【ライブレポート】PIERROT×DIR EN GREYの“月戦争”「ピエラーも虜も関係ねえんだよ!」PIERROTワンマン公演開催も発表

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第二夜となった<- under the Red Moon ->。17時過ぎ、悲しい色合いの調べが流れ、スクリーンには様々な映像と共に文字が映し出された。“Bleed You are Alive”–––血を流せ、オマエは生きている。「The World of Mercy」に綴られた歌詩の一節だ。そしてステージに静かに登場したDIR EN GREYの5人。SEのムードをそのまま受け継ぎながら京のつぶやくような歌と共に始まったのは、もちろん「The World of Mercy」だ。人間が引き起こす恐怖を表現した、滅亡と新たな始まりの序曲である。DIR EN GREYの世界観を濃厚に表現した歌詩、京の感情的な歌、全てを飲み込むような重厚で表現力豊かなバンド・サウンドで、観る者全員を引き込んでいくDIR EN GREY。

「誰のために生きてんだ! 自分のために生きてんだろうが。掛かって来い!」

続けて「人間を被る」へ突入すると、京は強い口調で煽った。さらに曲が続くなか、「ピエラーも虜も関係ねえんだよ! ひとつになって掛かって来い!」など、衝動を炸裂させ続ける京がステージにいる。さらに曲ではクリーンからグロウルまで多種多様な歌いっぷりで、様々な感情も人格も具現化。また背中から血まみれの赤子を逆さに背負い、顔の左側が溶けて腐りかけたような皮膚、奥からのぞく骨など、恐ろしい格好でもある。観る側の耳も目も感情も奪い続けていく。



「クビ持ってこい!」

ライヴ後半、「Eddie」と共にそう叫んだ京。鋭い視線をフロア側に投げ、スラッシーに疾走するDIR EN GREY。強靭なバンドサウンドはファンを興奮させ続け、「詩踏み」では京に合わせてどでかい歌声もあがる。しかし「足んねえぞ。まだ、しっかりクビついてんだろ、オマエら」と京。「死ねー!」とシャウトしながら突入した「羅刹国」では、「バンドとの戦争じゃねえから。オマエらとの戦争なんだよ!」と煽りたてた。余力を残さぬ勢いで挑むファンと、豪快に攻め続けるDIR EN GREY。ラスト「秒「」深」では、業火のごとき光景が会場に広がった。

18時45分、ステージから何本ものスポットライトの光が天井まで伸び、スクリーンに映ったバンド名はPIERROT。SEに合わせてハンドクラップも起こり、メンバーの登場に歓声も湧き上がる。潤のアルペジオで始まったのは「HEAVEN」。一夜目の独裁者からは一変、キリトは白いフードを被り、スクリーンからは白い羽が舞い、温かいバラードでピエラーを優しく包み込んでいくPIERROTがステージにいる。続く「PSYCHEDELIC LOVER」では、笑顔もこぼしながらプレイするKOHTAや潤、フロアを埋めつくしたピエラーや虜に愛情溢れる視線を送るアイジやキリト、表情まで分からないものの音の一発ずつに感謝の気持ちを込めて叩くTAKEO。



“月戦争”などと言われながら、奇跡の2日間がこのライヴでもある。ライヴが始まったということは、奇跡が終わる時間は近づいている。全てを噛みしめるようにライヴする5人の姿は印象的だ。それはもちろんピエラーにとっても同じ。曲が続くなか、それぞれに合わせた振付けを寸分の狂いなく全員で決めながら、幸せな瞬間をとことん味わい尽くしていく。

「だんだんと虜とラーの見分けが付かなくなってきた。ひとつになっちゃうと、ものすごく気持ち良くなっちゃうから気を付けてください。闘ってください。そして最後に気持ち良くなりましょう」

キリトらしいMCからライヴは後半へ。ピエラーにとってキラーチューンばかりであり、2日目もステージでは演奏しながらKOHTAの横で歌ったり、アイジと顔を見合わせながら歌ったりするキリト。PIERROT解散後、ピエラーにとって何年も前の残像が頭の中を駆け巡るだけだったと思う。しかし現実は、美化された残像を軽く乗り越えていった。


