【ライブレポート】ヘヴィ・メタルのアイコンであり続けるウド・ダークシュナイダー

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元アクセプトのシンガー、ウド・ダークシュナイダー(Vo)率いるU.D.O.が結成35周年の特別企画な来日公演を行ってくれた。

東京2Daysとなる公演内容の初日は、2016年にスタートしたアクセプトの曲のみをプレイするウドのサイドプロジェクト、"ダークシュナイダー"名義。2日目はU.D.O.のオール・タイム・ベストにアクセプトの曲も追加したものになった。そしてベーシストにはアクセプトのオリジナルメンバーであるピーター・バルデス(B)の参加となれば必見だ。



初日は前回2016年の来日公演と同じく「Starlight」から始まるステージ。御年71歳とは思えぬウド・ダークシュナイダーの歌声は多少キーを下げてはいるものの堂々とした佇まいも変わらぬまま。オーディエンスの表情もこの時を待っていたと物語っているし、とにかくソールドアウトの空間というのはこんなにも特別な高揚感をくれるものだと改めて思う。



アンドレ・スミルノフ(G)とディー・ダマーズ(G)によるツインリードはアクセプト特有のフォーメーションこそなかったが、自身の見せ方もそれぞれが必要な箇所でのセンターポジションでの見せ方も非常に上手い。



若手が加入した事で演奏面もタイトであり、アクセプトの良きメロディが今の彼らが奏でる事で現役感あふれるものになっていた。注目すべきドラマーは、ウドのご子息であるスヴェン・ダークシュナイダー。パワーヒッターで何度も立ち上がってのアピールも様になっているし、彼はドラマーでは珍しくメロディも書くらしいのは、生まれながらにしてアクセプトのクラシカルで美しいメロディに馴染んでいたせいなのかもしれない。そしてピーター・バルデスもまだまだ若々しく、出演告知はされていたものの、まさかの全編参加とは嬉しい限りだ。

ウド脱退後も現行の本家アクセプトは、ウルフ・ホルマン(G)が率いており、そちらもリリースするアルバム、ライブともに毎回素晴らしいものであるし、2016年のダークシュナイダー来日時でウドによるアクセプト企画はラストという事だったはずだが、この名曲たちを聴いてしまうともう満足感しかない。





中盤の「Princess of the Dawn」からの「Restless and Wild」「Son of the Bitch」の流れは場内との合唱や掛け合いもあいまって格別なものに。どの楽曲が披露されても当時の青春が蘇るが、特に「Screaming for a Love-Bite」は本家アクセプトではしばらく演奏されていない今回のスペシャル曲だったのではないだろうか。こういうポップ調な楽曲はメタルでありながらも軽快なメロディを聴かせ、一緒に歌えるアクセプトの魅力なのだと思う。反戦を歌った「Russian Roulette」からの選曲はなかったが、ウドは「NO WAR」と入ったジャケットを着用していたのも印象的だった。







2日目のオール・タイム・ベストU.D.O.公演は完全にウド・ダークシュナイダーのソロキャリアを網羅した内容となった。ウドの歌唱は独特の声質ではあるが、ドイツを代表するメタルバンドの中でも実はシンプルに思う。昨夜に続きベースは全編をピーター・バルデスが務め、スヴェン・ダークシュナイダー(Dr)とバンドのグルーヴを担う。ウドとの関連ミュージシャンは幅広いが、2020年にリリースしたドイツ連邦軍音楽隊との連名作品『We Are One』ではピーター・バルデスも楽曲制作に協力していた事からも盟友の参加はごく自然だったかもしれない。



U.D.O.はもともとアクセプトとの差別化を計りたいところからスタートしたバンドであるし、ジャーマンメタルの中でも特に質実剛健なサウンドゆえ、アンドレ・スミルノフ(G)とディー・ダマーズ(G)はともに初日とは別のギターを使用し、更にソリッドでスリリングなツインリードを披露してくれる。







アクセプト同様にU.D.O.も長年のキャリアで多くのメタルクラシックとなる楽曲を生み出しており、「Animal House」「Go Back to Hell」や「TimeBomb」「They Want War」等、全てのオーディエンスが期待しているものばかりが並ぶセットリストは、最新のスタジオアルバム『Game Over』までを含む古きものと新しいものがシームレスに融合した素晴らしい機会となった。ウドの作り出す音楽は荒々しいパワーや生き様だけでなく、なぜだか気品まで感じてしまう。







終盤に場内からは「T.V.War」コールが湧いたが、アクセプトの楽曲は予告していた5曲よりも少ない2曲で終わらせてくれたのもまた良かった。これまでアクセプトに比べて正式なU.D.O.名義となる来日公演は非常にレアであったし、伝統的なヘヴィ・メタルに若いメンバーの確かな技術とモダンなエッセンスでまた新しいU.D.O.を知る事ができたのだ。近年の彼らの作品はメロディックな楽曲も多く、その進化には驚きを覚えていたが、今のメンバーが影響している事は間違いないだろう。そしてこれまでもこれからも、ウドはやはりヘヴィ・メタルのアイコンであり続ける。





文・写真◎Sweeet Rock / Aki

<U.D.O./ DIRKSCHNIDER ~ Japan Live 2023 ~>

Day1: Project "DIRKSCHNIDER" All Songs ACCEPT
2023.4.10 Shibuya Stream Hall
1.Starlight
2.Living for Tonite
3.Midnight Mover
4.Breaker
5.London Leatherboys
6.Neon Nights
7.Princess of the Dawn
9.Restless and Wild
10.Son of a Bitch
11.Midnight Highway
12.Screaming for a Love-Bite
13.Up to the Limit
14.I'm a Rebel
Encore
15.Metal Heart
16.Fast as a Shark
17.Balls to the Wall


<U.D.O./ DIRKSCHNIDER ~ Japan Live 2023 ~>
Day2: "U.D.O." All Time Best U.D.O.
2023.4.11 Shibuya Stream Hall
1.Animal House
2.Holy Invaders
3.Go Back to Hell
4.Never Cross My Way
5.Independence Day
6.Wrong Side Of Midnight
7.Kids and Guns
8.Time Bomb
9.The Bogeyman
10.Metal Never Dies
11.Holy
12.Thay Want War
13.I Give as Good as I Get
14.Man and Machine
15.One Heart One Soul
Encore
16.Metal Heart(ACCEPT)
17.Balls to the Wall (ACCEPT
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