【連載】第60回 ホタバンのファミリアルミルキーウェイ ~ホタルライトヒルズバンド藤田リュウジの連載コラム~

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BARKSをご覧の皆さま、ホタルライトヒルズバンド・ボーカルの藤田リュウジです。第60回目の更新です、どうぞよろしくお願い致します。


photo by yuta koseki

ホタルライトヒルズバンド3年ぶりのニューアルバム「home sweet home」が5月12日にリリースとなりました!発売にあたって書き下ろしたセルフライナーノーツをお届けします。音源作品をより深く楽しむための、お供にしてやってください。

ホタルライトヒルズバンドNEW ALBUM「home sweet home」



Vocal藤田リュウジによるセルフライナーノーツ

“A House Is Not a Home”
言わずと知れたバートバカラックの名曲。“君がいない家は、ホームじゃなくてただのハウスなんだ”と切なく歌うメロディ。帰るべき家がある仕合わせを噛み締めるには十分な時間と精神空間を要した、この3年間。身体が帰る家はもちろんのこと、"心が帰る家"について改めて心を巡らせた。ホタルライトヒルズバンド、結成13年目のバンドが3年ぶりに紡ぐニューアルバムが「home sweet home」である。"心のふるさと蛍ヶ丘より小さなラブ&ピースを歌う"というキャッチコピーの元、活動を始めたのは2011年。あれから僕たちを取り巻く世の環境は様々に変化を遂げていると感じるが、「ホタバンの音楽が巡り逢えた一人一人にとっての心のふるさとに成れたら」という気持ちは、今も変わらない。数々のライブやリリースがもたらす”こころの旅”を経て、改めてバンドとしての原点に立ち帰った今作。50曲近くあった候補曲の中からバンドメンバー全員で選び切った7曲、31分に込められた想いを以下に綴る。

1.This is my life
アルバムのリード曲であり、収録曲中最も新しい曲。この楽曲に出逢うために3年かかったといっても、過言ではない。「LIFE IS」(2016年リリース「センスオブワンダー」収録)「LIFE GOES ON」(2019年リリース「forevergreen」収録)に続くLIFEソング3部作のラストを飾るホタバンのど真ん中POP SONG。"人は出逢いに生きている"僕なりのThis is my lifeを大きめの字で一文字ずつ、2Bの鉛筆でゆったり書くようなレコーディングでの歌入れ時間だった。

2.リトルコスモス
与えることも得ることも大切だけど、この曲は「ゆるす」ことを歌っている。物事の価値や人生の善悪を判断基準としない、ただ生まれて死んでいくだけの宇宙とか運命を物差しにした"奇跡"を歌っている。冒頭から最高にカッコいいバンドサウンドを実現してくださったのは、エンジニア高津輝幸さんとドラムテクニシャンの北村優一さんによるサウンドメイク。アルバム全編に渡り、これしかない!っていう響きに仕上がっている。特にこの曲はイントロ。ドラム小野ちゃんのワイドなプレイと豊かな響きを味わって欲しい。大きさの中にある小ささを丁寧に歌えた時は、いつだってガッツポーズだ。

3.苺の感じは永遠です
突然ですが携帯のメールアドレスって覚えていますか?もはや廃語になりつつあるこの表現。。笑「strawberryfeelsforever@〜」というのが僕の長らくのソレ。言わずと知れたビートルズの名曲を僕なりに青春時代独特の斜め解釈で崩した、ちょっと今は恥ずかしいアドレス。長い間の愛着から、いつかこれを題材に曲を書こうと思い立ちかれこれ20年!?アルバム収録曲中、最も寝かせてきた期間の長い1曲がこのナンバー。チープトリックやファウンテインズ・オブ・ウェインetc… あの頃のパワーポップバンドに影響を受けたロックなサウンドに青春感。個人的には友人・高橋圭ちゃんにお借りしたレスポールのゴキゲンな鳴りがとても気に入っている。(ありがとね、圭ちゃん!)

4.ライフサイクルユニヴァース
今回50曲近くあったデモの中には様々なクオリティのものが混在していた。中でも鼻唄で、しかもワンラインすら詩が定まっていないオールホニャララ曲はどうしても端っこに追いやられていく。“解像度”の高い鮮明な楽曲は、ライブの画がよく見えてくるからすぐにセッションに取りかかれる。このライフサイクルユニヴァースは最も短い、そして不鮮明なイントロダクションだったが何故かずっと心に留まっているメロディラインだった。ある日突然、不思議とバチリくる瞬間が訪れる。強い別れと共に目の前へと広がった忘れたくない夏の終わりの空から、その音がロードムービーのように流れ始めた。「一人で一緒に生きて行くんだ」このワンラインに想いを込めて。サウンドテーマは”なんちゃってニューヨーク”サラッとしているようで、変態な音をみんな出している。綺麗に成立しているのはエンジニア高津さんの凄み。

