【座談会】SUKEROQUE・SHOHEI×柴山陽平×佐々木恵太郎「信頼できるメンバーだからステージで自由になれる」
最新EP『Blue Cheese Blues』で発揮されたファンク、ソウルミュージック、ロックを融合させたサウンドは、SUKEROQUEの魅力的な個性だ。SHOHEI(佐々木頌平)によるソロユニットでありつつ、バンド的な熱量も帯びた音楽性は、頼もしい楽器プレイヤー陣が支えている。柴山陽平(G)、佐々木恵太郎(B)にSHOHEIが寄せている信頼はとても大きい。3人が賑やかに交わし合う言葉は、彼らが育んできた絶妙なコンビネーションを伝えてくれる。6月8日に東京・渋谷TOKIO TOKYOで開催される初のワンマンライブ<ROQUEFORT DANCE HALL”ロックフォールダンスホール”>への期待も高まる取材となった。
■SUKEROQUEの音楽はバリエーションが幅広いので
■やっている側は大変でも聴く側はすごく楽しい
――みなさんそれぞれの最初の接点は?
柴山陽平(以下、柴山):僕は彼がSUKEROQUEの前にやっていたバンドの頃からの知り合いです。ライブハウスで対バンしていました。あれから何年くらい経った?
SHOHEI:8年くらい?
柴山:彼の前のバンドが解散する時に「勝負したいからギター弾いてくれ」と言われて、そこから一緒にやるようになりました。一応サポートとしてなのかな? サポートなのかバンドメンバーなのかよくわからないまま今に至っています(笑)。SUKEROQUEのメンバーは結構変わってきたんですけど、「この人、良いよ」って僕が呼んだのが恵太郎です。僕らも、もともと繋がりがあったんです。
佐々木恵太郎(以下、恵太郎):柴さんと僕が最初に会ったのは5年くらい前。別のシンガーソングライターのサポートを僕がしていた時に、柴さんが対バンのサポートだったんです。ライブの後にバーカウンターで飲んで話をした時のことを覚えてくれていて、声をかけてもらいました。
柴山:知り合ってから声をかけるまで少し空いたんですよね。僕が何かをSNSに投稿した時に急に「いいね」を押してくれて、「そういえば恵太郎がいた」と。
恵太郎:「いいね」のおかげです(笑)。
柴山:最初に誘ったのは別の現場で、すごく良いベースを弾いたんです。SUKEROQUEの曲はバリエーションが幅広いので、彼が適任かなと。
▲佐々木恵太郎
――前のバンドをやっていた頃のSHOHEIさんは、どんな感じの人でした?
柴山:概ね今の感じです。「色物」までは行かないけど、もっとコンセプトを持ってやっていました。
SHOHEI:今の僕がより不自由になった感じです(笑)。そういえば……前のバンドのギターがサポートだった時期に「なんで俺に弾かせてくれないの?」って柴さんに言われたことがありました。
柴山:前のバンドのサポートのギタリストに僕はたまにギターを教えていたんです。「だったら俺が弾いた方が良いな」と。
――SHOHEIさんは、柴山さんのどのような部分に魅力を感じてギターを弾いていただくことにしたんですか?
SHOHEI:恵太郎にも同じようなことを思うんですけど、手元にエネルギーがあるんですよね。出てくる音も、弾く手元にもしっかりとエネルギーがあるので。
柴山・恵太郎:ありがとうございます!
SHOHEI:今回のEPのレコーディングでも、それを改めて感じました。手元からちゃんとグルーヴが出ている感じが楽しいです。
恵太郎:嬉しいです。練習してテクニックを磨くこともしていますけど、結局ライブもレコーディングも、そういういう気持ちから出てくる部分が大事なので。
柴山:デモ音源は既に出来上がったものがありますけど、そこにさらに何かを加えるとしたら人間味とかプレイのエネルギーなんですよね。
恵太郎:自分はオールディーズの音楽でベースを学んできたので、SUKEROQUEで弾く時は「最先端のことをしている」という意識を持ちつつ自分の色を出すようにもしています。
SHOHEI:最先端? その自覚はないですね(笑)。あまり時代感は意識しないように心掛けているので。時代感を意識すると、いつか廃れてしまうから。「やりたいことをやった結果、時代の先端にいられる」みたいな感じになりたいと思っています。
▲SHOHEI
――時代の旬よりも自分の旬を大切にするということでしょうか?
SHOHEI:そういうことですね。自分の旬をやり続けるのが、何歳になっても一番楽しいことだと思うので。
柴山:SUKEROQUEの音楽はバリエーションが幅広いので、やっている側としては大変なんです。でも、聴く側としてはすごく楽しいんですよね。とっ散らかっているわけではなくて、SHOHEIが歌うことで1つの軸が生まれているのがSUKEROQUEです。そういう点でも「ソロプロジェクト」ですね。
SHOHEI:僕はやりたいことが多くて、曲ごとにイメージすることがバラバラだったりもするので、意図を汲み取って想像以上にやってくれるメンバーがいて心強いです。
柴山:大変だけどね。
SHOHEI:甘えまくっています(笑)。「みんなならやれるでしょ?」って安心しながら曲を作っていますから。
恵太郎:ある程度こちらに委ねてくれるところもあるので、やりやすい環境です。
SHOHEI:最初は迷ったけどね。しっかりガチガチに「これやって」って言う方が良いのかもしれないと考えたりもしたから。
恵太郎:今のこの感じがやりやすいです。
SHOHEI:プレイヤーとしてはそうなんだね。最低限押さえておきたい感じをデモで作って渡すのが今のやり方なので、ギターを入れていない時もあります。
――この3人の音楽的な共通項みたいなものはあるんですか?
