いい音爆音アワー vol.138「ナイス♪ジャケ by Kosh」
彼は生年月日は公表していませんが、ロンドンで生まれました。
「Art & Artists Magazine」という雑誌のディレクターをしていましたが、1960年代の終わりに“The Beatles”と出会い、「Apple Records」にクリエイティブ・ディレクターとして招かれます。
1969年、ジョンとヨーコの「War Is Over campaign」のアートディレクションを担当し、ビートルズの『Abbey Road』および『Let It Be』のジャケットをデザインしました。
1973年、Appleをやめて、ロサンゼルスに移住。以降は、ウェストコーストのアーティストを中心に、数多くのジャケット・デザインを手掛けていきます。
以前、vol.127でデザイン・チーム“ヒプノシス(Hipgnosis)”の特集をしました。彼らにはひとつのはっきりとした世界観があって、それがよいところなんですが、逆にアーティストを選んでしまうところもあります。それに対し、Koshはいろんな引き出しを持っていて、アーティストに合わせつつ、ヴィジュアル的インパクトもあるデザインを提供できるのが強みです。
そんなKoshの多彩な作品群を、タイプ別に分けて見ていきましょう。
▶メンバーのポートレイト系
- ①The Beatles『Abbey Road』/選曲:「Something」
このアルバムでは、まだApple Recordsのスタッフだったので名前がクレジットされていません。でもそんな1デザイン担当スタッフなのに、重要なことを決めています。UKオリジナルLP盤は写真以外、アーティスト名、タイトル、レーベル名、商品番号も何も表示してないのです。ふつうはアーティストが望んでもレコード会社が嫌がるものですけどね。Appleというラフな会社だからできたのかもしれません。これが世界初かどうか定かではないのですが、1969年9月発売なので、Pink Floyd『Atom Heart Mother』(1970年10月)、Led Zeppelin『Led Zeppelin Ⅳ』(1971年11月)よりもこちらのほうが先です。
4人がならんでEMIスタジオ(現Abbey Road Studios)の前の横断歩道を渡る写真でいこう、というアイデアはポールです。交通規制をしたので、カメラマンのイエン・マクミランに与えられた撮影時間はわずか10分。6枚撮って、その中から選んだそうです。
この横断歩道、もう聖地となってまして、2010年には英国の歴史遺産「Listed Building」の Grade IIに選ばれて、11年からはWebカメラが設置されて24時間観れるようになっています。私は1992年にAbbey Roadスタジオでレコーディングしたことがあります。もちろん横断歩道も渡りましたが、センターラインがジグザグになっていたのが残念でした。
- ②The Pointer Sisters『So Excited!』/選曲:「I'm So Excited」
Koshはポインター・シスターズのアルバムの、1978年の5th アルバム『Energy』から1988年の13th『Serious Slammin'』まで9枚連続で担当しています。ほとんどがポートレイト型なんですが、その中でいちばんのデキだと思うのがこの9th『So Excided!』かなと。とは言え、これ、写真がいいんですね。声が聴こえてきそうなリアリティと絵として非常に均整の取れた構図だし、3人とも美人に撮れている素晴らしい写真だと思いますが、写真家はかのノーマン・シーフです。
ちなみに70年代の終わり頃からクレジット表記を「John Kosh」ではなく、シンプルに「Kosh」とするようになります。このアルバムは1982年発売なので、「Kosh」です。
▶ストーリー系
- ③Linda Ronstadt『Simple Dreams(夢はひとつだけ)』/選曲:「It's So Easy」
これはポートレイトというより、何らかのストーリーの中の、ある一瞬を切り取ったような写真によるジャケ。Koshにはこのパターンが多いです。
Koshとリンダ・ロンシュタットとのつながりは、KoshがAppleにいた時、A&Rのヘッドだったピーター・アッシャー(Peter Asher)がジェイムズ・テイラーとともにAppleをやめ、LAに移って、リンダのプロデュースも手掛けたことで生まれました。
6thアルバム『Prisoner in Disguise(哀しみのプリズナー)』(1975)から2000年以降まで、25作以上のアルバムを手掛け、3作がグラミー賞の「Best Album Package」を獲得しています。その最初がこの8thアルバム『Simple Dreams』で、あとの2つは11th『Get Closer』(1982)と13th『Lush Life』(1984)。
実はこのジャケ写真、同じセッティングで、最初もっと肌の露出が多い衣装で撮影しました。でも本人がダメ出しして撮り直し、さらにザラザラの質感に加工した。だけど結局、その最初の写真は『Greatest Hits, Volume 2』(1980)のインナー・スリーブに使っているんですけどね。
アルバムは大ヒットでした。あのFleetwood Macの『Rumours』が全米29週連続1位にいたのを蹴落として、5週連続1位をキープしました。
- ④Stephen Bishop『Bish(水色の手帖)』/選曲:「Everybody Needs Love」
これも、ストーリー系。どういう場面なんでしょうか?
