【インタビュー】PassCode、移籍後第1弾シングルリリース。個性と自由度を新たな武器に「私たちはなんにでもなれるグループ」

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PassCodeがバンダイナムコミュージックライブによる新レーベル「MoooD Records」へ移籍。第1弾シングル「WILLSHINE」は、テレビアニメ『SHY』の第2期オープニング主題歌としてオンエア中である。

煌びやかなメロディがアニメの世界観を彩りつつ、後半はスリリングな激しい展開が待ち受けている同曲は、PassCodeの魅力をこれでもかというほど存分に詰め込んだ、新たな名刺代わりとなる完成度を誇っている。そんな新たなフェーズに突入したPassCode。これまでアイドルとロックの狭間で闘い続けてきた彼女たちは何を考え、どこに向かおうとしているのか。4人にたっぷりと話を訊いた。

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◼︎それぞれの良さがライブにもちゃんと反映されてきた

──7月1日に開催されたハルカミライとの<VERSUS PASSCODE 2024 Vol.2>、すごく良いイベントでした。ライブレポートも書かせてもらいましたが、南さんの「どんなにバンドっぽい音楽やっていても、アイドルなんだって言われた」というMCがとても印象的で、グッときました。

南:アイドルに対して自分たちがそうじゃないと思ってるわけではなくて。ただ、こういう音楽性でバンドと対バンする中で、どんなにカッコよくライブで攻めたとしても、「アイドルなんですね(笑)」みたいなことを言われることが多かったんですよ。ちょうど自分たちがバンドとのライブに出はじめたときって、アイドルのことを音楽的に下に見るみたいな風潮があったんですよ。でも橋本学(ハルカミライ/Vo)さんは「PassCodeのアツいオタクたちのフロア、俺はそれが大好きだ」と言い続けてくれたんです。自分がカッコいいと思うバンドのフロントマンがそう言ってくれることが、PassCodeを続けていく励みになったんです。だから、そういうフロアを含めて愛すことができる自分たちになれた。ハルカミライがそう言ってくれて本当によかったと思います。

──いい話ですね。PassCodeはアイドルとロックバンドの狭間で闘ってきたグループですから、それが意味する重みをものすごく感じます。

南:あの頃はメンバーも半分以上が10代でしたし、若い女の子が何を言っても説得力がないというか。どんなに激しいライブをやっても「大人にやらされてるんでしょ」って感じだったのかもですね。でもそれを十数年やり続けたら何も言われなくなったので、やっぱり継続することは素晴らしいことだなって思いますね。


──長年信念を貫いてきた賜物ですよね。その辺を含めてバンドマンマインドをお持ちの有馬さん的にはどう感じましたか?

有馬:「もはやアイドルじゃないよね」って、言われることもたまにあるんですけど、それってアイドルを「音楽的にアレだよね」という前提の上での言い方だなと思うんです。でも学さんは「オタクたちのフロアが好き」っていう、何の偏見もなく褒めてくれていたのが、ちゃんとフラットに見てくれてるんだなって嬉しく思いました。

南:学さんがMCで言っていた、「音楽の好き嫌いはあるかもしれないけど、そこを超越して全員が好きになるライブはあると思う」っていう言葉、それが身に染みてわかったライブでした。やっぱりハルカミライすごいな、どこまでも響いていくんだなって思いましたし、PassCodeの魅力がちゃんと出せたライブができた手応えもあって、自分たちもそれができるんじゃないかっていうワクワクも感じられました。

──ハルカミライのファンが初めてPassCodeを観て、「衝撃を受けた」という声をXで多く見かけましたし、本当に良いイベントでした。私は若いバンドマンと接することもあるんですけど、「PassCodeのバックバンドをやりたい」「PassCodeを観てバンドを始めた」という声を耳にすることもあるんですよ。そういう意味でもPassCodeは、いいポジションを確立したんだなって思います。

高嶋:私たちじゃなく、バックバンドの方を目当てに観に来てくださる方も最近は増えてきてるんです。それって長年バンドセットでやってきたからこそだと思うんですよ。そういう意味でファンの見方も昔とは変わったと感じますし、いろんな人から見られているんだなという実感がありますね。

──活動してきた中で、2022年2月の日本武道館公演は大きかったと思いますが、終えてから変わったことはありますか。

大上:自分の気持ちの自由度が上がったと思います。やりたいことを、より言えるようになったり。エイプリルフールのイベントで「PassCodeの妹グループ、“ぱすこーど”です!」って、なりきってかわいらしいことをしてみたりとか。そういう普段できないことをたまにやるのは楽しいね、という気持ちになってきましたね。

南:昔だったら考えられない(笑)。固定観念があったんですよ、「PassCodeはこうじゃないといけない」みたいな。かわいい衣装を着るのは違うとか。そういうものがだんだん薄くなった気がします。

大上:あとは普通に歳を重ねてきたこともあって。昔は「これ言っちゃダメかな」と思うことも結構あったんです。“大上のキャラ的に”っていうのもあるんですけど、私は4人の中ではアイドル寄りの応援をしてくれる方も多かったんですね。だからあんまり汚い言葉使っちゃダメかなとか……いや、今もダメなんですけど(笑)。でも言いたいことを言っても大丈夫かなと思うようになってきたり、それを許してくれるファンの人が増えました。昔より気を張らず、本当に楽に活動ができてます。


──自然体でいられると。高嶋さんは?

