【インタビュー】10-FEET、結成25周年『10-feat』全曲解説「コラボアルバムの聴こえ方が変わった」
2022年にバンド結成25周年を迎える10-FEETが3月23日、コラボレーションアルバム『10-feat』をリリースした。同コラボアルバムは『6-feat』シリーズとしてこれまで、第一弾『6-feat』を2006年4月、第二弾『6-feat 2』を2014年6月に発表。いずれも、さまざまなジャンルのアーティストが、カバーあり、リミックスあり、フィーチャリングありの構成にて10-FEETのオリジナル曲を再構築するもので、各アーティストの持ち味を発揮しつつ、同時に10-FEET楽曲の新たな魅力を引き出してきたコラボレーションシリーズだ。
◆10-FEET 画像 / 動画
前作から8年ぶりとなる第三弾『10-feat』は、その名の通り、岡崎体育、氣志團、クリープハイプ、G-FREAK FACTORY、dustbox、Dragon Ash、Hakubi、ヤバイT シャツ屋さん、山下康介楽団、WANIMAといった豪華10組参加による全10曲を収録した。クラブミックス、オーケストレーション、女性ボーカルならではの味わいは新鮮であり、解体と再構築を経た楽曲からは結果、メロディそのものの素晴らしさが滲む。BARKSは、その1曲1曲についてメンバー3人に話を訊いた。さらには、結成25周年を迎える現在の心境やアニバーサルイヤーとなる今年の活動についてもじっくりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■そのまんまでいいんじゃないかって
■25年前の自分に言ってやりたいかな
──本日は京都府文化観光大使の御三方に来ていただいております。
TAKUMA:めでたい!
KOUICHI:就任いたしました(笑)。
NAOKI:知事に「取材受けた」と言っておきます(笑)。
──いい感じでお願いします。大使になったことで変化などありましたか?
TAKUMA:人生初めての名刺を手にしました。
KOUICHI:それぞれ、文化観光大使としての名刺を。どこで使ったろうかなって考えています。
──NAOKI大使は、ドグマティックグルメとしてラーメン屋に行くたび、でしょう?
NAOKI:そうですね〜。いろんなところで名刺を使っていかないと(笑)。
──そんなトピックもありながら、さらに大きな事柄があります。今年で結成25周年ですよ。25年前、10-FEETというバンド名を決めて活動を始めた頃の自分に、何か伝えたいことありますか?
KOUICHI:25年前は、21歳か。NAOKIは10代やった。
NAOKI:僕は19歳とか20歳でしたね。成人前だったか。今年で僕は45歳になります。
KOUICHI:この25年でいろんなことありましたからね。でも、なんやかんやずっと続けてきたからこそのいいこともたくさんあったし。今回のコラボレーションアルバム『10-feat』もそうです。いろんなバンドとの出会いがあるから実現したことですからね。
TAKUMA:これまで活動してきて、モチベーションの上がり下がりはあっても、バンドや音楽をやりたくなくなるほどに下がらへんというか。“今日はやりたくないなー”って日もありますが、“続けていくのは分かっているけど”という言葉が、その前に付くんで。あの失敗をやり直したいってことも、結局そういうことがあってこそ学んだっていうこともあるじゃないですか。おじさんになってきているのか。経験値が人を一番成長させると思うんだけど、立ち振る舞いとか言動の種類って、オトナぶるところから始まるものもあって。それをあんまりしなくてもいいのかもな、と思うところがあります。オトナぶることによって失うもの…、例えば素直さや純粋さや本音とか、その伝え方を丸くしてしまったり伝えなかったりとかも出てくると思うので。
──オトナは、本音と建て前の使い分けのうまさってありますからね。
TAKUMA:今はそれがないとダメだとも思っているけど。でもネガティヴなことや否定的な本音を、あまり湿気がないまま伝えられる人ってたまにいるじゃないですか。BRAHMANのTOSHI-LOWみたいなヤツとか(笑)。めちゃめちゃキツイこと言ってるようで、ユーモアや爽やかさもあったりするじゃないですか。そうなるには、言い方を変に考えすぎると、本心を伝えるのが下手になっていくのかもなと思うときあります。だから25年前の自分には、そのまんまでいいんじゃないか、と言ってやりたいかな。
──それから結成25年の今年、コラボレーション作品『6-feat』シリーズの第三弾として、さっきKOUICHI君も触れた『10-feat』を発表します。何年ぐらい前からこの企画が始まっていたんですか?
NAOKI:何年も前とかではなく、去年。“25周年だからおもしろい企画をやろう”ということで、『6-feat』シリーズ第三弾という形です。今回は10アーティストにやってもらうのがおもしろいんじゃないかって。
──でも悩みますよね。「あの〜、俺、呼ばれてませんけど、なんで?」と言ってきそうな仲間もいっぱいいるでしょ。
NAOKI:まあね(笑)。直接言ってこなくても、そういう圧が(笑)。
──参加するアーティストが決まってから、自由に選曲してもらったんですか?
KOUICHI:選んでもらっている曲もあれば、こっちから曲をリクエストしたものもあって。
NAOKI:イベントライブとか<京都大作戦>で、以前、10-FEETのカバーをやってくれたバンドもいるじゃないですか。WANIMAもそうだし、dustboxも、それから氣志團も、ヤバTもそう。クリープハイプは、出演予定だった大作戦が中止になった年(2018年)に、「これをやろうと思っていました」って後で動画を送ってくれて。それが「Fin」やったんです。そういう感じで選曲が進んでいきましたね。
──Hakubiも、2020年の<京都大作戦>が行なわれていたら、カバーをやるつもりだったんですかね。
NAOKI:Hakubiはラジオです。
KOUICHI:ラジオで掛かっているのをTAKUMAが知って。
NAOKI:「蜃気楼」の弾き語りをしてくれたんですよ。
KOUICHI:それを後から僕らも聴かせてもらって、「いいやん!」って。それでお願いしようと。
──いきなりカバーを各アーティストやバンドにお願いしたわけではなく、これまでの交友ストーリーがちゃんとあるわけですね。直接声を掛けたとき、みなさんはどんな反応をしてくれました?
TAKUMA:直接のリアクションはそんなに見れてないんです、実は。
NAOKI:完成したものを聴いて、僕らのリアクションはありましたけど(笑)。去年の夏ぐらいにみんなにお願いして、僕らは楽しみに待ってたんです。
──曲をどう料理してくれるかで、メンバーやバンドに対する思いなども伝わってきますよね。そこでお伺いします。「1sec.」をカバーしたのが、宇治市を代表するアーティストの一人である岡崎体育。
KOUICHI:もっと派手に来るんかなって予想はしてたんですよ。派手というか、電子音がガッツリ入ったものを。でもスカっぽくなっているし、予想通りじゃない感じで。しかも体育君らしさもあるから、さすがやなって。
TAKUMA:ロックな感じと、EDMっぽいやつと、ちょっとR&Bっぽいやつ、あとはおもしろ楽曲とか、いろいろなタイプのレパートリーがある体育君が、どれで攻めて来るかな?って予想してたから、すごく楽しみでした。
──<京都大作戦>にまつわるネタで笑いに走るのかな?と思ってました。
TAKUMA:うん、そんなんも来るんかな?って思いましたよ(笑)。でもガチガチに時間を掛けて作ってくれたみたいで。
NAOKI:めちゃめちゃ攻めてくれましたね。この仕上がり、カッコいいですもん。
TAKUMA:アーティスト=岡崎体育という仕上がりですよ。
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