ステファン・ビショップは1951年、米国カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。若い頃からレコードデビュー目指して、アピールし続けるんですが、なかなか認められなかった。で、レア・カンケル(Leah Kunkel)という友人、彼女もSSWで、“the Mamas & the Papas”のキャス・エリオット(Cass Elliot)の妹、そして有名ドラマー、ラス・カンケル(Russ Kunkel)の妻。彼女がビショップのデモテープをアート・ガーファンクル(Art Garfunkel)に聴いてもらったところ、ガーファンクルは気に入り、彼のソロ2ndアルバム『Breakaway』にビショップの曲を2曲歌ってくれ、かつABC Recordsとの契約も決めてくれました。それで1976年にデビュー、78年にこの『Bish』を2ndアルバムとしてリリースしました。
彼の場合は、Koshが手掛けたのはこの1作だけのようです。写真はデイヴィッド・アレクサンダー(David Alexander)です。
- ⑤Craig Fuller and Eric Kaz『Craig Fuller / Eric Kaz』/選曲:「Annabella」
これも1978年のアルバム。クレイグ・フラーとエリック・カズという2人のSSWがコラボした唯一の作品。商業的な成功はなかったけど、西海岸フォーク・ロックの名盤と評価されています。先ほど名前が出たラス・カンケルがドラムを叩いています。
写真家はリンダ・ロンシュタット『Simple Dreams』と同じ、ジム・シェイ(Jim Shea)という人です。雑踏の中をゆく2人を望遠カメラでとらえたような、なんと言うかドキュメンタリー性が、すごく印象的だと思います。
シングル・カットされた「Annabella」を歌っているのはCraig Fullerのほうです。
- ⑥The Jackson 5『Moving Violation』/選曲:「(You Were Made) Especially for Me」
これはもう典型的なストーリー系ですね。「moving violation」というのは「交通違反」という意味です。同タイトルの曲が収録されていますが、なぜアルバムタイトルを「交通違反」にしたのかはよくわかりません。
彼らの10枚目のアルバムで、1975年5月発売。1969年以来所属してきたモータウンでの最後のスタジオ・アルバムです。モータウンでは自作の曲を録音することが許されず、印税もずっと低いままなのが積年の不満だったのですが、ついにこのアルバムの発売1ヶ月後にEpicと契約しました。ただ、“The Jackson 5”という名前はモータウンが所有権を持っていたので使えず、以降は“The Jacksons”となります。なので、これは“The Jackson 5”名義での最後のアルバムでもあります。この時マイケル16歳ですが、やはりもう声変わりしていて、以前の輝くようなハイトーン・ボイスではなく、でも『Off The Wall』以降のマイケル節はまだ確立していない、ちょっと中途半端な感じの歌唱です。
Koshがデザインしたのはこのアルバムだけのようです。写真はジム・ブリットという人です。
- ⑦REO Speedwagon『Hi Infidelity(禁じられた夜)』/選曲:「Take It on the Run」
これは有名なジャケットですが、ストーリー系ですね。1967年に結成されて、1971年デビュー。これが1980年11月に発売された9枚目のアルバムですが、それまでは最高で全米29位だったのに、本アルバムがいきなり全米15週連続1位で81年の年間1位という特大逆転ホームランとなりました。結成から13年、デビューから9年という“遅咲き”でした。
オーディオ用語の「ハイファイ」は「High Fidelity」ですが、「infidelity」は「fidelity(忠実性)」の反対で「不倫」です。なのでこのアルバムタイトルは「High Fidelity」ならぬ「Hi Infedelity」という“おやじギャグ”ですが、それをみごとに表現したジャケですね。写真の男性は誰かという説明はどこにもないのですが、ドラム担当のアラン・グラッツァー(Alan Gratzer)じゃないかな?
