【インタビュー】PassCode、移籍後第1弾シングルリリース。個性と自由度を新たな武器に「私たちはなんにでもなれるグループ」
◼︎レーベル移籍は、変わったというよりも仲間が増えた感覚
──いい関係が築けたわけですね。この4人でデビューから活動してきたんじゃないかと思うくらい自然ですよ。余裕という部分ではさっきの話じゃないですけど、アイドル云々みたいな話は、こちら側としてもしちゃいけないのかな、みたいなところも以前はあったんですよ。
南:取材でも、「どっちなんですか?」と訊かれることはやっぱり多いですね。でも、そこは別に定義しません。せっかく女の子4人組なんだから、アイドル番組からオファーが来たら、「アイドルです!」って出るし、逆にアイドルが出られないイベントだったら「グループです!」と言って出ます。そこはPassCodeが2016年からバックバンドを背負って8年間やり続けてきたからこその説得力だと思うんですよ。バンドしか出てないイベントにPassCodeが出演したとしても、PassCodeのライブを観たことがある人なら違和感はないはず。それがずっと続けてきた結果だと思っています。だからこそ「PassCodeって、何なんですか?」と訊かれたら、そのときに求められるもので出たい。せっかくバンダイナムコに移籍させていただいたので、もしアニメのイベントに呼んでくださることがあって、「アニソンのグループですよね?」って訊かれたら、「アニソンのグループです!」という顔をして出ようと決めてるので。PassCodeはなんにでもなれるグループですから、自分たちで何かを決めてしまうのは勿体ないなって。
──それは何をやってもPassCodeだという自信の表れでもありますよね。今回の新衣装、そうしたレーベル移籍を飾るようにこれまでにない鮮烈な赤が映えていて、めちゃめちゃカッコいいですね!
高嶋:ありがとうございます。新鮮ですね! 『SHY』の主人公のモチーフにちょっと寄せて白と赤にしました。闘う意志を込めて。あとはバンダイナムコも白と赤のロゴなので……。
南:それ、後付けやろ(笑)。
一同:(笑)。
──レーベル移籍ということで、気持ち的な変化はありますか?
南:以前のレーベルでお世話になっていたディレクターの北田さんも一緒にこっちへ来てくれて。レコーディングのエンジニアさんやバックバンドも変わっていないので、大きな変化はないんです。でもバンダイの会社に来るたびに「これからよろしくね!」と言ってくれたり、ライブを観に来てくれて、「一緒に仕事できるのが嬉しいです」と言ってくださる方がすごく多くて、あたたかい会社だなって。だから変わったというよりも仲間が増えた感覚が強いですね。
──移籍第一弾シングルがアニメタイアップというのも、晴れやかなスタートですよね。
大上:私たちも嬉しいし、ファンの方もすごくテンション上がってくれて。みんなで第1話から、Xでたくさんポストをしてくれました!
南:『SHY』は爽やかなヒロインのアニメなので、放送ではえみりちゃんのシャウトもまだ登場してないんですけど、フルで聴いたら、“ザ・PassCode”みたいな曲っていう。
──放送尺ではPassCodeの光の部分がフィーチャーされていて。そこで掴んでおいて、フルで聴くとシャウトが入って激しい楽曲展開が待ち受けているという、まさにPassCodeの魅力を詰め込んだ移籍第一弾に相応しい曲ですね。
高嶋:その通りだと思います!
南:移籍一発目なので、ファンの方に「変わらないよ」っていうことを見せたかったんです。1番のアニメサイズが終わるとPassCodeらしく暴れさせてもらって。私たちがいくら「変わらない」と言っても、ファンの方からすると移籍に対しての不安もあったと思うんですよ。音楽性や曲調が変わってしまうのではないか……そう心配した方もいたと思うんですけど、今回のシングルで払拭できたかと思います。カップリング曲もものすごいことになってるんで(笑)。今まで以上に大暴れ曲なんですよ。だから「心配ないよ」っていうことがわかるような2曲ですね。
──それは楽しみです。「WILLSHINE」も後半はかなり詰め込んだ展開になっています。
南:びっくりのセリフもあるし。えみりちゃんのグロウルも曲自体に入るのは初めてだよね?
