【インタビュー】杉山清貴、「ステージで歌うことの大切さが改めてわかった」
杉山清貴が5月22日に日比谷野外大音楽堂で開催するライブがWOWOWで独占生中継される。番組タイトルは『生中継!杉山清貴 The open air live “High & High” 2022』(5月22日(日)午後5:00〜[WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド])。
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日比谷の野音は、杉山が86年のソロデビュー直後から何度も公演を行っている会場。今回のライブでは、80年代のヒット曲や隠れた名曲、最新アルバム「Rainbow Planet」の収録曲まで、35年以上に及ぶキャリアのなかから厳選された楽曲が披露される予定だ。
この2年間も精力的に活動を続けてきた杉山清貴に、今回のライブに向けた意気込み、昨今のシティポップの流行などについて聞いた。
◆ ◆ ◆
■「今、何をやりたいのか?」と考えると
■思い切り声を出して歌うことなんです
──昨年行われたソロデビュー35周年ツアー、南佳孝さんとのジョイントライブ、現在行われているアコースティックツアーなど、コロナ禍においても精力的な活動を続けていますね。
杉山清貴:この2年間はいつもの1/10くらいの感覚ですけどね。お客さんをフルで入れられない時期もかなりあったし、何が正しくて、何が間違っているのかよくわからないと言いますか。この前、サインを頼まれたんですけど、“2020年”って書いちゃったんですよ(笑)。慌てて書き直したんですけど、それくらい、この2年間が空白だったということなのかなと。
──そうかもしれないですね。この2年間も80年代のシティポップが世界的な流行が続いてますが、この状況をどう感じていますか?
杉山:ぜんぜん実感はないですけどね(笑)。僕らとしては、時代に合わせて活動をしているつもりだし、80年代の音楽がもてはやされるとは思ってなかったので。まあ、考えてみるとファッションも20年くらいで一回りするし、それと同じようなものなのかなと。インスタに海外の方からコメントが届いたりすると、「聴かれてるのかな」と思ったりしますけど。
──杉山さんはまさに80年代のど真ん中にソロデビュー。当時の楽曲の再評価も進んでいます。
杉山:あの頃の日本の音楽は、かなり独特だと思うんですよ。サウンドはAORで、メロディは歌謡曲という組み合わせは他ではありえないし、それが海外でウケているんでしょうね。僕もバンドを始めたときから当時の洋楽に憧れて、それを追求して。そこに自分が作った歌謡曲的なメロディを乗せていましたから。
──なるほど。杉山さんにとって、AORの入り口になった作品は?
杉山:やはりボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」でしょうね。AORのマスターピースですし、当時もすごく聴いてました。
──2020年に発表された杉山さんのアルバム『Rainbow Planet』も、80年代シティポップの色合いが強い作品。原点回帰も意識していたんでしょうか?
杉山:それもあったと思います。サウンドプロデューサーのMartin Naganoさんと全体の方向性を話し合いながら制作したんですが、とにかくものすごい数の楽曲を準備してくれて、そのなかからチョイスさせてもらって。結果、杉山清貴らしいアルバムになったと思います。20代の若い作家の曲もあるんですけど、70年代、80年代の音楽もよく知ってるし、しかもアナログ(レコード)で聴いてたりするんですよ。たぶん親御さんの影響もあるんでしょうね。
──80’sの音楽が引き継がれている、と。アルバムの1曲目も「Omotesando’83」ですからね。
杉山:当時は表参道、青山がいちばんオシャレとされていましたからね。骨董通りにあった“パイドパイパーハウス”という洋盤屋にもよく行ってました。当時の事務所のそばだったし、当時は輸入盤を扱っているレコード屋さんがいちばん情報が早かったので。いまはサブスクがあるので、便利ですよね。僕も家でゆっくりしてるときはアナログで聴いてますが、資料に当たるときはサブスクを使ってるので。
──そして5月22日には日比谷野外音楽堂で<The open air live “High & High” 2022>が開催されます。2019年には“杉山清貴&オメガトライブ”として公演を行うなど、“野音”は杉山さんにとって、馴染みの深い会場ですよね。
杉山:そうですね。10代の頃からいろんなライブを観ているし、野外で音楽を楽しめる場所は、野音くらいしかなかったので。ソロになってすぐに野音でライブを始めたんですが、最初から“High&High”というタイトルだったんです。アガれるだけアガっちゃえ!っていう(笑)。盛り上がるだけではなくて、夕暮れどきにはしっとり聴かせることもできるし、じつはいろんなことができる会場なんですよね。たまに飛行機が飛んでたり、都会のオアシスというか、独特の雰囲気がありますね。
──杉山さんの音楽には夏のイメージもあるので、まさにピッタリですね。
杉山:雨や嵐、雷でライブを中止したこともありましたけどね(笑)。昔は8月、9月にやることが多かったんですけど、猛暑になってきて、最近は5月にやってます。
──2021年の5月に予定されていた野音ライブは、残念ながらコロナによって中止。今回のライブはどんな内容になりそうですか?