柴山:そういうのはバラバラなんですかね?
恵太郎:あまりそういう話をしたことがないです。僕は親がカントリーのミュージシャンだったので、その辺りがもともと刷り込まれていました。中学くらいから洋楽を調べ始めて、当時はギターを弾いていたんですけど、ヘヴィメタルをいっぱい聴いていました。メタリカ、ガンズ、ホワイトスネイクとか。
柴山:僕は歌うのが好きだったので、歌うのとギターの好みはまた別だったりもするんです。ギターで言うと好きなのはブルース、ファンク寄りですね。SHOHEIはブルースに関してはそんなに好きという感じではないと思うんです。でも、今回のEPで僕が弾いた曲は、ブルースの要素が入っていたりするんですよ。お互いの別々の要素が合わさってSUKEROQUEの面白みが生まれている感じはあるんだと思います。
――ブルースといえば、今回のEPのタイトルは『Blue Cheese Blues』です。
SHOHEI:僕の中にブルースの感じはあんまりないんですけど(笑)。でも、ファンクとかブラックミュージックは好きです。
▲『Blue Cheese Blues』
――この3人の共通項は、ブラックミュージック的な要素なのかも。
SHOHEI:そうだと思います。今までこの3人で一番盛り上がったのは、レッチリのスレイン・キャッスルでの「バイ・ザ・ウェイ」のモノマネをした時ですから。
柴山:リズムを感じる音楽が好きだというのは、共通項なんでしょうね。
SHOHEI:学生の頃のコピバンは、「バイ・ザ・ウェイ」をやるバンドが3つくらい続いたりしていたよね?
恵太郎:そうですね。あと、「キャント・ストップ」をやるバンドも多かった。
SHOHEI:そうそう!(笑)。
恵太郎:僕もフリーのベースをコピーしていましたからね。
SHOHEI:こういう音楽の話って、今まであんまりしてきていないんですよね。
柴山:仕事仲間というよりも、友だちみたいな感覚なので。打ち上げでもしょうもない話ばかりしています。
SHOHEI:どういう話してるっけ? しょうもなさ過ぎて覚えていない(笑)。ジブリのモノマネ大会したり?
恵太郎:名フレーズ大会ですね。あんまり有名じゃないけど、「そのセリフ、あった!」ってなるのを探したり。
SHOHEI:あと、遊戯王カードの絵面当てゲームとか……この場でわざわざ紹介するようなものが全然ないです(笑)。
柴山:時間の無駄です(笑)。始まると長いですからね。
SHOHEI:普段どういう話をしてるのか改めて考えると思い出せないけど、会話が途切れたことはないんですよね。
恵太郎:話のきっかけはSHOHEIさんが多いですよ。でも……どういう話をしているのか全然思い出せない(笑)。着眼点が面白かったりするんですけど。
▲柴山陽平
――SHOHEIさんは、昔のカルチャーに詳しかったりもしますよね。アレンジャーの佐々木聡作さんとの対談でも『美味しんぼ』の話が出ました。
SHOHEI:恵太郎も『美味しんぼ』に結構詳しいでしょ?
恵太郎:キャラクターくらいしかわからないですよ。
SHOHEI:僕、『美味しんぼ』のエンディングテーマの「LINE」っていう曲が、すごく好きです。あれに影響されて作った曲もあります。
柴山:これ、『美味しんぼ』についてのインタビュー?(笑)。
――(笑)。こういうノリで、普段からお互いの話が広がっているんでしょうね。
柴山:まさにそうです。
――この機会にお互いに話し合いたいことは、何かありますか?
SHOHEI・柴山・恵太郎:……………………………(長い沈黙)。
恵太郎:何も出てこない(笑)。
SHOHEI:ええと、最近のJ-POPは、どういうのが好き?
柴山:なんか無理やりな質問だなあ(笑)。
恵太郎:Mrs. GREEN APPLEとか? ライブもすごいですよね。大森さんの歌とか。
SHOHEI:あっ!「traveling」、良かった。
――宇多田ヒカルさんの?
SHOHEI:そうです。
柴山:最近出たベストアルバムの再レコーディングの「traveling」、良かったね。
SHOHEI・柴山・恵太郎:………………………(再び長い沈黙)。
――『美味しんぼ』の話はあんなに盛り上がるのに、音楽の話になるとあまり盛り上がらないのはなぜでしょう?
SHOHEI:なぜでしょうね?
――音楽的な部分は演奏をしながら言葉を超えて通じ合えているから、改めて話すまでもないということ?
SHOHEI:かっこよく言うと(笑)。
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