【ライブレポート】ATEEZの時代が来ている「人生の理由になってくださってありがとうございます」

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ATEEZが、5月2日(火)と5月3日(水・祝)に東京 有明アリーナ、5月6日(土)と5月7日(日)に神戸 ワールド記念ホールにて<ATEEZ WORLD TOUR [THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL] ANCHOR IN JAPAN>を開催。昨年12月11日(日)と12日(月)の2日間にわたり幕張メッセにて2回目の日本単独コンサート<ATEEZ WORLD TOUR [THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL] IN CHIBA>を開催しており、アンコール公演を東京と神戸のこれほどの規模で開催すること自体が彼らの注目度の高さを物語っていた。

有明アリーナ公演の2日目。まさに目の覚めるようなライブだった。イントロダクション映像の締めくくり、「Wake up、Wake up TOKYO!」というナレーションが口火を切ったATEEZの圧倒的なステージからは、いま世界中で活躍するATEEZのとてつもなくハイレベルな現在地を体感することができた。ライブの1曲目を飾った「Halazia」でステージに広がったのはディストピアのような世界。屍のようなオブジェが吊るされた荒廃的なムードのセットで、自由を求める悲痛な叫びを表現する強烈なパフォーマンスと切実な歌がドラマティックに展開されていく。SF映画のような世界観でありながら、誰もが肌感覚で感じている生きづらさや時代の不安感とリンクするナンバーであり、キャプテンのHONGJOONGをはじめとした彼らの時代を読むちからと、感性を楽曲に落とし込むセンスを知る。直前のイントロダクション映像で今回も姿を見せた“HALATEEZ”の存在も頭の中をかけ巡り、鼓動が早まっていくような興奮を覚えた。YEOSANGの低音ボイスとJONGHOのハイトーンとのコントラストに魅了されながら、実に覚醒感に溢れた幕開けだった。WOOYOUNGがのちのMCで「僕たちはデビューの時から強烈だったじゃないですか。辛口で刺激的とたくさん言われてきましたが、今日も辛口なATEEZをちゃんと楽しんでいますか?」とファンへ問いかけていたが、こうして彼らは新作を発表するごとに自らの表現を更新し続けている。



▲HONGJOONG

そんなカリスマ性溢れるパフォーマンスで圧倒しながら、「Halazia」の直後のMCは一転して親しみやすさ全開。「僕はATINY(ATEEZのファンネーム)の幸せ、YUNHOです!」と笑顔で挨拶したのは長い手足を活かしたパフォーマンスが今日も映えていたYUNHO。「ATINY、会いたかったですか? 本当に? マジで? 僕は、皆さんにめっちゃ会いたかったSEONGHWAです!」と優しい笑みを浮かべながら語りかけたのは妖艶な身のこなしに磨きがかかっていたSEONGHWA。「こうしてアンコール公演ができることになって、とてもワクワクしています」とピュアな気持ちを述べたのは、驚異的なハイトーンボイスでステージを引っ張り続けた国宝級のメインボーカル、JONGHO。「世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」と日本のカリスマの名言を拝借して自己紹介したのち、なぜか「おやすみ」と呟いて自分で爆笑していた姿が愛らしかったのは、クールなラップと堂々としたパフォーマンスが頼もしくムードメーカーも担っていたMINGI。8人はこんなギャップやユーモアも与えてくれる。

▲MINGI

▲JONGHO

「台風の目を開け」といった日本語詞がヴィヴィッドに刺さり、信念に向けてひた走る曲「Paradigm」ののち、重厚感のあるシリアスなナンバー「The Ring」の途中で花道を通って8人がセンターステージに移動すると、有明アリーナは熱狂の渦と化した。さらに、イントロから大きな歓声が上がりファンがかけ声でエネルギーを伝えた「HALA HALA」は、2018年10月に韓国でデビューし、その直後に開催した北米・ヨーロッパでのワールドツアーを即完させたATEEZがいかに当初から規格外の楽曲とパフォーマンスを披露してきたかがよくわかる曲だ。憑依型と呼び声高いSANのダンスも炸裂し、フィニッシュのWOOYOUNGの不敵な微笑まで、たぶん筆者は呼吸を忘れていた。