これがKoshが手掛けた彼らの最初のアルバムで、このジャケのインパクトもヒットに関係あったかもですね。で、この後もう2作、Koshが担当しています。
- ⑧Coke Escovedo『Comin' at Ya!』/選曲:「I Wouldn't Change a Thing」
Koshのストーリー系ジャケのラスト。コーク・エスコヴェードというパーカッショニストの2ndソロ・アルバムです。彼はSantanaのメンバーだったり、Aztecaというラテン・ロックのバンドを主催したりしたことで知られています。ソロ・アルバムを3枚出しているのですが、いずれも情報が非常に少なくて、ジャケ写真の左のボクサーがエスコヴェード本人ということは分かったんですが、手前2人は裏ジャケにも写っているけど、いったい誰なのか、調べても分かりませんでした。なんでボクシングをやっているのかも不明です。
写真家は先ほどのステファン・ビショップのアルバムと同じデイヴィッド・アレクサンダー。
▶イメージ写真系
- ⑨Stackridge『The Man in the Bowler Hat(山高帽の男)』/選曲:「The Last Primsoll」
今度はメンバーとは関係ないイメージ写真もの。スタックリッジは英国のバンドで、どのアルバムでも、メンバーの顔出しがない、イメージ写真とかイラストばかりなんですが、Koshが関わったのはこの3rdアルバムだけです。1stはヒプノシスが手掛けていて、このイベントの「vol.127 Hipgnosis特集」の時に紹介しました。
さて、「The Man in the Bowler Hat」と何やら意味ありげなタイトルですが、ジャケで「bowler hat=山高帽」を被っているのは「man」ではなくてなぜか女性ですね。写真家がジョン・スワネル(John Swannell)という、英国王室関係の写真も多い大御所なんで、彼の既成作品のひとつを提供してもらったということなんじゃないですかね。彼らの5th アルバム『Mr. Mick』(1976)もスワネルの写真です。
音楽のほうは、そもそもビートルズの影響大なバンドなんですが、このアルバムはジョージ・マーティン(George Martin)がプロデュースしているので、さらにビートルズ色濃厚。彼らの中ではいちばん売れて、全英23位という成績でした。
フルートとバイオリンの専任メンバーがいるのがこのバンドの特徴。「The Last Primsoll」はそのフルート担当マッター・スレイター(Mike "Mutter" Slater)が活躍している曲です。
- ⑩10,000 Maniacs『In My Tribe』/選曲:「Like the Weather」
イメージ写真系の2つ目。この“10,000 Maniacs”もやはり、アルバム・ジャケはほとんど、ちょっと面白いイメージ写真。そしてKoshが手掛けたのはこの3rdアルバムだけ。この後は基本、ボーカルのナタリー・マーチャント(Natalie Merchant)が自らアイデアを出してやっています。
2ndアルバムまでは彼女が歌詞を書いて、ギターのジョン・ロンバルド(John Lombardo)が作曲という形だったのですが、思うように売れなくて、ロンバルドは辞めてしまいました。このアルバムからは基本彼女が曲もつくるのですが、どっこいここから売れ始めまして、本作は全米37位止まりながらダブルプラチナム、つまり200万枚以上のヒット。ところが5枚目の後、マーチャントがソロでやるために脱退。中心人物だったんで、バンド解散の危機だったのですが、ロンバルドを復帰させ、彼がメアリー・ラムゼイ(Mary Ramsey)という女性をボーカルとして連れてきて、一応現在まで活動を継続しています。
で、紛らわしいというか、この2人のシンガー、顔も雰囲気も似てるんです。ラムゼイ自身もよく間違われたと言っています。
また、このバンドは音楽性もとてもイギリスっぽいのですが、米国ニューヨーク州ジェイムズタウンのバンドです。
▶特殊仕様
- ⑪Linda Lewis『Fathoms Deep』/選曲:「Fathoms Deep」
ジャマイカ系のイギリス人シンガーです。なんと声域(音域)が5オクターブもあって、あのミニー・リパートン以上だと言われています。そんな彼女の3rd アルバム『Fathoms Deep』がこれで、Koshのデザインなのですが、なんでこんな潜水服を被ってるんでしょう?
