【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、FLYING KIDS、<THE SOLAR BUDOKAN>に欠かせない、幸せな“ハレ”のステージ
<THE SOLAR BUDOKAN>には、浜崎貴司のソロとしても、またバンドとしても常連であり、欠かせないアクトとなっているFLYING KIDSがRESPECT STAGEに登場した。
◆FLYING KIDS 画像
ドリフの場面転換時の「盆回り」をSEにメンバー9人──浜崎貴司、丸山史朗(G, Cho)、加藤英彦(G, Cho)、伏島和雄(B, Cho)、中園浩之(Dr)、竹本一匹(Per)、SWING-O(Key, Cho)、宇賀まり(Sax, Cho)、Elli(Vo, Cho)が登場すると、ステージが一気に華やぐ。「みなさんこんにちは、FLYING KIDSです。短い時間ですけど、盛り上がっていきましょう」という浜崎の一声で、ライブは「オードレイ!」でファンキーにはじまった。極太なグルーヴを軸にしたダンサブルな曲だが、その曲のど真ん中で渦巻いているのは灼熱の、フツフツと湧き上がっているエモーション。グッとコブシに力が入るようなパワーがある。
「帰ってきたぜ、中津川。みんな、会えてよかったね。一緒に音楽で遊ぼうじゃないか」(浜崎)と挨拶をした浜崎は、ステージへと向かってくる人や、丘の上でのんびりとくつろぐ人にも、「後ろー!」と呼びかけて「アソボ」の祭りのビートを、歌、ラップとともに大きく大きく響かせていった。観客は浜崎とElliが踊る振付けを真似て、踊りの輪も広がっていく。その光景に、バンド内のテンションを上げるようにイエーイ!と声をあげた中園のカウントで、「新・我思うゆえに我あり」でさらにファットなファンクロックが会場を揺らす。ステージ前方へ躍り出て巨大なシェイカーを振る竹本のリズムや、軽快なギターリフやコーラスに観客は自然と手拍子をしながら踊る。重厚なアンサンブルと、灼熱の午後の太陽の掛け算が熱い。
改めて挨拶をした浜崎は<THE SOLAR BUDOKAN>には毎年のように来ていると語り、「ここに来れるとまた、自分も安心できる」と観客にも中津川の景色にも「ただいまー」と大きく手を振る。そして、コロナ禍で中津川に来れなかった2年を乗り越えて、こうしてみんなで集まれたことを喜ぶ。また今年は新曲をリリースしたことを発表し、「新曲はなかなかすぐに盛り上がらないけれど、ここは一致団結して盛り上がった“ふり”で、最終的には盛り上がっていきたい。中津川、踊れますか」と7月にリリースしたばかりの「ウブゴエ・デスフィーレ」に突入した。
ラテンビートと哀愁が滲むグッドメロディ、浜崎とElliの二声が描いていくドラマティックな歌、そこに絡むサックス、どこを切っても熱い血潮が感じられる1曲だ。ピアノのフレーズに乗って「おお、太陽が熱い、熱い。俺のボディ&ソウルに力を宿してくれる。みんなはどうだい?みんなは、力は湧いてこないかい?」と浜崎がメロディアスに問いかけてスタートしたのは「ファンキースター」。太陽にもらった熱がさらに熱を生んでいく、そんな2曲が続いた。
「こんな場所で歌うこの曲が最高なんだよ。一緒に心で歌ってくれ」(浜崎)と、丘にそよぐ風や空気を感じながら歌ったのは「風の吹き抜ける場所へ」。先程までのねっちりと濃厚なビートとは一転して、ステージから放たれるサウンドとともにポップでエアリーな風が駆け抜けていくのを感じる。いい歌を中心に据え、横ノリのビートも縦ノリのビートも、剛柔も自在で、そして悲哀もシニカルさもたっぷり含まれていながら放たれる音は晴れやかで力強い。メンバー紹介で、今年還暦を迎えたメンバーも数人いることが明かされ、熟練・円熟というにふさわしいFLYING KIDSだが、客席から見えるバンドには音を鳴らす楽しみにあふれ、自分たち自身が音に興じているヴァイブスがある。その佇まいが、晴れやかな音にも繋がっているように思う。
そして後半、「デビュー曲、30年以上この曲をこうして歌わせてもらえるのはありがたい」と歌われたのは、世代を超えて愛される「幸せであるように」。その歌心に酔いしれたところで、ラストは再びファンキーなロック「君にシャラララ」だ。軽快なギターリフとベースの絡みの気持ち良さに、ステージのメンバーも観客も手を大きく振りながら、小節が進むごとに濃厚に絡み合い、うねりを帯びていくバンドアンサンブルに大いに盛り上がっていった。<THE SOLAR BUDOKAN>に欠かせない、幸せな“ハレ”のステージだ。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎古川喜隆
【RESPECT STAGE】セットリスト
2. アソボ
3. 新・我想うゆえに我あり
4. ウブゴエ・デスフィーレ
5. ファンキースター
6. 風の吹き抜ける場所へ (Growin' Up,Blowin' In The Wind)
7. 幸せであるように
8. 君にシャラララ
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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