杉山:セットリストについては、“2022年だから、22曲やろう”という発想からはじまって。いつもすごく悩むんですけど、今回はまず、アナログ時代のシングルのB面の曲をいくつかやろうと思ってます。あとは去年の暮れの35周年ツアーでやった曲を混ぜようかなと。
──代表曲はもちろん、レア曲も楽しめる、と。
杉山:特にシングルのB面は、まだ一度もライブで歌ってない曲もありますからね。久々に聴いてみて、「そうそう、こういうアレンジだった」という発見もあるし、面白いんですよ。去年からバンドメンバーがかなり若くなったので、勢いのある曲もやりたいですね。
──若いミュージシャンを起用したのは、どうしてなんですか?
杉山:ベテランのミュージシャンもいいんですけど、「ここは5曲くらい続けてやりたい」と思ったときに、「体力的にきつい」ということもあって。自分としてはもっと攻めたいから、だったら若いミュージシャンとやろうと。彼らはまったく疲れ知らずなので、いいですよ(笑)。ギター(入江誠)なんて、去年の時点では二十歳ですから。
──杉山さんの楽曲はAORやフュージョンの要素もあって、演奏の難易度はかなり高い。それをしっかり演奏できるのはすごいですね。
杉山:みんな上手いし、性格もいいんですよ。いまはYouTubeやサブスクがあるから、探求心があればどんどん上達しちゃうんですよね。僕らが若い頃は、たとえば耳コピするにしても、レコードの回転数を落としてフレーズを追ったり(笑)、とにかく大変だったので。
──伝説的ミュージシャンの全盛期のライブ映像なども簡単にチェックできますからね。
杉山:そうそう。70〜80年代あたりの音楽もよく知っていて、40歳くらい年齢が違うのに、すごく話が通じるんですよ。「こんな感じで」と言えば、すぐに方向性を理解してくれるし、僕としてもやりたいことがやれるのは嬉しいですね。
──やりたいこと、というのは?
杉山:「今、何をやりたいのか?」と考えると、思い切り声を出して歌うことなんです。ライブが少なくなった反動もあると思います。ずっと続けてきたライブ活動の流れが止まったことで、ステージで歌うことの大切さが改めてわかったと言いますか。
──ステージに立ち続けることが大切だ、と。
杉山:はい。ライブができないと、「次のライブで、ちゃんと声が出るだろうか」と余計な心配をしてしまうし、メンタルはフィジカルにも影響しますからね。去年のライブもそうなんですけど、以前よりもさらに声が出てるし、ヘバることもなくなったんですよ。そう言えば今日、南佳孝さんとリハーサルしたんですが、すごく声が出てて。僕より10歳上なのに、困りますね(笑)。
──5月22日の野音ライブは、WOWOWで生中継されます。会場のお客さん、視聴者のみなさんにひと言いただけますか?
杉山:とにかく楽しんでほしいですね。僕にとって野音のライブは年に1度のお祭りだと思っていて。みなさんにもどんどん盛り上がってほしいです。今年、種子島の観光大使に任命していただいた縁で、種子島のパンフレットを配布予定なので、会場に来られる方はぜひみてください。
──楽しみです! ちなみに杉山さん、普段からトレーニングしてるんですか?
杉山:以前はジムに通ってましたけど、最近はやってないですね。走るのも好きじゃないし(笑)、海に行ってサーフィンするだけです。
取材・文◎森朋之
撮影◎福岡諒祠
『生中継!杉山清貴 The open air live “High & High” 2022』
※放送終了後~2週間アーカイブ配信あり
収録日:2022年5月22日(日)
収録場所:東京 日比谷野外大音楽堂
※スマホやタブレットでも見られるWOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中
◆WOWOW 番組サイト
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