【舞台裏インタビュー】＜山人音楽祭2024＞Age Factory、「俺たちは俺たちのライブをしよう」

「俺たちにしかできないフロアにしたいです！」

ライブの序盤、榛名ステージを埋めた観客に向け清水英介（Vo, G）が言ったとおり、Age Factoryはオルタナロックを中心に2ビートのパンクナンバー「Shadow」やダンサブルなポストパンクナンバー「CLOSE EYE」も交え、血気盛んな観客にダイブもさせながら、最後はシンガロング必至のアンセム「SONGS」を観客とともに歌いながら、その気持ちを鷲掴みにしたのだった。

本番直後の3人にインタビュー。G-FREAK FACTORYとのなれそめを振り返りながら、彼らが考える山人音楽祭の魅力を尋ねたところ、彼らが根っこに持っているロックバンドならではの向こう意気を知ることができた。

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──先輩を含め、バンドマンがたくさん見に来ていましたね。

清水英介：確かに今日はたくさんいましたね。

──そんな中、演奏してみていかがでしたか？

清水：始まる前に（The BONEZ）のJESSEさんがおもしろい話をしてくれたおかげか、いいテンションでできました。今日は後ろまでめいっぱいお客さんがいて、いろいろなバンドが演奏した後の雰囲気もありつつ、そこも新鮮でした。あと、＜山人＞のお客さんがいま、自分たちがやりたい勢いを素直に受け取ってくれてるように思えて、それが今日のテンションとも辻褄があってやりやすかったです。


──西口さんと増子さんもライブの感想を聞かせてください。

増子央人（Dr, Cho） ：＜山人＞は何回目だっけ？　

──Age Factoryは4回目です。

増子：最初からこの雰囲気が大好きなんですけど、たぶんそれはG-FREAK FACTORYが群馬に住みながら活動しているところに、奈良県在住でやってる僕らがシンパシーを感じているからだと思うんですよ。最近はファミリー層が来てたり、お茶の間で見るような人たちが出てたりするフェスも多いけど、＜山人＞はロックフェスっていう感じがするところもいいですね。そこにも僕らは近しいものを感じるし、だからライブはやりやすいし、あったいかし、これからも続けてほしいです。

清水：今日はそれを感じました。

西口直人（B, Cho） ：そうですね。群馬に来ると、なんだか奈良に帰ってきたのかなって気持ちになることが多くて。G-FREAKはもちろん尊敬する大先輩なんですけど、ちょっと地元の兄ちゃんみたいだって最初からずっと感じてて。で、向こうも俺たちのことを可愛がってくれて。毎回出る時には“どのバンドにも負けないぜ！”みたいな気持ちもありつつ、トリのG-FREAKに繋げようみたいな気持ちもけっこう強めにあるところが、＜山人＞の特長かも。自然とそういう気持ちになるんですよね。しかも、みんなそうなんだろうなと思える。バンド主催のフェスって、それが良さですよね。

清水：直人が言ったようにトリのG-FREAKにバトンを繋いでいくみたいな感じがほんまにあるよ。

西口：それを群馬っていう場所でずっとやり続けてる凄さも感じるし、そこでやらしてもらってるっていう責任感もあるし、うれしさもあるし、みたいなステージになったなと思います。


──そんなG-FREAK FACTORYとのなれそめは？

西口：最初は僕らが高崎のclub FLEEZEでライブしたとき、G-FREAKがそこのスタジオに入ってたから、自分達の音源を持って挨拶にいったんですよ。いま思い返すと、それってダルいじゃないですか。地元でスタジオに入っているとき、初対面のバンドが挨拶に来たら空気的にピリピリしてもおかしくないと思うんですけど、すげえあったかい感じで迎えてくれたんですよ。

清水：その後、ツアーに呼んでもらったり、俺達のイベントに出てもらったり、意外にG-FREAKとはけっこうやってるんですよ。

西口：初めて会った時も音源を渡したら、たぶん俺たちのことはまだ知らなかったと思うんですけど、聞きますって言ってくれて。すぐに連絡をくれたんですよ。

──そうなんだ。

西口：たぶん人伝に電話番号を聞いて、ギターの原田（季征）さんが連絡をくれて、「音源めっちゃよかったよ」ってわざわざ。

清水：どんだけいい人なんやろ。

──その後、ライブを重ねるうちに仲良くなって、＜山人＞にも呼ばれるようになった、と。ところで今日、清水さんはライブ中に「俺たちにしかできないフロアにしたい」とおっしゃっていましたが、それはG-FREAKのことも＜山人＞のこともリスペクトしている一方で、易々とその色には染まらないぞという向こう意気の表れだったんじゃないかと思ったのですが。

清水：それが茂木（洋晃）さんが俺らを誘ってくれた理由というふうに受け取ったので、俺たちは迎合したり、流れを気にしたりせずに自分たちの世界観みたいなものでやりたかったんですよ。自分らのステージの前に茂木さんとクロマニヨンズを見にいったら、「ヒロトさんって空気を作るタイプのボーカリストだと思うけど、俺は英介に同じことを感じてる」って言ってくれたんですよ。それを受け取った上で、じゃあ、俺たちは俺たちのライブをしようって思いました。自分たちのフロアにすることが今日＜山人＞で自分たちにできる最大のことだったんです。

──Age Factoryにしかできないライブになっていたと思います。中でも清水さんがギターを持たずに歌った「CLOSE EYE」が良かったです。

清水：今日、G-FREAKのベースの吉橋（“yossy” 伸之）さんが「CLOSE EYE」を「speed up ver.」で聴きたいって置手紙してくれたんですよ。それがなかったら「CLOSE EYE」はセットリストに入れてなかったです。


──そうなんだ。聴けてよかったです。ありがとうございます。今後の活動予定を教えてください。

清水：いま絶賛ツアー中なんです。『Songs』ってアルバムのライブハウスツアーが12月3日の横浜であるので、年内はそれをやるのと、あとはまたアルバムを作りたいです。いつになるかわからないけど、いまはそういうフェーズです。

──最後にもうひとつ。奈良を出る予定は？

清水：いや、ないですね。無理です。たぶん、茂木さんに「群馬を離れますか？」って聞いたら「無理」って答えると思うんですけど、それと同じで俺らも無理ですね。やっぱり自分の生まれた場所以上に落ち着く場所がないので、ただそれだけなんすけど、離れるつもりはないですね。

取材・文◎山口智男
写真◎野村雄治
ライブ写真◎Kazuya Kohsaka