【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2024>HAWAIIAN6、「G-FREAK FACTORYと一緒にやれることが俺らには常にスペシャル」
「さあ、派手にやろう! ライブハウス、やろうぜ!!」──HATANO
12時20分、<山人音楽祭 2024>の赤城STAGEに登場したHAWAIIAN6は、第一声でそう叫んだ。その言葉を受け、1曲目「MAGIC」から気持ち良さそうにクラウドサーフやダイブを連発させるオーディエンス。こうした数千人規模のフェスであっても、ライブハウスを愛し、今もそこにこだわるHAWAIIAN6は、ライブハウスでのギグさながらの熱さとテンションとエモーションで駆け抜けていく。
激しさと存在感のあるライブパフォームでオーディエンスを巻き込み、確かな演奏力で圧倒するステージ。もうじき結成から30年。相当な経験と場数を踏むHAWAIIAN6だからこそ手にした、揺らぐことのない真の実力でもある。ライブ中盤に差し掛かるころ、フロアでは肩を組んで大きなサークルまで出現。そして終わることのないダイブ。HAWAIIAN6とオーディエンスの間にある絶対的な信頼感も、これまで以上に強くなるばかりだった。
そんな、手応えたっぷりのステージを終えたばかりのHAWAIIAN6の3人に話を訊いた。G-FREAK FACTORYと長い付き合いの同世代だからこそ、深みのある言葉たちが3人から溢れ出た。
◆ ◆ ◆
──HAWAIIAN6は、いつもライブ直前にセットリストを決めますよね? 今日は、どんな想いや気合いなどを込めて選曲や曲順を?
HATANO(Dr):ライブハウスでやっている、いつもどおりのことをやっているだけです(笑)。
──今日のライブ冒頭でも「ライブハウス、やろうぜ!」と叫んでいましたからね。
HATANO:そうですね。特別、ゲネリハをやるようなバンドでもないし。いつもどおりのことを、どこのライブや会場でもやれたらいいよねってだけです。
──例えばライブ当日のオーディエンスの雰囲気や年齢層なども考えてセットリストを決めているんですか?
HATANO:いや、そこは関係ないです。
──でも<山人音楽祭>だからこそ、特別な想いなどあるんじゃないかと。なぜなら、このフェスはもともと<GUNMA ROCK FESTIVAL>という名前で2012年にスタートしました。その第一回目からHAWAIIAN6はほぼレギュラー出演しています。また2012年は、HAWAIIAN6主催の<ECHOES>をスタートさせた年でもあり、その第1回目にはG-FREAK FACTORYも呼んでいました。
HATANO:そうですね。<山人音楽祭>に俺たちが出られなかったのは、今までに1回だけです。2022年だけ、ライブ日程がかぶっていて出演できなかった。
──相当前からHAWAIIAN6とG-FREAK FACTORYは、のっぴきならない関係性ですよ。G-FREAK FACTORYが主催するフェスだから、通常のイベントに向かう気持ちとは別の思考も働いていますか?
HATANO:それはあります。このイベントのもっと最初の話をすると、<COLOSSEUM>というタイトルで群馬のライブハウスでやっていたんですよ。そのときからG-FREAK FACTORYとは一緒にやってきているんで。G-FREAK FACTORYも今までに何度もメンバーチェンジして、どんな想いでバンドをやってきたのかってのも、俺らは近くで見てきたし。モッちゃん(G-FREAK FACTORYの茂木)に聞いてもらったら分かるけど、昔、G-FREAK FACTORYのメンバーが何人もやめてしまったときがあって。もうこのバンドのライブを観ることはできないかもしれない、と俺もあのときは思いました。しかし何回も何回も再生して……ここに辿り着くまでに何度、メンバーチェンジしたか分からないですよ。そして群馬でやることにこだわって、ここまでやり続けてきて今がある。そんなG-FREAK FACTORYが「一緒にライブやろう」と言ってくれるんだから、毎回毎回、俺らもムキになりますよ。G-FREAK FACTORYと一緒にやれることが、俺らには常にスペシャルなんですよ。
──茂木さんのことを“モッちゃん”と呼ぶ間柄ですか?
HATANO:俺の5本の指に入るぐらいの長電話する相手ですから(笑)。
──腹を割って、なんでも話せる相手でもあるんですか?
HATANO:そうです。いいこともイヤなことも、全てを腹を割って話してきた人間です。バンドマンである前に、そう、人間。
YUTA(Vo, G):そう。そんな深くて長い付き合いのG-FREAK FACTORYの一大イベントですからね。G-FREAK FACTORYのためなら、なんでもやりたいなって気持ちで今日も来ましたね。
GURE (B, Cho):僕は途中からHAWAIIAN6にジョインした形ですけど、HAWAIIAN6とG-FREAK FACTORYには、長い時間掛けて積み上げた関係性があることは前から知っていましたから。僕がその一員になって、今、一緒にライブできるのは嬉しいです。あと僕個人として、千葉県の柏市の音楽シーンの一部として携わらせてもいただいているんですけど、この<山人音楽祭>は各地方のローカルの音楽シーンの最高峰の舞台だと思うんです。ローカリズムの最高峰の舞台に立たせてもらえるのも、本当に感謝しかないし、ありがたさを噛みしめながらライブできたかなと思います。
──HATANOさんとYUTAさんは、今日のライブはどんな手応えでした?
