【ライブレポート】G-FREAK FACTORY、<RED EYE BLUES>ファイナルに鬼のサプライズも「ミュージシャンじゃない。バンドマンだよ」
G-FREAK FACTORYが2月3日、渋谷Spotify O-EASTにて<“RED EYE BLUES” TOUR 2023-2024 FINAL>を行なった。
◆G-FREAK FACTORY 画像
2023年9月にシングル「RED EYE BLUES」をリリースし、10月からスタートした今回のツアーは、親交の深いバンドを各地でゲストに招き、年をまたぎながら全国18本におよぶライブを成功させてきた。そしてツアーファイナルとなった19本目は、久しぶりのワンマンである。
18時、気持ちを吸い込まれる神秘的な音が広がる中、ステージは青白い光に包まれていった。そこに現れた原田季征(G)、吉橋“yossy”伸之(B)、Leo (Dr)、サポートの多畠幸良(Key)。原田の弾くうねるようにグルーヴするギターフレーズを合図に「APPLAUSE FOR THE LOCAL HERO」が響き渡っていくと、ステージにゆっくりと歩み出てきたのは茂木洋章(Vo)。ひと言ずつ噛みしめながら意思と想いを伝え、最後に“広げるテリトリー”と歌いながら腕を広げオーディエンスを大歓迎。
直後、始まったのは「RED EYE BLUES」。心地よいグルーヴが、転調と共に激しさを増していくと、フロアのそこら中からコブシが上がってヘヴィにうねり、さらにハンドクラップも巻き起こる。この時代に、この日本で生きる者なら、絶対に抱えている社会や政治への疑問と不満を吐き出す曲だが、ここにあるのはギラギラした生命力と強さ。闘いの狼煙のごとく歓声も歌声も起こり続けた。そんなオーディエンスを目にしながら茂木が「よく来たな、はしゃいでいけ!」と叫ぶと、「SOMATO」ではクラウドサーフも連発。さらに「乞え〜KOE〜」では、気持ちを奮い立たせながら共に歌うオーディエンス。序盤から心も身体も突き動かされっぱなしだ。
「帰ってきたな、ライブハウス。なんとなく年が明けたんで、一応、言っとくわ。おめでとう。日本のアフリカ=群馬県で27年間活動してまいりました、何を隠そうヴィジュアル系バンド、G-FREAK FACTORYです。本日も見てのとおり、本当にカッコ良くてすいません。みんな、元気で良かったよ。今日は節分だけど、ゲストとか一人もいないんで。アイツも忙しいんだよ。俺たちだけでいくんで、最後までよろしく」──茂木洋章
いつものようにシャレの利いた挨拶を繰り出し、馴染みのファンたちともコンタクトを交わし、温かい雰囲気にも包まれるライブ会場。そしてG-FREAK FACTORYは音楽で酔わせていく。
「DAYS(#29)」はシティポップスの要素もふんだんに吸収し、各メンバーの音楽的なセンスも光る。続く「日はまだ高く」はピースフルなレゲエで、優しさも温かさもたっぷり。みんな笑顔で歌い、手を叩き、曲とひとつに。さらにライブで長年、育て上げている「チャンダンの香るこの部屋から」へ。鋭く切り込むメッセージの数々と依存性の高いメロディ、説得力ある演奏力は、さすがG-FREAK FACTORYである。
「チャンダンの香るこの部屋から」の歌詞の一節を絡めながら、世の中に変に振り回されることなく、人間らしく自分らしく生きていく大切さをMCで伝える茂木。「らしくあれと」からは、心と心で対話するようにライブは展開した。G-FREAK FACTORYの曲は、弱った気持ちを救い出し、負の感情を解放させ、顔を上げさせる。激しく盛り上がる場面も当然あるが、常にぬくもりで包み込んでくれる。曲を一緒に歌いながら、メッセージを自分自身にも染みわたらせて、オーディエンス一人ひとりも前向きな気持ちに。特効薬とも呼べる曲であり歌がここにある。
また<“RED EYE BLUES” TOUR>は、ドラムのLeoが正式加入して初めてのツアーでもある。シングル「RED EYE BLUES」のレコーディングや、サポート参加時代からのライブで、すでに彼の力量の凄さは感じていたが、ツアーを廻って、G-FREAK FACTORYとの相性はさらに良くなっている。細かい表情を付けたシンバルワーク、リズムのキレ、そして20代らしい若さに溢れた音のダイナミズムなど、聴き惚れてしまうほどのテクニシャンでもある。LeoはG-FREAK FACTORYの既存曲をさらに起伏豊かなものに変貌させ、魅力的に呼吸させていく。
そんなLeoが刻むリズムの中、吉橋がレゲエのベースラインでグルーヴさせ、原田がカッティングしながら始まったのは、ライブ中盤過ぎのジャム。G-FREAK FACTORYのバンドサウンドを背負いながら茂木は、バンド結成直前の日々や結成後の格闘ぶりを言葉にしていった。そしてラストにこう言い放つ。
「俺たちは27年間やってきた“ミュージシャン”じゃない。見て分かるとおり“バンドマン”だよ。仲間がいてさ、刺激をくれる同世代がいてさ。俺ら世代のバンド、ヤバくね? 行けるところまで行ってみようと思う」──茂木洋章