「fathom」というのは水深を表す時に使う単位だそうで、だいたい両手を広げた長さ。1fathomは、6フィート=1.83mくらい。ちょうど日本で水深を言うのに「尋」という単位がありますが、あれも両手の幅で約1.82m。同じですね。「fathoms deep」は何ファゾムもの深さってことでしょう。だから潜水服なんですね。
で、Koshはジャケの特殊仕様も好きだったとのことで、まあデザイナーはみんな好きかもしれませんが、これ、特殊仕様だったみたい。ジャケは顔の部分がくり抜かれた潜水服。インナー・スリーブにリンダ・ルイスのポートレイトがあるという構造。特殊仕様というのは最初のロットだけなんで、それを買ってない人には、単に潜水服姿のルイスさん、というジャケなんですが…。
- ⑫Family『Fearless』/選曲:「Spanish Tide」
もうひとつ特殊仕様ジャケ。“Family”は英国のプログレ・バンドです。これも発売当時は知らなかったのでアナログは持っていませんが、CDで特殊仕様を復刻した紙ジャケ盤があったので買いました。説明しにくいけど、ジャケが5ページの重層構造になっていて、各ページが人物写真にそって階段状にカットされているという…。
Koshが担当したのはこの5thアルバム『Fearless』だけのようですが、このバンドは7作アルバムを出した内、3作は特殊仕様なんで、Koshが特殊仕様好きというより、バンドが好きだったようです。
このアルバムからベーシストが、やがて“King Crimson”に入るジョン・ウェットン(John Wetton)に代わりました。彼らは「なぜか評価が低すぎるプログレバンド」として有名なようですが、ウェットンが入った本作および次の『Bandstand』は一応名盤とされています。評価が低いのは、私はボーカルのロジャー・チャップマン(Roger Chapman)の声が悪すぎるからだと思っているのですが、「Spanish Tide」はウェットンとのツインボーカルなので、聴きやすい。いい声のほうがウェットンです。
▶グラフィック系
- ⑬James Taylor『Flag』/選曲:「Up on the Roof」
テイラーがこの9枚目のアルバム『Flag』を出した時、みんなまずこのジャケに驚いたようです。これがKoshなんで、「やっぱりKoshはとがってたなー」と思ってたら、この前作『JT』(1977)と次作『Dad Loves His Work』(1981)もKoshデザインで、それらはふつうのポートレイト。で、この『Flag』のクレジットには「Cover concept James Taylor」と書いてありました。つまり、こんな感じにしてくれ、と本人が依頼したみたいですね。彼のたくさんのアルバムの中でもこれだけが異色です。何を考えていたのでしょうか? ただ中味はいつものテイラーです。「Up on the Roof」は、キャロル・キングとジェリー・ゴフィンが書いて、The Driftersが1962年に歌った曲のカバーです。
- ⑭Badfinger『Badfinger(涙の旅路)』/選曲:「Song for a Lost Friend」
バッドフィンガーもビートルズ遺伝子満載のバンドです。しかも彼らはAppleレコードからデビューしたのでまさに直系。彼らのアルバムのジャケはどれもなかなかユニークでよいし、デビューが1970年で、その頃Koshはアップルにいたはずなのに、彼が担当したのは、バンドがWarner Bros.に移籍しての1作目、6th アルバムだけのようです。タイトルは『Badfinger』、これは移籍第1弾目だからということみたい。
このジャケットはおしゃれで好きなんですが、ただ彼らの最盛期は70〜71年です。Warnerに移籍してからは不幸続きで、これはもっぱらスタン・ポーリー(Stan Polley)という金に汚いマネージャーのせいなんですが、このアルバムの発売の翌年(1975年)に、ボーカル&ギターで中心人物のピート・ハム(Pete Ham)が自殺してしまい、ほぼバンド生命は終わってしまうことになります。
- ⑮Rod Stewart『Atlantic Crossing』/選曲:「Three Time Loser」