▲YUNHO

▲WOOYOUNG

そんな全身全霊にして鮮烈なパフォーマンスの一方で、「Mist」などではダンスを封印し歌とラップを丹念に届けた。透明感のあるSANの高音や、SEONGHWAの美しい歌声、WOOYOUNGのハスキーな歌声の魅力を味わうこともできて、8人それぞれの底知れない力が集結したATEEZというグループのポテンシャルの高さを目の当たりにした。さらに、「もっと輝くんだ」「永遠にダイヤモンド」といったリリックが綴られる「DIAMOND」も、ハードな楽曲と好対照の傷を癒す心のオアシスのようなナンバーであり、会場にはあたたかい一体感が生まれた。実は今回の公演では、WOOYOUNGが足の負傷により本編中盤の「ILLUSION」から椅子に座ってステージに参加することになったのだが、ATINYはそれまでの彼のステージの健闘を讃えて労うようにあたたかい拍手を送り、他の7人も「ILLUSION」以降は代わる代わるWOOYOUNGのそばへ赴きながら、アクシデントを乗り越えて無敵のパフォーマンスを繰り広げていたことに心から感動した。

中盤の呼吸を整えるようなターンを挟んだのち、ライブ後半戦は再び怒涛の展開を見せる。「船員ども位置につけ!」というHONGJOONGの勇ましい号令とともに、一変してヴィジョンに波飛沫が舞い荒海に覆われると、終始勝ち気なリリックが貫く「WIN」のパフォーマンスが始まった。カリビアン・リンボーダンスのような高揚感のあるトラックがユニークで、一体、何曲分の振り付けやフォーメーションのアイデアが詰まっているんだと驚愕するATEEZの中でも特に贅沢な1曲であり、全てが大勝利なパフォーマンスで沸かせた。今回の公演は、個人所有目的の携帯電話での撮影はOKという試みが行われていたのだが、ファンへのサービス精神と共に、ステージに対する自信の大きさもうかがえた。

▲YEOSANG

▲SAN

▲SEONGHWA

YUNHOがダンサーにリフトされるなどパフォーマンスも刺激的でATEEZらしいビートが力強いナンバー「Horizon」が続き、さらには、“カジャ”(行こう)というフレーズが印象的で扇情的なナンバー「WONDERLAND KINGDOM ver.」では4段階も展開するJONGHOのハイトーンボイスに会場が思わず湧いた。荒波のなか、それでも進み続けるATEEZを象徴するような楽曲が続き、心が揺さぶられて鼓舞され続ける。「Cyberpunk」「Fireworks(I'm The One)」「ROCKY(Boxers ver.)」、そして初期の代表曲「Say My Name」という怒涛の流れは止まらない。そのあまりにも勇ましい姿。抑圧的なこの世界において、私たちが自信や自由を取り戻すための旗振り役を担っているかのような8人の姿は、まるで革命戦士のように見えた。その勇姿に応えるかのように、本編ラストを飾った「Guerrilla」で割れんばかりの「Break the wall!」の掛け声が自然発生的に起こったのは言うまでもないだろう。

そして当然のように、「ATEEZ! ATEEZ!」とアンコールを求める大きな声が起こった。メンバーが登場する前にヴィジョンに映し出された「君として生まれたことをおめでとう!」という8人からのメッセージも、今でも目に焼き付いている。アンコールの声に応え、私服のようなカジュアルな服装でステージに再び登場した彼らは、心の奥底を吐露するような繊細で美しい曲「夜間飛行(Turbulence)(Japanese Ver.)」を披露した。続いて、ありのままのあなたの存在そのものを祝福するソウルフルな「Celebrate」も心に染み渡り、JONGHOがWOOYOUNGをおんぶしてセンターステージへ移動する光景も含めて、すべての瞬間が美しかった。

オーラスは、享楽的で解放感いっぱいの「The Real(興 Ver.)」で最高に盛り上がってステージを締めくくったATTEZ。最後の挨拶では、8人それぞれの心のこもったメッセージの中でも特に、「僕の人生の理由になってくださってありがとうございます」というHONGJOONGの言葉が印象深い。そんな生粋の表現者である8人のこれからが楽しみで仕方ない。K-POPアイドルのファンのみならず、異次元のパフォーマンスに圧倒されたり興奮したい人、そしてこのタフな日々を生きるすべての人々にとって、応援歌や人生のBGMになりうるのがATTEZの音楽だと思う。ATEEZの時代が来ていると、さらに確信を深めたライブだった。

取材・文:堺 涼子
撮影:田中聖太郎写真事務所

セットリスト

ATEEZ WORLD TOUR [THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL] ANCHOR IN JAPAN
5月2日(火)・5月3日(水・祝)@東京 有明アリーナ

INTRO
HALAZIA
Paradigm
The Ring
HALA HALA
Dazzling Light
Mist
AURORA (Japanese Ver.)
DIAMOND
Limitless
INTRO + ILLUSION
WAVE
INTRO
WIN
Horizon
WONDERLAND (KINGDOM ver.)
Cyberpunk(Japanese Ver.)
Fireworks (I'm The One)
ROCKY(Boxers Ver.)
Say My Name
Guerrilla

【ENCORE】
夜間飛行 야간비행 (Turbulence) (Japanese Ver.)
Celebrate
From
The Real (興 Ver.)

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