【インタビュー】上野優華、支えてくれている人へのプレゼントでもあり恩返しでもある「ジャスミン」

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“いま、泣ける声”で注目を集めるシンガー上野優華が、2022年第1弾となる楽曲「ジャスミン」を3月9日にリリースした。同曲は昨秋開催された<ヒロインにはなれなくて>の全国ツアー中に制作に入り、彼女はツアーで感じた思いを歌詞にしたためたという。せつない片思いソングや失恋ソングに定評のある彼女が、今回書いたのは彼女なりの応援ソング。新しい挑戦ができたのは、ライヴに集まったファンの存在があったからだと語っていた。支えてくれている人へのプレゼントでもあり恩返しでもある「ジャスミン」に、彼女はどんな思いを込めたのだろうか。昨年の活動を振り返りながらじっくり話を訊いた。

■1年半ぶりにステージに出た瞬間にうるっとしました
■ライヴがここまで大きいものだったんだなと感じて


――昨年の『ヒロインにはなれなくて』リリースタイミング以来のインタビューなので、まずは上野さんの音楽活動を振り返るところから始められればと思います。2021年は初の楽曲提供をなさっていましたね。

上野優華(以下、上野):そうなんです! 自分自身の曲でも作詞作曲をすべてやることは多くなかったので、作詞も作曲も私が……!?という衝動がすごくて。

――そうして完成したのが、梶原岳人さんの1stミニアルバム『何処かの君に』収録の「君と恋をしたいんです。」。梶原さんは、作りたいアルバムの世界観と上野さんの作る楽曲が似ていると感じて、上野さんにオファーなさったそうで。

上野:梶原さんが「好きでごめん」をよく聴いてくださっていたそうで、ぜひこの曲のアナザーストーリーを曲にしてほしいと言っていただいたんです。それで梶原さんに歌っていただきたい理想を完全に詰め込んだのが「君と恋をしたいんです。」です。梶原さんは歌声はもちろん息づかいまで表情が豊かで、甘さもお持ちなので、芯の強さもありつつ、好きな人にしか見せられない弱さが見せられる曲にできたらなと思いました。音域、ファルセット、フレーズ、どこを取っても私のやりたかったことだし、さらにそれが梶原さんにすごく似合っていて……! もうガッツポーズ!

――(笑)。女子の欲求を満たすような面も?

上野:そうです、そうです! 「君と恋をしたいんです。」というタイトルにしたのも、ライヴのタイトルコールからファンの皆さんが心掴まれる、みんながドキッとするものにしたかったからです。「好きでごめん」は片思いする気持ちに寄り添える曲だけど、「君と恋をしたいんです。」ができたことで、思い合っている者同士のすれ違いの物語になって……そういうのって、すごくいいじゃないですか! それができる機会をいただけたことが、本当にうれしいです。自分が作詞作曲をした曲を自分でリリースするのとは違う喜び、楽しさがありましたね。

――さらに同時期には、SNSソングライター企画第2弾も行われて。そこから生まれた「よきよきよきお悩み相談の歌」は、SNSソングライター第1弾楽曲「私の歌」とはガラッと趣向が変わった楽曲です。どういうアイデアから生まれたのでしょう?

上野:私がよくInstagramのストーリーズでお悩み相談に答えてるんですけど、それがわりとウケが良くて(笑)。SNSソングライターチーム内で“あれ面白いから曲にしてみたらどう?”と言ってもらったのが始まりです。曲にするにあたってお悩みを募集して、10個以上録音した回答から良いものを抜粋して組み合わせました。その回答も原稿を用意したわけではなくアドリブで……だからレコーディングというかなんというか(笑)。

――ラジオの生放送みたい。

上野:試されましたね(笑)。何年もラジオの生放送をやらせていただいた経験が生きました。インスタを見たりラジオを聞いてくださってる方々は私のキャラを知ってくださっているので、わりと何を言っても受け止めてくれるのでありがたいです。

――たしかに。上野さんは結構ズバッと言い切りますよね。すごい勇気だと思います。

上野:みんなそう言ってほしいんだと思っています(笑)。綺麗な慰めは周りの友達が言ってくれるだろうから、違う目線で言えるといいのかなって。“あなた何言ってんのよ!”くらいのことはちょっと遠い位置にいる人間だから言えることだと思うし、そういう位置からこういうことを言ってもらえたらお悩み相談してくれた人も少し笑えると思うし。

――「よきよきよきお悩み相談の歌」はライヴで披露した際も、コロナ禍なりの楽しみ方ができたそうですね。

上野:去年の秋ツアーでは、開演前にお悩み相談投書箱を置いておいて、それを「よきよきよきお悩み相談の歌」内で即興で引いて答えて、サビではみんなでMVの振付を踊ったりしました。企画色の強い曲なので、今までにないライヴができました。それが結果的に“声出し厳禁”のコロナ禍でのライヴと相性が良かったというか。声が出せるようになったらまた違う方法で披露できると思うので、まだまだ可能性を秘めた曲だと思っています。

――ラジオやInstagramのお悩み相談、レギュラーTV番組といった、これまでに上野さんがやってきた活動が曲に還元されるのも、さらにそれがご自身のキャラクターを生かしたものであることも、とても充実していると思います。

上野:そうですね。私のキャラを生かしつつ、コロナ禍なりの楽しみ方を一緒に考えてくれて、“上野ならまあ即興でもいけるっしょ!”と信じてやらせてくれたチームに、すごく感謝しています。うまく答えられない質問が来るかもしれない……!という緊張感が私を成長させてくれたし、ツアー中にラジオも並行していたので、すべてに相乗効果が生まれました。

――2021年は、上野さんが1年以上ぶりにお客さんの前でライヴをした年でしたし、いろんな実りがあったのではないでしょうか。

上野:2021年の夏、1年半ぶりにお客さんの前に立ったときは、ステージに出た瞬間にうるっとしました。前々から自分にとってライヴはすごく大切だったけど、ここまで大きいものだったんだなと感じて。2021年はまだ、次はいつみんなの前でライヴができるかわからない状況だったので、それでも悔いの残らないライヴがしたいと思ったんです。だから秋のツアーでは上手にやる、かっこよく見せることを最重要にするのではなく、自分のありのままを出していかなきゃと思ったんです。じゃないともったいないなって。

――もったいない?

上野:こういうことを言いたいけど、ちょっとかっこ悪いから言えないな……と思うことが私にはよくあって。でもコロナ禍でさみしさを感じる瞬間も多かったし、言いたくても言えなかったことできっといつか後悔するなと思ったんです。取り繕うのはキャラでもないし、だったらもうどう思われてもいいから自分らしくいたい。ありのままの私を好きになってほしい。それで失望されてしまったら、それはもうしょうがない。私の好きな私を好きになってもらいたかったんです。

――“私の好きな私を好きになってもらいたい”。そんなふうに思えるの、とても素敵だと思います。それこそ勇気が要るとも思いますし。

上野:それはコロナ禍のおかげでもあるんですよね。1年以上ライヴをしなかったのに、あれだけの人が楽しみにして会場に来てくれた。ずっと待っていてくれた。会えなかった期間にファンの方々との信頼関係が深まったんだなと感じられたんです。もっと信じていいし、もっと頼っていい。それが自信につながっていったから、さらけ出せるようになったんですよね。悩みは尽きないけれど、前よりもラクな気持ちで挑戦できるようになって。それこそ梶原さんへの楽曲提供もこれでいいのかな……と迷いながら提出していたかもしれない。でも“私は梶原さんのファンの皆さんが喜んでくれる曲を作る!”と思えたんです。そういう自分になれたことは、すごく大きいですね。

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