【ライブレポート】DURDNが放つ、繊細さと緻密さ、気迫とカリスマ性

ポスト

Photo by Ryotaro Kawashima

3人組プロジェクトDURDNによる東名阪ツアーが、6月21日に東京・恵比寿LIQUIDROOMにてファイナル公演を迎えた。

定刻を過ぎ、暗転したステージがバックライトで照らされ、悪夢を彷彿とさせるダークでスペイシーなシンセサウンドが会場いっぱいに鳴り響く。サポートメンバーの友田ジュン(Key)、臼井岳(B)、井上瑠哉(Dr)とともにSHINTAがステージに現れ、ほどなくしてキャップを被ったBakuが登場。フロアから大きな拍手と歓声が湧き上がる。その隙間から徐々に聞こえてきたアラーム音を合図に臼井がスリリングなベースフレーズを繰り出し、まずは『Komorebi』から「Alarm」でこの日のライブはスタートした。


Photo by Ryotaro Kawashima

重厚なビートから一転、続く「Runner's High」は疾走感あふれるリズムとエイティーズ風味のあるシンセが印象的なソウルチューン。マイナーとメジャーを行き来するサビのコード進行や、軽やかなリズムギター、そして浮遊感たっぷりのメロディはマイケル・ジャクソンの「Rock With You」をも彷彿とさせる。ファルセットと地声を巧みに使い分け、スモーキーな歌声を聴かせるBaku。早くもカリスマ性を感じさせるその堂々としたパフォーマンスに応えるように、SHINTAが歌心溢れるギターソロを響かせると再び大きな拍手が鳴り響いた。


Photo by Ryotaro Kawashima


Photo by Ryotaro Kawashima

間髪入れずに披露したのは「WARUNORI」。ケレン味たっぷりのベースラインに導かれ、ビルドアップ~ドロップとEDMのフォーマットを用いた楽曲構成や、たゆたうようなBakuのフロウ、一度聴いたら病みつきになるyaccoのトップライン、そして宙を切り裂くようなSHINTAのソリッドなギターソロと、DURDNにしか出せない魅力が凝縮されたキラーチューンだ。


Photo by Ryotaro Kawashima


Photo by Ryotaro Kawashima


Photo by Ryotaro Kawashima

「みなさん、改めましてこんばんは。今日は最終日、LIQUIDROOMでこうやって歌うことになり本当に嬉しいです。ありがとうございます」そうBakuが挨拶し、韓国語と日本語をミックスした歌詞が印象的なR&Bナンバー「City Drive」、思わず腰が揺れるミドルファンクの「捨てたらいい」を立て続けに披露。〈予想出来ない未来には希望を いつまでも照らして〉と歌う、オプティミスティックなミドルチューン「My Plan」では、ステージとフロアの境目を取り払うかのように、オーディエンスにも照明を当て一体感を高めていく。

ライブ中盤はBakuとSHINTAだけのアコースティック編成で「Conflict」と「僕の夢」の2曲を披露。SHINTAが爪弾くアコギの響きが、倍音をたっぷり含んだBakuの声の豊かさを存分に引き立てる。友田のピアノから始まり、サビ終わりで一斉にバンドが入ってくる「何年後も」は、壮大なサウンドスケープがU2を思わせる瞬間もあった。

「『Komorebi』ツアーと題していながら、実はまだ『Komorebi』からは1曲しかやっていません。なので、ここからは『Komorebi』の楽曲を、たっぷりお届けしたいと思います」そうSHINTAが言うと、フロアから大きな歓声が上がる。SFをモチーフにしたアップテンポなシンセポップ「Spaceship」に続いて披露したのは、台湾出身のアーティストであるハワード・リーとのコラボ曲「Pretense feat.李浩瑋 Howard Lee」。ハワードの声を同期で流しながらの「時空を超えたデュエット」は、先日ジェイムス・テイラーがジョニ・ミッチェルの声をマルチから抜き出した来日公演を個人的には思い出した。


Photo by Nakano(SMS)


Photo by Nakano(SMS)

さらに、DURDN流バレアリックハウスとも言うべき「Palm」で会場を一瞬にして「深夜のダンスフロア」にした後、シングル曲「FAKE MOON」を挟んで「PRIDE」を披露。yaccoがフェイバリットアーティストの一人に挙げる、宇多田ヒカルへのオマージュをふんだんに盛り込んだDURDNを代表する1曲だが、ライブではSHINTAのギターと友田のピアノがユニゾンする間奏が圧巻だった。

「みなさん、意外としっとりした曲が多くてエネルギーが余ってるでしょ。飛べますか?」とSHINTAが問いかけると、フロアのあちこちから歓声が。そして、シンコペーションが心逸らせる「All of You」、高揚感たっぷりの「Fizz!」と続けて披露し本編は終了。アンコールではyaccoもステージに登場し、「apart」と「Drink!」をBakuとともに歌い上げた。


Photo by Nakano(SMS)


Photo by Nakano(SMS)

音源の持つ繊細さ、緻密さとはまた違ったライブならではの気迫とカリスマ性を、早くも見せつけてくれたDURDN。今後更なる進化を遂げていくのは間違いないだろう。


Photo by Ryotaro Kawashima

文◎黒田隆憲
写真◎Ryotaro Kawashima、Kanta Nakano(SMS)

DURDN Live Tour 2024 "Komorebi"

2024年6月21日(金)@恵比寿LIQUIDROOM
1.Alarm
2.Runner's High
3.WARUNORI
4.Vacation
5.City Drive
6.捨てたらいい
7.My Plan
8.Regrets
9.Conflict
10.僕の夢
11.何年後も
12.Spaceship
13.Pretense feat.李浩瑋 Howard Lee
14.Palm
15.FAKE MOON
16.PRIDE
17.All of You
18.Fizz!(Remix)
En1.apart
En2.Drink!

◆DURDNオフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報