【インタビュー】shallm、1stフルアルバムが描いた魔法と暴動と止まらぬ戰い「心が動いた瞬間を逃さない」

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■整いすぎていないものに
■最近は特に惹かれています


──私がこのアルバムを聴いて感じたことは、主に2つありまして。ひとつは、liaさんは言いたいことがたくさんある人なんだなということ。ラスサビ後にDメロがある構成の曲がけっこうありますよね。例えば、デビュー曲の「センチメンタル☆ラッキーガール」は、私はラッキーだと言い聞かせながら恋に頑張る女の子の曲だけど、最後の最後に“もう意気地なし!”と始まるDメロがあって。

lia:そうですね。最後の最後で、自分自身に“もう、早くしなよ!”と言っているようなDメロですよね。私は元々人と話すのが得意じゃないので、歌うことで初めて、人と話せる感覚がありました。言いたいことが多いというのはその通りで、“もっと話したい” “まだ終わりたくない”という気持ちから、Dメロを追加してしまうのかなと思います。

──言いたいことが多い自分に、意外性はありましたか?

lia:ありましたね。自分は言いたいことがないから喋れないのかなと思っていたので、“ちゃんとあるじゃん!”と思いました。私、“歌詞が降ってくる”みたいなことはなくて、“よし、書くぞ”と決めて取り掛かるタイプなんですが、「G2G」を書いた時は“こんなに強気なことを考えている自分がいるんだ”と思って。驚いたし、面白いなとも思いました。



──「G2G」は、どのように生まれた曲だったんでしょうか?

lia:フェスに出させていただく機会が増えてきたので(2024年は<JAPAN JAM><METROCK>など大型フェスに出演)、ライブに向けて曲を作ろうと思いながら書いた曲です。神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」のライブ映像を観た時に、MCで「ここまで来いよ!」と言っているのを聞いて“いいな!”と思ったんです。ライブを観ている途中にそう言われたら、すごく燃えるじゃないですか。心の中で暴動が起きて、“そうだよ、こう生きるべきなんだよ!”と感じるというか。そこからインスピレーションを受けて、“自分も誰かの心を熱くさせたい”と思いながら歌詞を書きました。“君も同じ穴のムジナ?”と歌っていますけど、私自身、ステージの上のアーティストに憧れて夢を追ってきた身なので、同じような人がいたら、こっちに引き込みたいという気持ちがあるんです。

──あと、“歪んだギターで日常や自分自身を壊すんだ”というエネルギーをアルバム全体から感じました。liaさんが以前からバンドサウンドがお好きで、だからこそshallmはバンドプロジェクトを名乗っているわけですが、ご自身の中にあるロックサウンドを求める気持ちは、以前と比べて変化しましたか?

lia:いちリスナーとしての好みが変わってきたというか。最近は整った音源よりも、ライブに近い、生っぽい音源に惹かれるようになってきています。メジャーアーティストの音源は整っていて聴きやすいけれど、Eggs(インディーズバンドの音楽ストリーミングサービス)に載っているような曲には、また別の良さがあるというか。熱や勢いを感じて、心がグッとなるんですよ。ピッチとかも直したほうが綺麗だけど、直っていないからこその良さもあると思うんですよね。そういうふうに、“整いすぎていないもの”に最近は特に惹かれています。



──このアルバムも、1曲目の「脳内ディストーション」からギターがガンガン鳴っていますね。

lia:ふふふ。このギター、いいですよね。

──“世界の9割が理不尽でできていて/残りの1割はもう全部海になったのね”という歌い出しも強烈です。

lia:“1曲目は何にしようかな?”と結構悩んだんですよ。「脳内ディストーション」は歌っていても聴いていてもパワーを感じる曲なので、もしもshallmを知らない人が聴いたとしても、この曲に何かを感じて、最後まで聴いてくれるんじゃないかなと思って。アルバムの火付け役として、最初に持ってきました。

──サビ頭の“覚えてる!全部壊せディストーション!”というフレーズもいいですね。

lia:実際に起こった出来事に対して、瞬発的に怒っていた時に作った曲なんです。だけど何に怒っていたのか、もう忘れちゃいました。“覚えてる!”って歌ってるのに(笑)。


──“狙うんだ、そう頭を撃ち抜け”とも歌っています。

lia:そう書いたということは、誰かに対して、ものすごく怒っていたんでしょうね。だけど作っていくうちにだんだん落ち着いてきて、今はもう覚えていない。曲に怒りを吸い取ってもらったのかも。音楽ってすごいなと思いますね。

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