5.無記
個人的に僧侶5年目に突入。自然と学びが言葉に落ちてくる。あまり偏らないように(説教くさくならないように苦笑)気をつけながら綴っているつもりだけど、どうだろう。相手に立ち向かう姿勢を切り取って、「ムキになる」という表現がある。思考の向きが偏る=つまり意固地になるってこと。その「ムキ」と、ブッダの教えである「無記(むき)」を兼ねた。「世界は永遠なのか、いつか無くなるのか。人は死後も存在するのか、しないのか?」ブッダはこのような問いに答えを出さず「無記」という姿勢を取られた。世界に果てがあろうと無かろうと、死後存在しようがしまいが、我々が今「どのように生きるか」を考える上では思考する必要のないことだと。じゃあ、言葉にならない有耶無耶を、どうしたらいい?難しくしすぎちゃう人間がうろつきまわる様を描いた、何だか重っ苦しい歌。アルバム収録曲の最終選考で、この曲を唯一選ばなかったのは僕。他のメンバー3人は、”らしい”と、この曲を選んでくれた。つまりはこれが、僕のありのままの姿なんだろう。それも何だか今は愛おしく思える。

6.ヨダカ
言わずと知れた宮沢賢治さんの名作”よだかの星”がモチーフである。僕はこの作品と対峙する時、何度だって心が震える。そして世の中の表現者たちの孤独を想う。ライブハウスで演奏して来て約20年。何百と表現者たちの叫びを聞いてきたが、そのほとんどが暗闇の果てに埋没していく。かくいう僕もその一人だ。ほんの一握りの者だけが華々しい世界へと昇り詰めていくが、またその者たちにも特有の孤独が蔓延る。ステージだけは唯一の平等を我々に与えてくれる。たった数十分間、そこは人生の夜空。瞬く星星のひとつになって、何ものにも代え難い輝きを放つ。お客さんが一人だろうと、五万人だろうと、本質的には変わらない。表現者たちは常に満たされない孤独と向き合い続ける。絶望と歓喜の風に晒され続けながら運命の海を漂う有り様を、ファンタジックに、そして怒りにも似たギターロックサウンドで叩きつける一曲。

7.home sweet home
アルバムタイトル曲であり、この作品を総括するようなナンバー。収録曲中、唯一4人向き合って「せーの!」でレコーディングした楽曲だ。結成13年目。本当に色々なことがあったけど、今もこうして活動が続けられていること、新しい作品を世に出せることに感謝と凄みを感じずにはいられない。“心のふるさと”はここにある。生まれてこの方ずっとここにあった、いや、生まれる前からずっとあった。生きることで見えなくなって、見失って、また巡り逢って気づいて見つけて。そんなことを繰り返しながらたどり着くと、そこはいつも新しいようで懐かしい。これからも僕は”心のふるさと”の周りをぐるぐるとまわりながら、その匂いやら想いやら、温もりやら輝きやらを、あらゆる角度で描き続けるつもりだ。よければ一緒に、なるべく朗らかに。

home sweet home。全7曲、これがホタルライトヒルズバンドのニューアルバムです。

【リリース記念ライブ情報】
6月1日(土)柏DOMe
ホタルライトヒルズバンド
NEW ALBUM「home sweet home」発売記念ワンマンライブ
出演:ホタルライトヒルズバンド
会場:柏DOMe(http://kcdo.me/access/)
時間: 17:30 開場 / 18:00 開演(終演予定 20:00)
チケット:前売 3000円 / 当日 3500円(ドリンク代別)
※全自由席・入場整列順
※小学生以下入場無料
ついにワンマンライブ開催。3年分の想いを載せて、今のホタルライトヒルズバンドを余すことなく伝えます!

8月2日(金)
会場 渋谷La.mama(https://lamama.net)
ホタルライトヒルズバンド NEW ALBUM「home sweet home」
リリース記念イベント in La.mama
出演:
ホタルライトヒルズバンド
荒川ケンタウロス
cozy cozy
open 18:00/ start 18:30
adv ¥3,000(D代別)/ door ¥3,500(D代別)
e+ URL https://eplus.jp/sf/detail/4088780001-P0030001
記念ライブの東京編はゲストに盟友・荒川ケンタウロスとcozy cozyの2バンドを迎えて、渋谷La.mamaをhome sweet homeな一夜にします!

●ホタバンオフィシャルYoutubeアカウント
https://www.youtube.com/user/hotallighthillsband
(チャンネル登録よろしくお願いします!)
●オフィシャルWEBサイト
https://hotaban.com

《藤田リュウジプロフィール》
1985年大阪生まれ柏育ちのシンガーソングライター。ついにリリースとなったホタバンのニューアルバム。たくさんの言葉を詰め込みましたが、中でもこの一曲に込めたメッセージはコアです。「This is my life / ホタルライトヒルズバンド」末永くよろしくお願いします。



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