【コラム】年齢シリーズ「20」「23」そして「25」から見えるeillの生き方とは
eillが、2月28日に新曲「25」をリリースした。
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これまで自身の年齢の節目ごとに「20」「23」という形で、それぞれの年齢から見える価値観やメッセージを楽曲にして発表してきたeill。年齢と共に、アーティストとしての経験を重ねる彼女の“今”を表す代表的なこのシリーズは、ファンの間でも非常に人気の高い楽曲となっている。
2023年にアーティストデビュー5周年、そして25 歳を迎えたeill。今作「25」で彼女はいったいどんなことを伝えようとしているのか。これまでにリリースされた“年齢シリーズ”の楽曲に込めた思いを振り返りながら、紐解いていきたい。
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20歳の時に発表した「20」は、キラキラとしたサウンドに、eillの甘い歌声を乗せたキュートな印象の1曲に仕上がっている。そのメッセージを一言で表すのなら、歌詞にもある通り《無敵な20》《史上最強の20s》を全力で表現した1曲だろう。
この輝きは、どこからくるのか。それは幼い頃から漠然と憧れていた“大人”になれたことで得た希望が溢れ出した結果ではないかと考える。実際に、MVの中には“15のあたし”から“20歳の自分へ”と宛てたメッセージが映し出される1シーンがあるのだが、そのメッセージは非常に前向きだ。「もしも、まだ夢を叶えられてなかったとしても 絶対に「あきらめないで」ファイト!」と。
この“15のあたし”がeill本人だと仮定し、eill自身の15歳を振り返ってみると、ちょうど彼女が歌い始め、パソコンで作曲をスタートさせたころと重なる。大人になることに憧れていた15歳の頃のeillが描いていた、アーティストになるという夢。それを叶えた20歳のeillだからこそ生まれてくる自信やポジティブなマインドは誰にも止めることはできない。
もちろん《誰かが描いた未来の先になんて興味はない》《何十回悩んでも 答えはまだ出てこない》とあるように、不安に思うことはあれど《なら そのままでもいいじゃん》と自分自身を鼓舞。未来なんてわからないのだから、とにかく今を全力に。《なにも怖くはないよ》《なんにだってなれるから》と、自分自身の可能性を信じ、とにかく今の生き方を肯定するような1曲なのだ。
一方で「23」はギターのサウンドと、ゴスペル風のコーラスとともに歌い上げる歌声から力強さを感じる1曲。「20」と同様、今を生きることを歌っている点では共通しているが、似て非なる部分もある。
例えば、「20」では《WE 永遠の20》と歌っていたのに対し、《We don’t live forever 永遠がなんだ》と歌っているところ。アーティストとして歩んできた2年で、わずかに心境が変化したのではないかと感じさせられる。
「23」をリリースした2021年のeillといえば、4月にTVアニメ『東京リベンジャーズ』のエンディング主題歌「ここで息をして」でメジャーデビューを果たし、彼女にとっても大きな転機となった1年。そう考えると「20」のころから比べて、出会った人の数も積んできた経験も着実に増えていったことは言うまでもない。
そんな日々の中で、酸いも甘いもを経験したこと、決して“永遠に”無敵モードでいられるとは限らないということに気づいたのだろうというのは、《happy:)もunhappy:(も 抱きしめて気づいたの この痛みは私だけのものだって)というフレーズからも容易に想像できる。
つまり《なんにだってなれる》《なにも怖くはないよ》と信じていた20歳の無敵状態から、痛みを知り《大人になっても 怖くなっていいんだよ》と思えるようになった状態に。少しずつ現実を知り、そして自分自身が描く未来像が鮮明になってきたのが「23」なのだろうと思う。
しかし、それでもなお《不可能を可能にする“BLUE ROSE”》精神や、《いばらの道に飛び込んでみようさあ》と思えるチャレンジ精神を持ち合わせており、《今を生きて生きてみればいい》と思えるのが、おそらく当時のeill。
メッセージとしては「20」で歌ったように「今を生きる」ということに変わりはないが、そこに至るまでは楽しいことばかりではないし、永遠なんてない。だからこそ、がむしゃらに地に足をつけて、一瞬一瞬を大切に生きようという力強い意思表示がされている楽曲なのだ。
そして今回リリースされた「25」は先述した2作とは楽曲の雰囲気が一変している。アップテンポなメロディとラップ調の歌い回しは、まるで東京という忙しない街を生きる人が日々感じている、時の流れの速さを表しているようだ。
歌詞も先述した2作と比べると《現実/理想の間 ジェンガ壊す時よ今》など、ただただ前向きというよりは、心の内に潜む不安を感じさせるのも事実。
