【ライヴレポート】LUNA SEA、<THE BEST OF LUNA SEA「Day1 -A Rosy Show-」>「今日は新しい門出です」
LUNA SEAが5月27日と28日に東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナで<THE BEST OF LUNA SEA 2023>を開催した。
◆LUNA SEA 画像
ベストセレクションを想起させるLUNA SEA初の試みのライヴが何を意味するのか、開催発表された当初から考えていたが、後に初日が<A Rosy Show>、2日目が<A Show for You>と題されてからますます彼らの現在地が気になった。
ƒLUNA SEAにとって初めて立つ会場、そしてコロナ禍を経ての“声出し解禁ライヴ”となった初日の<A Rosy Show>は4階まで埋め尽くされたファンの歓声、歌う声がとにかく感動的。アンコールでSUGIZOは「今日からがLUNA SEAにとって新しい門出」と形容し、真矢も「新生LUNA SEA」と表現していたが、だからこそ、彼らは一区切りのようにも思える<THE BEST OF LUNA SEA >から始めたかったのではないか。
終幕前に発表されたヒットシングルが数多く披露された<A Rosy Show>は、初めてLUNA SEAのライヴを目の当たりにする人にとっても十二分に楽しめる内容であり、同時に紛れもない2023年のLUNA SEAを刻みつけたアクトだった。17時開演予定だったライヴは機材トラブルのため、約40分押しで幕を開け、一発目に叩きつけられたのがLUNA SEAの代表曲であり、鉄板曲である「ROSIER」という衝撃。ステージ背後のLEDヴィジョンと左右のスクリーンに<A Rosy Show>を象徴するような薔薇をモチーフにした鮮やかな映像が映し出され、ファンの歓声の中、Jが「行くぞ! 武蔵野!」と叫んでマイクスタンドを放り投げる。何百回ではおさまらないほど演奏されてきた曲なのにヒリヒリした緊迫感に貫かれている。
続いて投下されたのは真矢のカウントで入り、INORANのストロークに場内が沸きに沸いた「TONIGHT」。通常ならライヴ後半に持ってくる盛り上がり必至のナンバーを序盤に持ってくる攻めのセットリストだ。5月29日に結成34年を迎えるロックバンドとは思えない底知れないエネルギーがステージに渦巻いていた。
グッズとして販売されていたLUNA SEA LIGHT (赤外線通信の遠隔操作機能付きブレスレットライト)は今回、初めて導入されたもので、曲によって色を変えるライトはライヴの新たな演出となり、ドローンを使った撮影やリリックが映し出された映像とともに披露される楽曲があったのもLUNA SEA史上初。これまでの歴史を統括するベストライヴというイメージは気持ちいいほどにひっくり返された。むしろ革新的なLUNA SEA。MCの途中でサングラスを外したRYUICHIに歓声が上がる。
「みんな会いたかったぜ! 今夜は声出し解禁じゃん? <THE BEST OF LUNA SEA>、最初から最後まで思いきり盛り上がっていこう! みんなの声を聴いてもうちょっと涙ぐんでますけど、最高の夜になると思います」──RYUICHI
「TRUE BLUE」「END OF SORROW」など1994年から1996年にオリコンチャートの1位を獲得した大ヒット曲が立て続けに放たれ、SUGIZOのロングトーンを活かしたギターソロが場内に気持ちよく響きわたる。初期衝動が突き動かしているが故に、LUNA SEAの曲たちは長い時間が経過しても色あせることがないのだろう。“門出”も未来を示唆する重要なワードであり、同時に“復活”も<A Rosy Show>を語る上では欠かせない要素だった。その最たるものは集まったファンの声だ。みんなの歌う声が場内を包みこんだ「SHINE」、大歓声の「IN SILENCE」では背中合わせになったINORANとRYUICHIのアコギと歌だけになるセクションもあり、“空が海を抱いてた”という歌詞と共にビジョンが美しいエメラルドグリーンに。浮遊感と陶酔感が身体を揺らす。メンバーも感極まっていたが、ステージと客席がポジティヴなエネルギーをぶつけ、交換し合うことによって生まれる空間はやはり、何者にも代えがたい。
「今日は初日<A Rosy Show>ということもあって、こんな曲を用意してきました。みんな、もうわかるよね?」──RYUICHI
ヒットナンバーが7曲披露された後、SUGIZOがバイオリンを構え、美しい旋律を奏でると大歓声。INORANがアコギを弾き、RYUICHIと3人編成で贈られたのは「ROSIER」のカップリングに収録され、ライヴの人気曲だった「RAIN」のアコースティックヴァージョンだ。この編成で演奏されるのは30周年の日本武道館以来。
そして、ライヴ中盤でドラムソロ〜ベースソロのセクションが、コロナ前以来の復活を遂げたのもファンを歓喜させた。松明の火が揺れる中、着物風の衣装を羽織り、能の和楽器隊とのコラボレーションで幽玄の世界にいざなう真矢のセクションは2019年のさいたまスーパーアリーナ以来だ。阿吽の呼吸のセッションを終えた後はダイナミックでグルーヴィなドラミングで場内を熱狂させ、3年ぶりの“真矢コール”はいつにも増して熱い。「みんなの声は俺たち5人より美しいメロディを奏でてるで! “で”じゃなかった“ぜ!”」と笑わせ、「オマエら、最高にカッコいいぞ!」と叫んで締める。