有馬:ええ、初めて重たいギターのキザミに対してグロウルを乗せるっていうのができました。
南:自分たちが10数年かけてやってきたことが、こうやって曲に組み込まれていくんだなって思うと、「WILLSHINE」というタイトル通り、未来に希望が見出せる曲だなって。『SHY』の主人公に寄り添った歌詞だけど、自分たちで歌っていてもまったく違和感がないPassCodeの曲になっているという、バランスがいい曲ですね。
──メロディも煌びやかで、すごくキャッチーですよね。
南:<VERSUS PASSCODE 2024 Vol.2>で初めて披露させてもらったとき、ファンの人はガッチャガチャに大暴れ状態だったから、「あんまり印象に残らなかった」と言われて、「はい?!」って(笑)。でも配信が始まったら「印象変わったし、サビのメロディもすごい覚えやすくて、早く歌いたい」という反応でした。
大上:インスタでも「全然記憶にないです」と言ってたけど、「こんな曲だったんだ!」みたいな反応が多かった(笑)。
──あのときのフロアは大変なことになってましたし。ハルカミライのカバーをやったじゃないですか。あのインパクトの余韻があったと思うんですよ。
有馬:ああ、カバーやってから「WILLSHINE」やったしね。みんな「夏のまほろ」しか覚えてない(笑)。
──あのカバー、意表を突かれましたけど、シンガロングが巻き起こって、すごいなと。
南:しかも女性キーになってるのに、歌い出しからちゃんと入ってきたし(笑)。
──(笑)。そんな「WILLSHINE」ですが、いつも通りオートチューンのボーカルですが、ものすごく明るい表情をした歌声だと感じました。
南:レコーディングの時に「もっと笑顔で歌って」と言われたんです。私的に1番はちょっと苦しんでもがいてるところから、だんだん明るくなっていくのがいいのかなと思って、声色を硬くして歌ってたんですけど、歌い出し以外は明るい未来を感じるような歌い方をしてほしいって、平地(孝次/サウンドプロデューサー)さんに言われたんです。主人公に寄せたちょっとナイーブな歌詞だけど、この曲を聴いた時にパッと気持ちが明るくなるようにしたいんやなと思って、口角上げて歌いました。
大上:メンバーのレコーディングをブースの外から聴いていても、1回目は真面目っぽく歌っていて、「笑顔で歌って」と言われてから歌ってるのを聴いたら、全然違うと感じたので、それが音源にも出てると思います。
高嶋:私はAメロのキーが低かったので心配で。最初にしっとり歌ったら、「希望を見出す感じで明るく歌ってほしい」と言われて、自分で解釈するのと聴くのでは違うんだなと思ったんです。でもやっぱり明るく歌ったほうが聴いていて、いい気持ちになれると思ったので、それで正解でした。ライブで歌っても気持ちよかったです。
有馬:ニュアンス、発音とかもめっちゃこだわって、大変でした。
──メンバー同士、お互いの歌について話したりするんですか。
南:全部レコーディングしてから決めるグループもあると思うんですけど、PassCodeは歌割が予め決まってるんです。ユニゾンやったら「ここでブレスを大きく」みたいな話もするんですけど、それぞれ自由に良さが出ればいいなって思っています。えみりちゃんのちょっと少年っぽい声質とか、ひなちゃんの綺麗な声とか、かえちゃんの同じ音程を歌ってるのにちょっと高く聴こえる不思議な感じとか。繋がりだけ気にしますね。今回、落ちサビをかえちゃんが歌って、そのあと私が歌ってるんですけど、ちっちゃくなると気持ち悪いから「若干強めで歌ってみますね」とか、そういう合わせ方はします。
大上:最近はメンバーのいいところがみんなもわかってきたんで、かえちゃんのパートになったら、「かえちゃん全開で行ってくれー!」って思いながら聴いていて、それでかえちゃんが全開で来たら「やったぁー!」ってなります。ここはもうゴリッゴリの有馬やなとか、ここはやちい(南)のアタッカーな声がおって……とかそれぞれあるんですけど。それがぴったり表現されてるのを聴いたときに「さすがや!」って、満足してます(笑)。
南:私はライブを意識させられることが多いんです。レコーディングは綺麗に裏声で歌いたいところも、「ちょっと苦しそうなのも含めてライブっぽく地声で歌ってほしい」とか。平地さんが私に求めているのは、耳に入ったときのパンチの強さとか、そういうことだと思うんです。高嶋はちょっと遊びのある感じとか、メンバーそれぞれが求められる自分をわかってるから、ちゃんと体現できてるんだと思います。
──音源とライブで、歌い方の棲み分けってあります?
大上:私は音源では、息多めの声を求められることが多かったり。私自身もそういう声が好きなんですけど、ライブだと楽器にかき消されちゃったり、ライブ感が減退しちゃったりするので、歌い分けるようにしてます。
南:平地さんもそれぞれみんなの良さが出るように振ってくれて。Bメロも「ここは大上やな」って、私は思ってたし。そういうのもわかるようになってきましたね。Bは「ちょっと大人っぽすぎる」って、最初は言われたんやったっけ?
大上:あー、そうだった。いろいろ試しながら録ることも多いですね。シャウト後の英語のパートも歌う前に平地さんと「ここ、どうする?」みたいな感じで何パターンか試したりして。何回か歌って「あ、これやな!」みたいなのが出てきたりとか。
南:最初はどうやったの? かえちゃんはここ、ふざけてるやろ?(笑)
高嶋:うん、めっちゃふざけてる。
一同:(大笑)
高嶋:真面目にというか、カッコよく歌ったら「カッコ良さはいらん!」って言われて(笑)。
大上:私は、最初はシンプルに歌ったら、「もうちょいクセが欲しい」みたいに言われて。「FLAVOR OF BLUE」のときに初めて出した声があったんですよ。私のイメージは海外のラッパーで、それがカッコいいと思ってるんですけど、平地さんはそれをふざけ声だと思ってるらしく(笑)。「その声を出したら面白いかもね」みたいな。今回はそれで録ってみました。
──あのパートいいですよね。カッコいいというのも、ふざけてるというのも、どちらもわかります。そこが紙一重で、楽曲の良いフックになってますよね。
南:あそこ、バチバチにやっちゃうと真面目すぎになりますよね。
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