高嶋:自分の見せ方というかポジションというか、そこの変化はありますね。南と有馬はライブでは特攻隊みたいな2人で、大上と高嶋は歌やダンスをしっかりやるという、現実的で真面目なメンバーだと思ってたんです。でも武道館が終わってからは自由度も増えました。楽屋で見せている素のメンバーのいいところもライブに出ている。だから立ち位置に遊び心がうまく備わって、すごいいいものができています。素晴らしいメンバーですね!

──おおっ。有馬さんはシャウトだけではなく、クリーンパートでの存在も明確になってきたと感じますが、ご自身的にはどうですか?

有馬:自分的には、まだまだこれから頑張りますって感じです。クリーンはまだそわそわするというか、クリーンを歌ってるときは、目が泳ぐし、動けなくなるんですよ。だからもっと慣れていきたい。ダンスも3年目になるんで、もっと頑張りたいですね。

──4人としての“魅せ方”という部分はどうでしょうか?

大上:メジャーデビューした頃は、いただいた振付をそのままやっていたんですけど、「ここはお客さんが手を挙げてくれるから、私も手を挙げるように促す動作にした方がいいかな」みたいに考えるようになりました。それにバンドメンバーが私たち以上に客観的に見てくれてることもあるんです。「メンバーはこのノリで跳んでるけど、お客さんはノってない」とか。それでリズム感を合わせに行ったり。あとはライブ用に振付を変えて、お客さんと一緒にノれるようなパートを作ったりとか。自由度を増して、ライブをより良くするような考え方になりました。そのほうがガチガチのダンスパートがより映えるかな、とか。


──一緒に楽しむところと、魅せるところのコントラストですね。思い返してみれば、武道館があって、有馬さんが加入して、という流れは大変だったのではないかと。

南:えみりちゃんが入ってくれたときはグループの状況もあったし、「武道館を控えている」という短い期間でPassCodeの変化を、ライブを通して皆さんに受け入れてもらわないといけない、急がなきゃいけない状況でした。なので、PassCodeというものを固めていくことにがっつり使った半年だったんです。だから大上が言ってくれた自由度は、封印じゃないですけど、優先するものがそこではなかった。自由なところまで行くには半年では短すぎたんですよ。だからえみりちゃんも、本当はできることがもっとたくさんあったと思うんですけど、シャウトとダンスに注力してもらって。高嶋と大上は、さっき言っていた通り、真面目に忠実にやってくれる2人なのでそのままでいてもらっていましたし。その中で私は「PassCodeはこうあるべきだよね」っていうMCをたくさんしてきたんです。それで武道館が終わって、このメンバーで2年、3年目と、活動も生活も共にしていく中で、それぞれの良さがライブにもちゃんと反映されてきたと思います。武道館まで目指していたまとまりにプラスして、個性と自由度がしっかり出るようになった、それが大きな変化かなと思いますね。

──この4人のPassCode。それが出来上がった上でのもの。

南:ええ。最初から4人が自由にやっていたら、とっ散らかったというか。ただシャウトの子が入ってきた、みたいに思われるのは嫌だったんで。この4人のPassCodeになって、できることが広がっていくのをしっかり見せていきたかったんです。「見とけ、うちの有馬を! 高嶋を! 大上を!」って。

──しっかりとした基盤ができたからこその自信であり、余裕でもありますね。

南:そうですね。半年でしっかりと作った基盤があるから、個性は自然に出てくるというか。今はこの4人になってまだ3年目か、みたいな感覚ですね。(有馬に向かって)金髪になったしね。

有馬:ハイ!

南:衣装も長いパンツになって。最初から長いのがよかったらしいけど言えなかったらしくて(笑)。そういうことも言えるようになったしね。すっかり馴染んでます。

有馬:武道館前のインタビューでも、「馴染んでいますよね」みたいに言ってくださる方が多かったんです。けど、あの頃はお客さんに向かってライブをすることに集中していたんですよね。そこから活動していく中で「メンバー同士、楽しくやろうよ」っていうふうになってきて。振付の一環でお互いやりたいことをして、目線を合わせて手繋いだりとか、そういうことも増えてきたこともあって、もっと絆が深まりました。

南:“友達”って呼んでるもんな。メンバーだけど友達だって。

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