続いて赤く染まったステージに登場したJは、ぶっ太いビートを叩き出し、「武蔵野! 飛ばしていくぞ!」「オマエたちの声、聴かせてくれ!」と絶叫。バックトラックと野性味溢れるプレイのギャップも刺激的で、場内の熱気はガンガン上昇。ひとりずつでもアリーナ会場を持っていく最強のリズム隊ここにあり。
「3年3ヶ月ぶり、声出し解禁ライヴです。やっぱ全然、違うぜ! 真矢くんと目を合わせてたら涙がウルウル。感動してます。3年間、いろんなことあったじゃん。よく我慢したよ。だけど、それぞれ、みんなペースがあるからさ。それぞれのペースで燃え上がっていきましょう! どんどん燃え上がっていこうぜ!」──J
と思いやりある言葉で客席を煽ったJ。そのJが「It’s Time to Go」と叫び、衣装を着替えたRYUICHI、SUGIZO、INORANの3人も揃って演奏されたのは、多くの人が驚いたであろう「INTO THE SUN」。2000年に東京ドームで開催された<THE FINAL ACT TOKYO DOME>初日に演奏されたナンバー(この時もベースソロの直後)が、まさか<THE BEST OF LUNA SEA >で聴けるとは。ヒット曲やライヴ定番曲ばかりと思わせて、こういう曲をぶち込んでくるのがまたLUNA SEAだが、あの頃より太く灼熱級の演奏、魂のこもったヴォーカルが迫る。“今生まれ変わる 光に包まれ 今生まれ変わる 愛の名のもとに”という歌詞が意味深に響いてきた。
ライヴ後半は「STORM」から駆け抜けるように。シンガロングがLUNA SEAのライヴを加速させ、本編ラストの1stシングル「BELIEVE」は大合唱。終了後のSUGIZOのペットボトル投げも復活した。
アンコールでは「今夜、集まってくれたみんなに、そしてWOWOWで観てくれてる全員に、次のナンバー届けたいと思います。心から」というRYUICHIの言葉と共に「I for You」でシンガロング。
“宇宙一のメンバー”を紹介するセクションでは、5人がひとつの未来を共有していることがメッセージから伝わってきた。ちなみに宇宙一のギタリストINORANは、最近寡黙に戻っていたが、この夜は喋りも復活。
「盛り上がってますか? (歓声に)やべえ、泣いちゃいそう。やっぱり、みんなの声を聞くと安心するというか、僕ら音楽を奏でる中で、本当に本当に改めてそう感じました。みなさん、どうもありがとう!」──INORAN
敬愛する音楽家、坂本龍一の逝去に打ちひしがれていたSUGIZOが、このステージで息を吹き返したのも明らかだった。
「LUNA SEA、そしてSUGIZO、みんなの元に帰ってまいりました。この3年間の闇を一緒に走ってくれてどうもありがとう。これから、さらに突き進んでいくので、LUNA SEAの今日は新しい門出です。これからもたぶん、コロナはいます。コロナと共存していく。インフルエンザが100年前にそうだったように。これからは新しい感覚、新しい解釈で。音楽やエンタメを本気で楽しんで、このポジティヴな熱を東京から日本中に世界中に、一緒に届けていきましょう。最高に愛おしいです。ありがとう」──SUGIZO
2022年の<LUNA SEA 復活祭 -A NEW VOICE->を超えてステージに立つRYUICHIも新たな未来を見据えている。
「本当にみんな、いろいろな想いで集まってくれたと思う。今、いろいろなことを自分たちで判断しなきゃいけない時期だよね。だから、すごく難しい時期だと思う。振り返って自分の足跡を確認することはあっても、後ろに戻ることは俺たちはないから。前に進むだけなので。だって、コロナ渦でも前に進んで、<CROSS>ツアーも俺たち、走り抜いてきたんだもん。どうしてもできなかった公演もあって、そのことは頭にずっと残ってるんだよ。だけどさ、これから先が繋がっていけば、絶対、どの会場でもまたできるじゃん。またみんなと盛り上がれる。だから、新しい歴史を作っていきましょう!」──RYUICHI
声援に少年のようなやんちゃな笑みを浮かべたのはJ。
「やっぱ、これだよね。戻るべき場所に戻ってきたね。俺、この3年間、コロナさんを探してたんだけどね。見つけたら蹴っ飛ばしてやろうかと思って。見つけたら教えてよ(笑)。SUGIZOが言うように門出です。RYUが言うように進んだわけです。これからガンガンいきましょう」──J
最後にジョークを混じえながらMCを締めたのは真矢。
「ホントに俺たちのライヴにはオマエたちの声が絶対に欠かせないってわかったぜ。SUGIZOが言うように今日からは新生LUNA SEA。オマエら、ちゃんとついてこいよ!」──真矢
「WISH」では<A Rosy Show>仕様のカラーのテープが発射され、最後には「特別な曲を用意した。俺たちの想い、受け取ってよ」というRYUICHIの言葉とともに、アルバム『LUNACY』収録曲「Crazy About You」が贈られた。2011年にさいたまスーパーアリーナで開催された東日本大震災復興支援チャリティライヴで披露されて以来の演奏。いろいろな思い出が詰まった名バラードで感動に包まれ、初日は幕を閉じた。
追い風でも向かい風でも、どんな時でも全力で音楽を届けてきたLUNA SEA。可能性にリミッターはかけない。だからこそ、伝説が生まれた。そして、また新たな夢に向かって突き進むために現在地を“門出”と形容したのかもしれない。
取材・文◎山本弘子
撮影◎田辺佳子/上溝恭香/清水義史