そのまま「島生民」へと続き、茂木が激しく浴びせる言葉の数々とG-FREAK FACTORYの放つ力強い音はみんなに喝を入れていく。ドでかい声のコーラスが自然に起こる「Too oLD To KNoW」では、オーディエンス一人ひとりの明るくなっていく表情を確かめ、笑みも浮かべるG-FREAK FACTORYのメンバー。両手をあげて、さらに大きく声を響き渡らせるオーディエンス。心の熱は何度もの最高潮を迎えていた。G-FREAK FACTORYの特効薬は素晴らしい効き目だ。
そして平和を願うナンバー「ダディ・ダーリン」のとき。曲の中盤で豆を自ら投げながら鬼の面をつけた漢がゆっくりと現れた。鬼こと、BRAHMANのTOSHI-LOWだ。茂木は驚きながらも喜び、TOSHI-LOWと共に歌い上げていく。
曲の中盤でTOSHI-LOWは平和について思うことや感じることを歌うように語り、「戦争は作り出される。けど平和も、作っていくもんじゃねえのかな、兄弟」と言葉を投げかける。すると茂木はやはり歌うように「なあ、兄弟。来るなら来るって、せめて1時間前に言ってくれないかな」と語る。また「同じ年、同じ血液型、同じ日に生まれた、同じバンドマン。でもコイツの背中はすげーでけえ。乱暴に見えるけど、中身はとてもハートフルなヤツなんだよ」と続ける。そのたびに沸く歓声と拍手。曲のエンディングでTOSHI-LOWは「“鬼退治”とか言ってるヤツを返り討ちしに来た。だけど今日は退治されてやるよ。だってオマエら(G-FREAK FACTORY)、ホッカイロを能登に持って行ったんだろ。東京でこんな寒い夜は、能登の夜も寒いだろうな」と締めくくる。願うだけではなく、行動に移すG-FREAK FACTORYや音楽ファンに賛辞を贈った。
こうして、ここにいる全員が絆を深めながらライブはエンディングへと突き進む。ステージとフロアという立っている場所の違いはあれど、全員が仲間。共に声を出して歌いながら心の震えも感動も感じ続けた。
アンコールでは、9月21日および22日の2日間、日本トーターグリーンドーム前橋で<山人音楽祭 2024>を開催することが、どこよりも早く発表となった。夢が叶うことを記念して<山人音楽祭 2023>のときの白い達磨に目玉も入れ、みんなで一足早く祝福。笑顔と希望に溢れる中、G-FREAK FACTORYはアンコールで「呉々も日の暮れと」「BE ALL AROUND」「GOOD OLD SHINY DAYS」といった3曲を披露。「ちょっと痩せた」という吉橋のジャンプに合わせてラストの一音をみんなで決めるという、和気あいあいとしたムードに幸せも感じるツアーファイナルとなった。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎上坂和也
■<G-FREAK FACTORY “RED EYE BLUES” TOUR 2023-2024 FINAL>2024年2月3日(土)@東京・渋谷Spotify O-EAST セットリスト
02. SOMATO
03. 乞え-KOE-
04. DAYS (#29)
05. 日はまだ高く
06. チャンダンの香るこの部屋から~第二章~
07. らしくあれと
08. 奮い立て 合い燃えろ
09. EVEN
10. REAL SIGN
11. Unscramble
12. 島生民
13. Too oLD To KNoW
14. ダディ・ダーリン w/ TOSHI-LOW (BRAHMAN / OAU)
15. Fire
16. アメイロ
encore
17. 呉々も日の暮れと
18. BE ALL AROUND
19. GOOD OLD SHINY DAYS
■<山人音楽祭2024>
9月22日(日/祝) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
※群馬県前橋市岩神町1丁目2-1
open9:30 / start11:00 (終演 20:00予定)
▼出演者
G-FREAK FACTORY / and more
▼チケット
・1日券:8,800円(税込)
・駐車場付 1日券(9/21):10,000円(税込)
・駐車場付 1日券(9/22):10,000円(税込)
・2日券:17,000円(税込)
・駐車場付 2日券:19,400円(税込)
※駐車場付チケットは先行受付のみの取り扱い
【オフィシャルHP先行】
受付期間:2月4日(日)12:00~3月3日(日)23:59
https://w.pia.jp/p/yamabito24hp/
(問)DISK GARAGE:https://info.diskgarage.com
主催:DISK GARAGE/BADASS/上毛新聞社
企画・制作:DISK GARAGE/BADASS
■『MAKE A PROMISE TO NOTO』ラバーバンド発売
販売価格:1,100円(税込/送料別)
受付URL:https://store.yamabito-ongakusai.com/
※<山人音楽祭>では、2024年1月1日に発生した能登半島地震被災地支援のため、チャリティーラバーバンドを発売。
※通販にて受付開始、3月上旬より順次発送予定。
※ラバーバンド販売の収益は、<山人音楽祭>からの能登半島地震の被災地支援に。
※募金先・支援先詳細等は後日お知らせ。
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