HATANO:手応えっていうか、やりたいことはやれたかなって感じですね。目の前に何千人いるからといって、特別なことやったつもりもないし。いつもどおりの自分たちであれれば、それが一番良くて。それが今まで<山人音楽祭>でやってきたことでもあって。べつによそ行きのことをやりたかったわけではなく、会えない時間も俺らはこうやってやってきたんだよってのを、ちゃんと見てもらえば幸せ。
──いつもどおりと言いましたが、ここ数年のHAWAIIAN6の円熟ぶりには驚かされるんですよ。今日もそこを目撃しました。
YUTA&HATANO&gure:うっはっは(爆笑)。
──いや、3人で笑ってる場合じゃないっての。トリオバンドが持つトライアングルパワーというのか、3人ならではの存在感とかエネルギーが爆増していると思うんです。
YUTA:そうっすかー(笑)? そんな自覚はないっすね〜。
GURE:いやいや、なにかに吹っ切れたところはあります。コロナ禍がきっかけではあるんです。あの時期、考えることもいっぱいあって。いつも当たり前にできていたことが、あの時期にはできなくなったことが大きくて。それがライブ1本1本にもつながってきたというか。それまでは演奏を間違えちゃいけないとか、小さいレベルでの緊張感に自分が支配されてしまっていた。そういうのを気にしていては、いいライブはできないじゃないですか。HATANOが言ったように、いつもできることをステージでやるというのを意識し始めたら、自分もすごく楽しくライブできるようになったところあります。
HATANO:要するに終活ですよ、終活。
GURE:言い方を変えたらそうかもしれない。
HATANO:もう時間がないんですよ。例えば自分たちが“こういうことしたい”と言っても、周りの全員がいてくれるか分からないじゃないですか。周りだけがいるからってできるわけでもない。この何年間でよく分かったんですよ。そんなに当たり前ってのが、ずっと続くわけないんです。歳を取ってきて、時間ってものもやっぱ限られてくる。いつ途切れるかも分からないじゃないですか。だからライブ1本1本、悔いを残したくないんですよ。それに今日よりも、明日の自分のほうが良くなりたいですよね。だから、それを繰り返していくしかないんですね。仲間がこうやって、一年の集大成のようにやっているこのイベントに、毎年、呼んでもらえるのが普通ではなくて、「またアイツらを呼びたい」とG-FREAK FACTORYに言ってもらえるような生き方を見せられたらいいかなと思っているんです。
──そういう精神性でライブをやるから、傍から見ていてもライブが充実していることを感じるんでしょうね。
HATANO:ありがとう。でも、いちいち納得したいだけなんですよ、自分たちでやってきたことに。
──10月にはHAWAIIAN6主催の<ECHOES 2024>が控えていて、G-FREAK FACTORYの出演も発表されていますね。
YUTA:個人的には、ライブがいつも大変で。最初から全バンドのライブを観ているから、最終的に自分らの演奏が始まるときには「ああ、きついな!」つって(笑)。でも、それぐらい凄い1日がずっと続くのが、あのイベントなんで。
GURE:さらに高みを目指して、自分がステージを降りるとき「めちゃくちゃ楽しかった!」と言えるようなライブできたら、観に来ていただいたお客さんも全員、満足して帰っていただけると思うので。そういうイベントにしたいと思っています。
HATANO:毎回やるたびに言っているんですけど、1バンドでも多く、素敵な“はじめまして”が観に来てくれた人にも演奏者にもあるといいなと思っているんですよ。会場で待っています。
取材・文◎長谷川幸信
写真◎野村雄治
ライブ写真◎HayachiN
<山人音楽祭2024>
開場・開演:開場 9:30 / 開演 11:00 (終演 20:00予定)
会場:日本トーターグリーンドーム前橋(群馬県前橋市岩神町1丁目2-1)
出演者
【9月21日(土)】
アイカワヒトミ / 打首獄門同好会 / Age Factory / ENTH / おとぼけビ〜バ〜 / ザ・クロマニヨンズ / 佐藤タイジ / サンボマスター / G-FREAK FACTORY / SIX LOUNGE / 上州弾語組合 / Dragon Ash / HAWAIIAN6 / FOMARE / プッシュプルポット / The BONEZ / MAN WITH A MISSION / MOROHA / ゆってぃ&バリ3TV (※五十音順)
【9月22日(日祝)】
KUZIRA / G-FREAK FACTORY / SHADOWS / SHANK / 上州弾語組合 / 四星球 / SCAFULL KING / 高木ブー / DJダイノジ / TETORA / 10-FEET / NakamuraEmi / HUSKING BEE / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / THE FOREVER YOUNG / ザ・ボヤキングス / ライブゾーン(TOSHI-LOW&茂木洋晃) / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS / ROTTENGRAFFTY (※五十音順)
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