【今さら聞けない楽器のア・ソ・コ】お題「トラスロッド」
“楽器”と一口に言っても、多種多様さまざまな部品から構成されているのはご存知の通り。え、そうなの?的なものから、世界の民族楽器まで、今さら人には聞けない“楽器のア・ソ・コ”、ご紹介します。第111回のお題は「トラスロッド」です。
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(C)Ri Butov / Pixabay
ギターのトラスロッドは、ギターのネック(首部分)に取り付けられた調整装置で、ネックの曲がりや反りを調整するための重要な部品である。トラスロッドはギターのプレイアビリティ(演奏性)や音楽的な特性に大きな影響を与える。
トラスロッドは、通常、ネックの内部に埋め込まれており、ネック全体の長さに沿って伸びている。ギターのヘッドストック(頭部)の近くに、ネックとの接合部分にアクセス可能なトラスロッド・カバーが設けられていることが多い。トラスロッドは一般的にスチール製で、ヘキサゴン(六角形)またはボックス型のネジの形状をしている。
トラスロッドの主な目的は、ネックの曲がりや反りを調整すること。気温や湿度の変化、ギターの弦の張力などによって、ネックが曲がったり反ったりすることがあり、トラスロッドを調整することで、ネックの曲がりや反りを適切なレベルに保ち、演奏性や音楽的な特性を最適化することができる。
調整は、専用のアレンレンチ(六角レンチ)を使用して行う。トラスロッド・カバーを取り外し、アレンレンチをトラスロッドの調整穴に挿入して時計回りまたは反時計回りに回すことで、トラスロッドの緊張度を調整する。時計回りに回すとトラスロッドが緊張し、ネックが反る。反時計回りに回すと緩和し、ネックが曲がる。過度な調整はネックやギターの構造にダメージを与える可能性がある。トラスロッドの調整は、慎重に行い、少しずつ調整しながらギターの状態を確認することが重要だ。またトラスロッドを調整する前に、プロのギターテクニシャンに相談することをおすすめする。
ギターのトラスロッドは、プレイヤーが自身のプレイスタイルや環境に合わせて調整できる重要な要素。適切なトラスロッドの調整は、快適な演奏性と良質な音楽体験を実現するために欠かせない要素と言える。
文・編集部
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