■<THE BEST OF LUNA SEA 2023「Day1 -A Rosy Show-」>5月27日(土)@東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ SETLIST
02. TONIGHT
03. TRUE BLUE
04. END OF SORROW
05. SHINE
06. IN SILENCE
07. gravity
08. RAIN 〜Acoustic Version〜
〜Drum Solo〜
〜Bass Solo〜
09. INTO THE SUN
10. STORM
11. DESIRE
12. JESUS
13. BELIEVE
encore
14. I for You
15. Déjàvu
16. WISH
17. Crazy About You
■<THE BEST OF LUNA SEA 2023「Day2 -A Show for You-」>5月28日(日)@東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ SETLIST
02. PRECIOUS...
03. STORM
04. DESIRE
05. Thoughts
06. IN MY DREAM (WITH SHIVER)
07. WITH
08. THE BEYOND 〜Acoustic Version〜
〜Drum Solo〜
〜Bass Solo〜
09. TONIGHT
10. 宇宙の詩 ~Higher and Higher~
11. TRUE BLUE
12. ROSIER
13. I for You
encore
14. Make a vow
15. BELIEVE
16. WISH
17. LOVELESS
■<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>
【神奈川】
10月07日(土) Kアリーナ横浜
<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
open16:30 / start18:00
10月08日(日) Kアリーナ横浜
<UN ENDING STYLE>
open15:30 / start17:00
【福岡】
11月04日(土) マリンメッセ福岡B館
<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
open17:00 / start18:00
11月05日(日) マリンメッセ福岡B館
<UN ENDING STYLE>
open16:00 / start17:00
【宮城】
12月02日(土) ゼビオアリーナ仙台
<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
open17:00 / start18:00
12月03日(日) ゼビオアリーナ仙台
<UN ENDING STYLE>
open16:00 / start17:00
【愛知】
12月16日(土) 日本ガイシホール
<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
open17:00 / start18:00
12月17日(日) 日本ガイシホール
<UN ENDING STYLE>
open16:00 / start17:00
【大阪】
12月30日(土) 大阪城ホール
<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
open18:00 / start19:00
12月31日(日) 大阪城ホール
<UN ENDING STYLE -COUNTDOWN SPECIAL->
open21:00 / start22:00
▼チケット
オフィシャルファンクラブ「SLAVE」先行受付
受付開始:5/31(水)15:00より
※これからのご入会でもお申込みいただけます。
■『MOTHER』『STYLE』
1994年10月26日リリース。代表曲「ROSIER」や、自身初のオリコン初登場1位シングル「TRUE BLUE」が収録されるなど、LUNA SEAの存在をこの世に知らしめた出世作。翌1995年12月23日には自身初の東京ドーム公演を即日ソールドアウト(5万人動員)。
▼TOUR<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>
アルバム『MOTHER』を携えて行われた全国ホールツアー
※1995年3月スタート
※全国27カ所31公演(総動員数:63,000人)
▼5thアルバム『STYLE』
1996年4月22日リリース。アルバム『MOTHER』に続く本作は、「DESIRE」「END OF SORROW」などオリコンシングルチャート初登場1位楽曲を収録。アルバムとしては初のオリコン初登場1位を獲得した。
▼TOUR<UN ENDING STYLE>
アルバム『STYLE』を携えて行われた全国アリーナ&ホールツアー
※1996年7月スタート(全国アリーナツアー<UN ENDING STYLE>)
※全国9カ所16公演(総動員数:120,000人)
※1996年10月スタート(全国ホールツアー<UN ENDING STYLE -TO RISE->)
※全国28カ所28公演(総動員数:58,000人)
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