【インタビュー】上野優華の“オハコうた”は？

歌とトークでアーティストの素顔と魅力に迫るTOKYO MXの音楽番組『Artist#18File』。4月は“泣ける声”として幅広い世代から支持されているシンガー・上野優華が登場。カラオケが大好きだという彼女のオハコうた、そして最新アルバム「恋愛シグナル」からの楽曲などを披露する。

──上野優華さんが選んだオハコうたは、wacci「別の人の彼女になったよ」。この曲を選んだ理由を聞かせてください。

上野優華：友達とカラオケに行くと、エモくて泣ける曲ばかり歌う「みんなで泣こう！」みたいな会をやることがあるんですね。失恋ソングばかり2時間歌うとか、いろいろなパターンの泣き歌をひたすら選曲して歌うんです。その中でも、みんなが一番歌いたくもなるし、しんみり聴きたくもなるのがこの曲。誰かが歌ったとしても、みんな1回ずつ歌いたくなる曲なんですよね（笑）。ライブで一度だけカバーさせていただいたこともあるんですが、私にとってはまさにオハコうたといった1曲なので、今回はこの曲を歌わせていただくことにしました。

──この曲のどういうところに魅力を感じていますか？

上野優華：「別の人の彼女になったよ」なんて、なかなか口にする言葉じゃないですよね。好きだった人のことを引きずるとか、前の人と比べちゃうみたいな曲は世の中にたくさんあると思うけど、ここまではっきり言い切るというか、しっかり書ききるっていうのは橋口洋平さんの強さだなと思うんですよね。それでいてキャッチーじゃないですか。私自身、切ない気持ちを表現する時はいろいろな言葉に言い換えて書いたりするんですが、サビの「だからもう会えないや ごめんね」ってフレーズはそれだけで複雑な気持ちが全部伝わってくる。そこにすごく魅力を感じているし、そういう橋口さんの歌詞が大好きです。

──今回の歌唱のポイントは？

上野優華：提供していただいた楽曲を歌うときもそうなんですが、今回のwacciさんの曲も、歌うときは＜自分の曲＞だと思って歌いたいと思っています。主人公の女の子になったような気持ちで、この曲の世界観を表現できたらなと。私と友人達との「泣きカラオケ」に参加したような気持ちでご覧いただけたらと思います（笑）。

──次に、代表曲として歌っていただく「あなたの彼女じゃないんだね」について聞かせてください。

上野優華：この曲はwacciの橋口さんが書いてくださったんですが、最初に聴いた時は「いいの!?」と思ってしまいました。「別の人の彼女になったよ」とのつながりを感じる部分もすごくあったので、私がいただいていい曲なのかなって。それくらい、橋口さんらしさが詰まった曲だと思います。

──リリースから2年ほど経ちますが、楽曲への向き合い方や解釈の変化などもあるのでは？

上野優華：リリースした頃はその人のことが好きだったという気持ちの方が強くて、すごく悲しいし切ない歌だなと思いながら歌っていました。でも今は振り返ってちょっとしんみり浸るというか、あの時のキラキラした思い出ごとあたたかい気持ちになれるような感覚になってきたように思います。

──そしてもう1曲、「恋をしました。あなたに」も披露していただきます。

上野優華：今まで切ないラブソングをメインに歌ってきたんですが、25歳という節目を機に、恋の始まりを描いたワクワクするようなラブソングも歌っていこうと思っていて。心機一転というか、新しい私を見せていきたいという気持ちが込められた1曲になっています。

──この曲は、andropの内澤崇仁さんがお書きになっているんですね。

上野優華：これまでは、片想いとなると叶わない前提の切なさを歌うことが多かったんですが、誰かを想うってそれだけで幸せを感じることでもあるし、ときめきにつながっていったりもするんですよね。内澤さんはすごく切ないとか悲しいというよりも、どこか救われるような輝きがあるフレーズを書かれる方だなと思っていたので、今回はそういう内澤さんの描く世界観を歌わせいただけたらいいなと思ってお願いしました。

──今年はデビュー10周年のアニバーサリーイヤーでもあるんですよね。

上野優華：はい。10年ってこんなに早いんだ！というのが正直な気持ちです。15歳からの10年って人間としても大きな変化がたくさんある時期だと思うんですが、歌手としていろいろなお仕事をさせていただけたのはすごくありがたかったなと思うし、そういう10年で本当に良かったなと思っています。

──ファンの皆さんと一緒にお祝いする1年になりそうですね。

上野優華：デビュー前から応援してくださっている方もたくさんいらっしゃるので、伝え切れるかわからないですが、10年分の感謝を1年かけて伝えていきたいなと思っています。10年という節目を大切にする気持ちはもちろんですが、11年目、12年目と、上野優華のこれからをずっと楽しみにしていただけるような1年を重ねていきたいと思っています。

取材・文：山田邦子