【インタビュー】the superlative degree本格始動、1st EP『導火』でシーンに完全帰還「“いつかまた”みたいなことはしない」

ポスト
no_ad_aritcle

■ロックバンドとしては
■夢もちゃんと描いて提示したいんですよ


──なるほど。そんな章人さんの人生観は「アイデンティティコード」の詞にも色濃く反映されているようですし、何より歌い出し部分の“♪いつか死ぬ前に”というフレーズが真っ先に刺さってきます。

章人:誰かが亡くなっちゃうたびに、凄く悲しむんだけれども。だけど、人間ってみんな死ぬために生きてるわけではないですからね。自分が自分でいられるためには、その人自身が“そう生きて行く”ことが必要で、それはその人にしか出来ないことなわけでしょ。みんなもっと自分を大事にすればいいし、楽しみなんて小さなことでもきっと見つけられると思うんですよ。これはバンドマンだからそう思うとかじゃなくて、人としてね。自分が自分でいる意味を忘れないほうがいいよ、っていうことを言いたかった曲です。そして、これに関しては作ってバンドに持ってった時、みんないつもどの曲に対してもそうだとはいえ、特に嬉しそうにやってくれたのが俺も嬉しかった(笑)。

SHINGO:作業的には何枚も譜面を書いたり、章人さんの歌を聴きながら細かいアクセントを考えたり、大概時間はかかっちゃいましたけど、これも凄くいい曲に仕上がったなという手応えはありますね。

──リズムの醸し出す躍動感、さらにはエンディング部分で歌われる“♪君に歌う 僕は歌う”という歌詞からはthe superlative degreeがここから紡ぎ出していくのであろう、未来への予兆も感じられます。死と向き合っていながらも、希望がここにはありますね。

章人:表現としては、わざと幼稚なくらいにシンプルにしてるところがあります。敢えて普通のことを歌ってるんです。


▲宏之(B)

──3曲目の「UNIVERSE」は、もともと2008年にacalli名義でリリースした楽曲「universe」をthe superlative degreeとしてリメイクしたものになるそうですが、ここにこの曲を持ってきた意図はどのようなところにあったのでしょう。

章人:以前の「universe」はレコーディング時の状態が意図してたものとは違ったんで、やり直したかったっていうのはあるんですけど。それ以上に、SHINGOのドラムでこの曲をやりたかったっていうのもかなり大きかったです。今このかたちで出したい、っていうことで入れたんです。音としてはロックバンドっぽさが強く出せたと思うし、自分で聴いて感動出来る曲になりましたね。15年前に作った曲だけど、時代とか関係なく聴かせることが出来る曲を作ってきてるんだっていう自信もあらためて持てました。そのうち俺が死んじゃった後でも、古さとか感じずに聴ける音楽を作れたと思います。

SHINGO:この曲は、自分のバースデーライヴでやらせてもらってたんですけど、今回のレコーディングでは歌をもっと聴かせたくてドラムは要らないって最初は思ってたんですよ。でも、章人さんと相談した結果このかたちにたどり着きました。新しく出すからには、元を超えなきゃという気持ちもあったんです。

──超えていますよ。今回の「UNIVERSE」はより輝きを増したと思います。

章人:だよね、俺もそう感じる。

SHINGO:だったら良かったです(笑)。

──さて、このEPの最後を締めくくるのは「導火」です。プレス向けの資料によると、この曲は「オレなりの平和を願う曲。幸せを願う曲」であるのだとか。

章人:今まで書いたことがないタイプの歌詞を書いてますね。

──それでいて“♪すべての命に終わりや限りが有るからね”とも歌われています。

章人:書いたのが今年の正月だったのもあって、ちょうど震災とか事故もありましたしね。ここ数年は“世界中の傷跡”とか“偽物の正義と自由”を見せつけられる機会もたくさんあったし、いろんな場面を通して“犠牲から得た知恵は未来に活かせる”って思ったこともあったんで、これはリアルな歌になりましたね。曲としての強さも持ってるから、バンドやってる友だちとか関係者とかに聴いてもらった時にも、この「導火」は良いねって言ってくれる人が多かったです。