これも有名なジャケですね。イラストはPeter Lloydという人が描きました。
ロッドはこのアルバムからWarner Bros.に移籍し、ロサンゼルスに移住もしました。文字通り大西洋を渡ったんですね。トム・ダウドのプロデュースで、ロッドが前から望んでいた「Muscle Shoals Sound Studio」で、“The Swampers”と呼ばれたミュージシャンたちを使ってレコーディングしました。素晴らしい内容で、全米9位、全英1位とヒットもし、同じWarner移籍でもさっきのバッドフィンガーとは逆に、その後さらに成功を重ねていきました。
で、これがKoshの、ロッドとの初めての作品で、その後3枚のアルバムに関わります。
- ⑯Electric Light Orchestra『Out of the Blue』/選曲:「Sweet Talkin' Woman」
ELOと言えばこの「円盤ロゴ」がトレードマークですが、これをつくったのがKoshなんです。
6thアルバム『A New World Record(オーロラの救世主)』(1976)で、初めてジャケ・デザインを依頼されまして、別に「ロゴをつくってくれ」と頼まれたわけじゃないんですが、ふと何かマークみたいなのが欲しいなと思ったんですね。で、それは「エレクトリック」と「音楽」を感じさせるもので、見た目はちょっともったいぶってて、由緒ある感じ…とイメージが固まってきて、「これはウーリッツァーのジュークボックスだ!」と閃いた。実は、Koshのお父さんはロンドンでウーリッツァーというジュークボックスの会社に勤めていたのです。ということで、そのアールデコなデザインを取り入れて、中の「ELO」の文字は「General Electric」のロゴを参考にして、できたのがのちの「円盤ロゴ」。ただこの時は、あくまでもジャケ・デザインの一部でした。
で、また次のアルバム、『Out of the Blue』のデザインを頼まれました。どうしようかなと思いつつ、子供とフリスビーで遊んでたんですね。そのフリスビーにたまたまELOのステッカーを貼っていて、それを投げた時に、「あ、円盤だ」と。あのマークを円盤にしたものを、長岡秀星に絵にしてもらった。これがバッチリはまったので、以降ELOのトレードマークになったのです。
『Out of the Blue』はLP2枚組だったのですが、全英4位、全米4位のヒット、ELOの中でいちばん売れたアルバムだそうです。
- ⑰Eagles『Hotel California』/選曲:「Hotel California」
最後は、ローリングストーン誌の「100 Best Album Covers of All Time」で6位だったこのアルバムです。
リンダ・ロンシュタットと同じAsylumレコードということもあって、依頼が来ました。ドン・ヘンリーからいかにも「ホテル・カリフォルニア」って感じのホテルの写真にしたいという要望があって、写真家のデイヴィッド・アレクサンダーといっしょにロケハンに。ステファン・ビショップとコーク・エスコヴェードもこの写真家でしたね。で、3つのホテルを候補にした中で、これがいちばんいいとなったのが、ビバリーヒルズのサンセット大通りに面した「The Beverly Hills Hotel」という高級ホテル。ただ勝手に使ったそうで、アルバム・リリース後にホテルの弁護士から連絡があって、「排除措置命令」つまり販売停止と回収を求めて訴えるぞ、と言われました。でも結局、ホテルの売上が3倍になったことで、なんとか丸く収まったそうです。
見開きジャケの内側は、ホテルのロビーですが、これはかなり格下の「Lido Hotel」。メンバーと、Koshたちの知り合いを集めて撮影したのですが、バルコニーに誰も知らない人物が写っているという“怪談”も。
Eaglesのジャケについては、Koshはこの後3作担当しています。
第20回グラミー賞で、「Album of the Year」にノミネートされましたが、Fleetwood Mac『Rumours』に負けました。でも、タイトル曲は「Record of the Year」を獲得しました。