【速レポ】<中津川ソーラー>DAY1、ストレイテナー「誰になんと言われても、正しいと思うことを貫くのは大事なこと」
16時前、会場は再び冷たい雨が強くなってきたが観客の温度は高く、SEが鳴るや会場には大きな手拍子が起こる。登場するのはTHE SOLAR BUDOKANに欠かせないバンド、ストレイテナーだ。2020年、2021年とコロナ禍によりオンラインや会場を変えての開催となった年も、ステージに立ち続けた。こうした状況でも、彼らならやってくれるという信頼感、期待感が手拍子のボリュームを上げる。
◆ストレイテナー 画像
「俺たちストレイテナーって言います。3年ぶりの中津川、よろしくお願いします」。
ホリエアツシ(Vo、G、Piano)の挨拶でスタートしたのは「Melodic Storm」。大山純(G)によるブライトなギターフレーズがきらめいて、ナカヤマシンペイ(Dr)と日向秀和(B)の躍動的なドラム&ベースが、ホリエのボーカルを遠くまで響かせていく。高揚感のあるメロディが観客の顔を照らすような晴れやかさがあって、会場にはたくさんの手が高く上がる。音が鳴ると同時にREVOLUTION STAGEの周囲が一気に明るくなった感覚だ。そしてダイナミックなシンバルのカウントで「From Noon Till Dawn」に突入すると、バンド・アンサンブルはスピードを上げて鮮やかさを増す。タイトにリズムを刻んでまっすぐに走っていくビート、そこにベースが絡んでうねりを帯びて密度の高い音を生んでいくと観客の体温もぐっとあがった。
「この3年間で作った新曲を、やっと中津川でできます」というホリエの言葉で演奏したのは、昨年秋にリリースしたシングル「宇宙の夜 二人の朝」。スペイシーな香りのするベースと哀愁感のあるメロディとコード感の不思議な心地よさに酔い、そこに連なった「叫ぶ星」とともに会場にはエモーショナルな空間が広がっていった。
「中津川は、3年ぶりです。THE SOLAR BUDOKANは方法や場所を変えてやり続けて──昨年は、開催まで二転三転をして心が折れそうになったこともあったと思うけれど。タイジさんはじめ関わるスタッフのど根性で開催となった、ど根性フェスだって言っているんですけど。その全部に、ストレイテナーとして足跡を残すことができて、こうして中津川に戻ってくることができました」とホリエは再びこの地に戻り、ステージに立っている喜びを語る。そして「誰になんと言われても自分が正しいと思うことを貫くのは大事なこと。そんな勇気あるものに捧げます」と言って、このTHE SOLAR BUDOKANに「Braver」を贈った。
ホリエが鍵盤に向かい弾き奏で、丁寧に織り上げていくアンサンブルは静かでいて情熱的だ。心の奥底で脈々と流れるものに触れるようなフォークロアなタッチでいて、切り開いていくロック・ミュージックのタフさへと昇華されていく。そのドラマがロマンティックに描かれていくサウンドだ。中盤は「A LONG WAY TO NOWHERE」、そして昨年リリースした情緒豊かな新曲「群像劇」を披露。シンプルでいて饒舌な曲を説得力をもって表現する、大人のバンドの時間も感じさせる。
ライブが進んでいく間にも雨は勢いを増していて、照明に映る雨は横殴りの激しさになっている。ホリエは観客に向かって、無理はしないようにと語りかけ、また「昔の土砂降りのフジロックを思い出した」と何か企んだかのような口調で「いちばん踊れる曲やります」と爆裂なダンスナンバー「DISCOGRAPHY」を観客に見舞う。REVOLUTION STAGEの地面は芝生のエリアになっているが、雨でタプタプになったその芝生の上で観客は高く飛び跳ねて、雨を蹴散らしていく。続く「シーグラス」のブリージィなメロディも、軽やかなステップを呼ぶ。
「シーグラス」も「REMINDER」も本音をいえば、いつものこの中津川の爽やかに晴れわたった空の下で浴びたかった思いはある。でもこのシーンを、彼らの音楽とともにTHE SOLAR BUDOKANの一ページとして思い起こすときもくるのだろう。「みんな風邪ひかないように。また会いましょう、ストレイテナーでした」(ホリエ)と言ってラストに据えた「彩雲」は、再びここで会えた日の美しいエンディング曲となった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎木村泰之
【REVOLUTION STAGE】セットリスト
02. From Noon Till Dawn
03. 宇宙の夜 二人の朝
04. 叫ぶ星
05. Braver
06. A LONG WAY TO NOWHERE
07. 群像劇
08. DISCOGRAPHY
09. シーグラス
10. REMINDER
11. 彩雲
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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