期やキャリアも近いから、G-FREAK FACTORYとは腹を割って話すことも多かったですか？

N∀OKI：話しやすかったし、パンク、ラウド、メロディックだけじゃなくて、ちゃんとレゲエやらヒップホップやらブラックミュージックのことも話ができる相手やから。こんなに幅広く深く音楽を聴いている人らなんや、と思ったし。G-FREAK FACTORYは上京して活動しているバンドではないし、俺らも京都で根を張って活動していて、似ているところがあって。あと同じオムニバスアルバムの1曲目と2曲目に俺らとG-FREAK FACTORYが入っていたりとかもあった。その後も、いろんなことが重なっていったし。


──知り合った当時から意識としてはライバル、それとも仲間ですか？

N∀OKI：仲間意識。ライバル視はないかな。負けるか、みたいなのはなくて。「頼む」とG-FREAK FACTORYから言われたら、俺らは力を貸すし。お互いに切磋琢磨していこうみたいな。負けて悔しいみたいなのもないっすね。そりゃ、そうでしょう。G-FREAK FACTORYはイケていて当たり前って感じです。

──＜山人音楽祭＞は、もともと2012年に＜GUNMA ROCK FESTIVAL＞でスタートしたフェスです。ROTTENGRAFFTYは初期からレギュラーですよね？

N∀OKI：いや、確か2012年は出てへんかな。記念すべき1回目は俺らは出てないんですよ（笑）。2回目の2013年からはずーっと出てる。俺らの＜ポルノ超特急（現・響都超特急）＞には、G-FREAK FACTORYを呼んだり呼ばへんかったりしたのにな、ヒドいよな（笑）。

──“仲間意識”とさっきは言ってたはずなのに〜（笑）。

N∀OKI：いやいや（笑）。でもあるじゃないですか、予定調和みたいになってもな、というのが。こっちはいつも呼んでもらっていてありがたいけど。

──＜山人音楽祭＞は初期のころから雰囲気など変化もありますか？

N∀OKI：というより、自分らもフェスを主催しているから思うんやけど、うらやましい部分もあったりする。妙義ステージでフリースタイルMCバトルがあったり、アートな部分もあったり、ああいうのはめちゃうらやましい。

MASAHIKO：会場の周りとか街全体の雰囲気とかも、うらやましい。去年も思ったけど、この立地とか雰囲気はいいなって。

N∀OKI：ちゃんと若手バンドから中堅、同期、先輩も呼んでいるし、クラブアーティストも呼んでいるし。今年から復活した妙義ステージでは、ヒップホップのカルチャーであるフリースタイルMCバトルもやっているし、いろいろ目白押し。カルチャーやアートを底上げしているっちゅうのをビシビシ感じるし、お客さんがやっぱ楽しんでるしね。「これをずっと楽しみにしてる」っていうのが、お客さんから伝わってくる。

──しかも入場者の6割ぐらいが群馬県民らしいんですよ。

N∀OKI：そう、そうなんですよ。

MASAHIKO：フェスでそれは凄いことですよ。

N∀OKI：茂木は出馬したほうがいいっすよ。政界を目指したほうがいい（笑）。汚職にまみれた政治家たちを、茂木がブッ倒していってほしい。


──ROTTENGRAFFTYが＜山人音楽祭＞に出るとき、やっぱり気が引き締まるものですか？

N∀OKI：僕らは年末に＜響都超特急＞をやっていて、その3カ月前に＜山人音楽祭＞があるから、俺個人は、イベントとして盗めるところとか、こういうのはいいよなって見習うところとかありますよ。でも叶わないっすね。ケータリングも素晴らしいし、楽屋に出演バンドの名前入れた達磨が置いてあったり。

MASAHIKO：今回は日本酒まで楽屋に置いてありました。

N∀OKI：メンバー一人ずつの写真が入ったラベルで、群馬の名酒が。去年は、茂木の顔が入った日本酒やったんですよ（笑）。今年は出演バンドのメンバーそれぞれのマイラベルの日本酒。その心遣いが凄い。

MASAHIKO：僕らもたくさんのフェスに出てますけど、友達のバンドが主催するフェスって、とくに力が入りますよ、やっぱ。今日も力も気合いも入っていたし。

──今日のセットリストを組むのも、けっこう悩みました？

N∀OKI：基本はNOBUYAが考えていて、たまに意見することもあるけど、ほぼ信頼してる。今回は、当初はSEっぽいピアノを流してMCするってことになっていたけど、俺がMASAHIKOのアルペジオでMCしたいと。そっちのほうが気持ちが乗るから。G-FREAK FACTORYのフェスやし、やっぱ気持ち乗ってしゃべりたい。

MASAHIKO：今日はMCの時間も、普段のフェスよりも取るようにしたもんな。

N∀OKI：シリアスなことばっかじゃなく、笑いもちょっと入れたり。＜山人音楽祭＞に出続けているおかげで、群馬でG-FREAK FACTORY好きな人はROTTENGRAFFTYも好きやし、ROTTENGRAFFTY好きな人はG-FREAK FACTORYも好きで。お互いが思いやっているなってのは、すごい伝わってくる。俺らは京都のバンドやけど、高崎や前橋に来ると、地元に返ってきた感がある。

──第二の故郷？

N∀OKI：第二まではいかない（笑）。俺の中で、群馬＝G-FREAK FACTORY。決して赤城山とかではない（笑）。


──ところでROTTENGRAFFTYは2024年に結成25周年を迎え、10月6日には地元京都での大きなワンマン＜響都グラフティー＞が控えています。

N∀OKI：ライブはぶっちゃけ無双状態というか、仕上がってる感じがするんですよ。

MASAHIKO：去年からずっとライブやりまくっている状態なんで。いつもは自分ら主催のフェスをやっている会場で、ワンマンするっていうのがその＜響都グラフティー＞です。

N∀OKI：新しい試みもするんですけど、まだ観に行くのを迷っているなら、大至急、来てくれと。当日、京都パルスプラザに観に来て、当日に帰れる時間設定にしているんで。一泊せんでもライブは観れますよと……。いや、京都へ来たんやったら、一泊せえよって話やけど（笑）。絶賛、前売り発売中です。今のROTTENGRAFFTYが一番ええってのをちゃんと証明します。

──25周年を走り抜けた次へのヴィジョンも、すでに頭の中に浮かんでいますか？

N∀OKI：もちろん。自分らのヴィジョンで見えているもんはまだ形にはできていないから、そこに向かっていくだけです。

取材・文◎長谷川幸信
写真◎野村雄治
ライブ写真◎HayachiN