改めて整理をすると、eillが歩んできたアーティストとしてのキャリアは、客観的に見て、非常に輝かしく順風満帆だ。2022年には劇場版アニメ『夏へのトンネル、さよならの出口』の主題歌と挿入歌を担当。そこで起用された「フィナーレ。」が2023年に入り韓国と台湾を中心にスマッシュヒットとなり、同年10月には韓国・ソウルでのワンマンライブを開催。ソールドアウトを記録。
そのほかにもTVCMや映画など、さまざまな場面で楽曲が起用されてきた。さらにいうならば、日韓でファッションアイコンとして活躍したり、韓国の6人組アイドルグループIVEのJAPAN 1stEP『WAVE』に収録されている楽曲「After Like〜Japanese ver.〜」「Take It〜Japanese ver.〜」の日本語歌詞を担当したりしたことも。加えて、BE:FIRST、テヨン(ex 少女時代)、EXID、WEST.、NEWSらに楽曲を提供するなどソングライティングの面でも高い評価を受け続けている。
だけれども、eill自身、周りと比べて「このままでいいのか」と悩み、25歳ならではの曖昧さに戸惑うこともあるというのを表した楽曲が「25」である。
25歳を経験したことがある人ならば、想像できるだろうが25歳というのは非常に曖昧だ。これまでは足並みを揃えていたはずの人生が、一気にそれぞれの方向へと動き出すような感覚がある。進学や就職などある程度の舗装はされていた道が突然ぷつんと途切れ、一気に大海原に放り出されたような状態になるころなのだ。
特にわかりやすいのは、結婚や出産という面において。自分にとって身近な友人が結婚したり、出産し母親になったりする側、子どもの頃から変わっていない、自分で自分のこともままならない自身の稚拙な一面が目についてしまい、焦燥感を覚える。
また《時代はあなたを測るものさし持ってない》とあるように、成長しているのか、前進できているのかを教えてくれるわかりやすい指標もなく、今、自分がどんな状況なのかを捉えることも非常に難しい。だからこそ「20」の頃に《想像してた未来はずっと大人だった》と思ってしまうし、もっと輝いていたはずだからこそ《こんなもんでいいのかって》と不安になってしまう。そんな生きづらさをありのままに表した楽曲なのだ。
しかし、あくまでも悲観的ではないのがeillの楽曲における魅力の一つ。悩むことはあるけれども《Bad things ばかりじゃない》《想像してた未来よりずっと綺麗だね》と表現。そして、最終的には《素晴らしき このlife》と締めくくられている。さらに、この楽曲のジャケット写真やMVの最後、スタッフロールの際に映し出された脱ぎ捨てられたワードロープからは気楽さや、肩の力を抜いていいというメッセージを感じる。きっとeillは「25」という一つの作品を通して、自分自身に「このままで大丈夫」「今のまま生きたら大丈夫」と多角的に言い聞かせ、肯定しているのではないだろうか。
「20」「23」「25」を通して、eillは今を大切に生きること、そして自分の人生に光を当てるのは自分次第であるという前向きなメッセージを伝えたいのではないか。
もちろん、生きていれば暗くなる日だってある。しかし、結局は自分が自分の味方であること、迷いや不安に直面した時に背中を押すのは他の誰でもなく自分自身であるということを教えてくれているeill。これから先、彼女はどんな“今”を提示し続けてくれるのか、引き続き見つめていきたい。
文◎於ありさ
リリース情報
2024年2月28日(水)リリース
URL:https://lnk.to/eill_25
ワンマンライブ情報
会場:Zepp DiverCity(TOKYO)
料金・券種:6,500円(税込)
1Fスタンディング(整理番号付き)
※お一人様4枚まで(分配可)
※未就学児のみでの入場不可。4歳以上要チケット
※録音・録画機材(携帯電話)使用禁止
※営利目的の転売/譲渡禁止
※別途ドリンク代
リリース情報
2024年2月28日(水)リリース
URL:https://lnk.to/eill_25
韓国・ワンマンライブ情報
開催日時:2024年4月28日(日)
会場:ホンデ・Rollinghall (https://www.rollinghall.co.kr/default/)
開演:19:00
チケット販売サイト:YES24 TICKET
チケット販売URL:http://ticket.yes24.com
チケット販売日時:2月19日(月)正午〜
※予定枚数に到達次第販売終了
料金:88,000WON
座席:オールスタンディング
公演に関する問い合わせ:
韓国:http://ticket.yes24.com
日本からのお問い合わせはこちらのDMへ:
https://www.instagram.com/muz_pace_ent/
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