そしてアンコールのことだ。「HUMAN GATE」を演奏後、キリトはこんなことを話した。「PIERROTとDIR EN GREYが、とことんやり合いました。とことんやり合って残った感情は、尊敬。そして感謝。かつてPIERROTにとってDIR EN GREYは絶対に倒さなきゃいけない強敵でした。…でも倒れなかった。そしてすごい時代を経て、かつての憎き強敵は、今では日本で一番、世界で一番、PIERROTをやめさせてくれない存在です。“こんなんでいいんですか?”って、かつてのライバルがいつまでもやめさせてくれません。そういうふうに言われたら、黙っていられないよね。だから来年2月8日、9日。PIERROT、ワンマンやります!」

大歓声をあげながら、嬉しさと興奮で泣き崩れるピエラー。静まらない歓声のなか、キリトはさらに言葉を続けた。

「DIR EN GREYに感謝! そして虜ちゃんたち、いてくれてありがとう。君たちがいてくれたから、俺たちは負けたくなくて、ここまで来ました。そして愛するピエラーのみなさん、待たせたね。あなたたちがいてくれたから、ここにいます」

ラスト「CHILD」を響かせるPIERROTの5人と、コーラスを大合唱するピエラー。幸せな高揚感ばかりが充満する会場だった。
 
2025年4月、今回の<ANDROGYNOS - THE FINAL WAR ->の二夜公演を収録したLIVE Blu-ray & DVD『ANDROGYNOS - THE FINAL WAR -』がリリースされることも決定している。

文◎長谷川幸信
写真◎宮脇進 / 山内洋枝 / 山下深礼

<ANDROGYNOS - THE FINAL WAR ->SET LIST

◉2024年10月11日(金)- under the Blue Moon -
[PIERROT]
M01 自主規制
M02 Adolf
M03 MAD SKY-鋼鉄の救世主
M04 ドラキュラ
M05 ENEMY
M06 脳内モルヒネ
M07 ゲルニカ
M08 パウダースノウ
M09 鬼と桜
M10 REBIRTHDAY
M11 CREATURE
M12 蜘蛛の意図
M13 HUMAN GATE
M14 Sepia

[DIR EN GREY]
M01 13
M02 人間を被る
M03 T.D.F.F.
M04 脈
M05 The Perfume of Sins
M06 The Devil In Me
M07 Ranunculus
M08 輪郭
M09 カムイ
M10 鬼眼
M11 Eddie
M12 鱗
M13 詩踏み
M14 羅刹国

[ENCORE]
SE G.D.S.
M15 朔-saku-
M16 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇


◉2024年10月12日(土) - under the Red Moon -
[DIR EN GREY]
M01 The World of Mercy
M02 人間を被る
M03 The Devil In Me
M04 T.D.F.F.
M05 凌辱の雨
M06 The Perfume of Sins
M07 THE BLOSSOMING BEELZEBUB
M08 Ranunculus
M09 脈
M10 Eddie
M11 詩踏み
M12 羅刹国
M13 秒「」深

[PIERROT]
M01 HEAVEN
M02 PSYCHEDELIC LOVER
M03 MAGNET HOLIC
M04 自主規制
M05 Adolf
M06 ENEMY
M07 脳内モルヒネ
M08 THE LAST CRY IN HADES
M09 鬼と桜
M10 ドラキュラ
M11 CREATURE
M12 蜘蛛の意図
M13 MAD SKY-鋼鉄の救世主

[ENCORE]
M14 HUMANGATE
M15 CHILD

PIERROT<END OF THE WORLD LINE>

日程:2025年2月8日(土)、2月9日(日)
会場:東京有明アリーナ
※詳細は後日発表
※PIERROT OFFICIAL FANCLUB「Arlequin」にて最速チケットFC先行あり

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