B-BandjことMbanja Ritchy、新作リリース
ラッパーのB-BandjことMbanja Ritchyが新作『Ruff 'em up』をリリースした。
◆Mbanja Ritchy 関連映像&画像
『Ruff 'em up』は、Mbanja Ritchyのルーツであるカメルーンのとある地域の首長だった父や祖父へのリスペクトがたっぷりと詰まった作品。特に「Ruff 'em up」、「125th Street Knowledge」、「Power and Money」はMbanja RitchyがまだB-Bandjとして知られていたころのオリジナルスタイルに戻った“メッセージラップ”アルバムと表現することもできる作品と言える。
■Mbanja Ritchy aka B-BANDJ コメント
カメルーンの祖父は、私の父が8歳のときに、父とその姉のふたりをカメルーンからフランスに送りました。彼らはフランスやマリ、ロシア、日本で勉強していましたので、その国々の言語を話すことができました。父はドゥアラという都市(元首都)の出身で、その中のアクワという大きな地域の首長でした。カメルーンでは首長の肩書きを持つ人は少ないので、今でも人からの期待はとても大きく、遠縁の親類からもたくさんの助けを求められます。そのため祖父は家に来るたくさんの人たちの相談に乗り、首長としての宿命を果たして生きていきました。
仕事をしながらも、祖父は国内外の政治家のアドバイザーとしての活動もしていました。政府には敵も多く、軍隊や警察から逃げることも珍しくありませんでした。親類に時々大金をあげることもあったので、自身はそれほどお金持ちではなかったです。しかし1950年代当時、子供たちを外国留学させる余裕のある親は、世界のどの国を探しても、そう多くはいませんでした。
父はフランスのドフィーヌ大学で私の母と知り合い、パリで結婚しました。それを聞いた祖父は少し悲しかったのですが、結婚を許しました。実を言いますと祖父は、ヨーロッパではなくアフリカ人と私の父を結婚させたかったのです。
父と母は1970年ごろに日本へ渡り、楽しい新婚生活を送っていましたが、1972年に私が生まれた後、わずか2年で別れることになりました。私は悲しみに暮れる父とふたりでフランスで暮らしてから、父の母国カメルーンに帰りました。残念ながら祖父の期待に応えられず、不本意な形で母国に帰って来たのでより落ち込んで、自ら命を断ちました。
私は「あんなに優秀でいろいろな国を見てきた人が、なぜ自殺をする必要があるのだろう」とよく聞かれました。しかし何となく父の気持ちが分かるような気がします。なぜなら私もいろいろな国に住んできた経験があるからです。父は日本語に英語、フランス語、カメルーンのドゥアラ語、ロシア語も話せました。しかし当時のカメルーンの環境は、インターナショナルな感覚では生きづらかったと思います。今のカメルーンとは大違いです。父が亡くなったとき、私は3歳でした。私の目の前で父は自らの命を断ちましたので、そのトラウマは少し残っていました。
今回のアルバムに彼の写真を使ったのは、そのトラウマは消えたと父に伝える、私なりの表現です。そしてトラウマよりも、父への愛やリスペクトの気持ちを込めてこのアルバムを作りました。3歳から8歳まで祖父と私は一緒に暮らしました。そのときに、もう一緒にいられなかった父の代わりに、私が後継ぎとしてたくさんのアフリカンルーツにまつわることを学びました。今は私がMbanja Hugues(私の父)の代わりにカメルーンで首長の役割を果たしています。一緒にいた時間は短かったのですが、カメルーンで父を知っていた皆さんにそっくりだと言われます! レストインピース&レストインパワー R.I.P
──このサウンドとリリックについて
今回の作品にもDj SharkとGoro Takayamaのサウンドを使いました。彼らとたくさん会ってお酒を一緒に飲んだり、ミーティングをよくするので、自分が何を作りたいのかがすぐに分かります。コミュニケーションはとてもスムーズです。GOROさんの高い音楽センスとDj Sharkの西日本DMCチャンピオンとしてのスキルが、ふんだんに活かされている作品だと思います。前回よりもドープなサウンドを作ることを意識しました。なぜならリリックはパブリック・エナミー、KRS ONE、Poor Righteous Teachersなどのコンシャスなライミングが合うと感じたからです。その中の一曲に、ニューヨークの125th Streetハーレムをリスペクトする曲があります。ハーレムは黒人のメッカです。このアルバムは誰に対してのアピールでもなく、ストレートにアフリカ人としてのプライドを歌ったものです。日本に住んでる私は、もちろん他の人種に対しての差別感情はありません。「あなたはブラックサムライ!」と京都で言われ続けています(笑)。
──PVについて
今回のビデオクリップは、私のカメルーンの自宅で撮りました。祖父に捧げるPVなので実家で撮りたいと、私が提案しました。出演してくれたラッパーは、現在もカメルーンで活躍中のレジェンドであり、私が最もリスペクトしているアーティストたちです。監督もラッパーなので、カメラのアングルとラッパーの動きの両方について、とても理解のある方です。この監督もカメルーンでとてもポピュラーで、Kolor Changeの名前で監督兼ラッパーとして活躍しています。会う度に素晴らしいアイディアを出してくれるので、いつもより良い作品が作れることを確信してわくわくしています!
──今後について
まだ詳細については公開できないのですが、夏ごろに某アーティストとのコラボレーションを予定しています。そのときにライブ情報がお届けできると思います。
『Ruff 'em up』
Five Love Production
1.Ruff em up2.125th Street Knowledge - Brother Polight tribute
3.Power and Money
4.First Class Girl
5.Ruff em up (Biwako deep Remix)
6.125th Street Knowledge - Brother Polight tribute (DJ SHARK Remix)
7.Power and Money (Lost ones Remix)
8.Ruff em up (Imhotep Remix)
9.My Life - freestyle fadatazz in 2023 Boot Camp Clik tribute
10.Ruff em up (Instrumental)
11.Power and Money (instrumental)
12.Ruff em Up (Biwako deep Remix instrumental)
13.Power and Money (Lost ones Remix instrumental)
◆Mbanja Ritchy(B-BANDJ) Twitter