──シビアな現実を踏まえたうえでの“♪あの街もこの町も笑顔で溢れると良い”という歌声は、綺麗事とは違う切なる願いとして聴こえてきます。

章人:こんな曲調だけどドラムなんてクソ激しいし、演奏もこれはぶっちゃけ相当難しいんだけどね(笑)。なんか、ロックバンドとしては夢もちゃんと描いて提示したいんですよ。サッカー選手とか野球選手に子供たちが憧れるように、音楽も夢見てしっかりやっていったら残したいものを残していくことが出来るよ、っていう文化としての可能性を無くしたくないんですよね。まぁ、うちのお客さんたちはそんなに若い人たちがたくさんいるわけではないけど、出来れば若い子たちにも聴いて欲しいし、もし良いなって思ってくれるんだったら、“君と生きる”未来につなげていきたいしね。


──きっと、the superlative degreeの未来はEP『導火』と、6月2日に開催される初ライヴ<THE MUSIC -GreeN Music 15th ANNIVERSARY->から始まっていくことになるはずです。先輩格のZIGGYと、章人さんとは公私ともに親睦の深いANCHANGさんが率いるSEX MACHINEGUNSとの対バンという点も要注目ですね。

章人:森重さんは日本でロックンロールをやり続けてきた大先輩で、安藤弘司(ANCHANG)とは引退してた間も付き合いが続いてたし、バンドとしてもずっと頑張ってきてて25周年を迎えてますからね。おまけに、実はこのイベントを組んでくれたイベンターなんて、14年間毎月のように電話とかメールで「章人さん、帰ってきてください」ってずっと連絡くれてた人間なんですよ。the superlative degreeの初ライヴとしては、最高のお膳立てになっているんじゃないかと思うんで、今さらの初ライヴでもありますし頑張りますよ。あと、この日はヴォーカリスト3人もつながってますけど、CHARGEEEEEE...、THOMAS、SHINGOの3人がドラマー対決を繰り広げる日だとも言えるでしょうね(笑)。

SHINGO:この対バンの話を聞いた時は“マジか!?”って思いました(笑)。森重さんはこの間、卓偉くんのライヴに来てくれて、そこでZIGGYの曲を一緒にやらせていただいたりもしたんですが、対バンとなるともうほんとに大先輩で日本のロックを背負って立ってきた方だけに、どうしてもピリついてしまうところがありますよね。もちろん、SEX MACHINEGUNSだって凄い先輩ですし。どうやったって緊張感はありますよ。気合いは入ってますけど、空回りしたら困るんで、力を入れ過ぎないように気をつけたいです。

章人:俺なんかは、この歳で、新バンドで、初ライヴって、客観的に考えると自分でもちょっと寒くなるけど(笑)。でも逆に言うと、今、やれる時が来たからには楽しんでやりたいですよ。今までのお客さんたちも大事だけど、若い人たちに対してもライヴハウスからthe superlative degreeの存在を発信していきたいと思ってるし、ここからメジャーデビューして武道館目指します!みたいなことでもないんで、自分たちがカッコいいと信じることを、クラス全員じゃなくても何人かのロック好きなヤツらと共有していけるようなところまで持っていきたいかな。やりたいこと、やれることは、やれるうちにやんないとね。

取材・文◎杉江由紀

■1st EP『導火』


【CD】
2024年6月2日(日)CDリリース
HCCD-0001 ¥2,000+税
※LIVE会場にて販売
【配信】
2024年5月21日(火)配信開始
配信リンク:https://linkco.re/2qZMXv5Y
※Apple Music、Spotifyなどの各種音楽サービスで順次配信開始
発売元:hurt chord
▼収録曲
01. 玉響
02. アイデンティティコード
03. UNIVERSE
04. 導火

■<THE MUSIC -GreeN Music 15th ANNIVERSARY->

2024年6月2日(日) 東京・新宿 ReNY
出演:ZIGGY / SEX MACHINEGUNS / the superlative degree


◆インタビュー【2】へ戻る
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報