【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞PROMPTS、聖地・幕張開催トップバッター。ただの記念では終わらない

遂に＜SATANIC CARNIVAL＞が聖地・幕張に帰ってきた。コロナ禍が影響して幕張を離れるという苦渋の決断を余儀なくされたこともあった。しかし、どんなに困難な状況でも＜SATANIC CARNIVAL＞は攻めの姿勢を崩さなかった。イベンターを頼らず独力で運営するという、大型フェスとしてはほかに例を見ないスタイルだからこそ、先鋭的なアイデアや数々の工夫で独自の方法論を確立し、ここまで突き進んできたのだ。だから、今年のサタニックはただ元の会場に戻ったのではない。コロナ禍でも必死に這いつくばって獲得した数々の経験という宝ともに進化し、サタニックを愛する人々とともに、みんなで戻ってきたのである。

◆ライブ写真

そんな記念すべき今年の＜SATANIC CARNIVAL＞EVIL STAGEでオープニングアクトを任されたのは日韓ハイブリッドメタルコアバンド・PROMPTSだ。ライブ開始前、バックヤードでRyuki Matsuno（G）を見かけたので声をかけると、「エモいっす」とひと言。ようやくこの大舞台までたどり着いたという感慨があったのだろうが、彼らの実力からするともっと前からここにいてもよかったぐらいだ。だから、久々となる幕張開催のトップバッターという重要な役割も、爆音とともに難なく乗り越えると思っていたし、実際のところそうなった。


PROMPTSを先導するのは黒のタイトなスーツに身を包んだ韓国人ボーカリスト・PK。MCで、4年前にPIGURI(B, Vo)とともに日本にやってきたと話していたが、もちろん成功するあてなんてなかった。ただ、日本で音楽がやりたいという一心でやって来たのだ。多くの女性ファンを惹きつける整った顔立ちとは反対に、泥臭くこの国で生き抜いてきた苦労人なのだ。

PROMPTSのサウンドはヘヴィでメタリックなだけではなく、2曲目の「Möbius」のように脳みそが揺れるぐらいトリッキーな展開や、最高に痺れるギターフレーズを挟んだりして複雑な部分もあるが、PKが「回れー！　サークルピット！」「ウォールオブデス！　真ん中あけろー！」と的確なタイミングで的確な言葉を挟むことで、初見の観客もグイグイ巻き込んでいく。彼には天性のカリスマ性があるのだ。



最初のMCでPKは、「（韓国人だけど）もちろん、北朝鮮ではないよ。ミサイルは撃たないから安心して」とブラックなジョークで場を和ませる。そして、上裸のサポートギタリスト・Yasuiが先日、Crystal Lakeとのツアー中に骨折したことをPKが話すと、本人はすかさず「関係ねえよ、マジで」と言い放つ。この気合いの入り方がいい。さらに、PKは＜SATANIC CARNIVAL＞に出ることは自分たちの夢だったと話し、「今日はムカついてる心を全部俺らにぶちこんでください」と呼びかけ、「Locust」をプレイ。



「Black Pill」ではPIGURIのクリーンボーカルが冴え渡り、複雑な曲展開に合わせた照明がフロアのテンションをグッと上げていく。人気曲「Asphyxiate」でPKはフロアに突っ込み、あっという間にラストの「Empty Sandglass」へ。激ヘヴィに展開しながらも、背後から強烈な照明に照らされる中、Heaven（Dr）とPIGURI以外のメンバーがずらりとステージ前方に並ぶ姿は非常にドラマチックだった。

PROMPTSは次世代を担うメタルコアバンドだと自分は信じている。今回のオープニングアクトはただの記念では終わらない。来年はもうワンステップアップして幕張に戻ってきてくれることだろう。



取材・文◎阿刀大志
撮影◎瀧本“JON”...行秀