【インタビュー】THE MICRO HEAD 4N’S、名だたるバンドの終幕から第二章へ「ex.FANATIC◇CRISIS、DASEIN、ex.D’espairsRayといったキャリアが裏打ちするサウンド」
2011年8月に結成されたTHE MICRO HEAD 4N’Sは、終わりを起点としたバンドだ。ex.FANATIC◇CRISIS、DASEIN、ex.D’espairsRayといった名だたるヴィジュアル系バンドの終焉を経た5人の熱き想いは、それぞれのバンドのエピローグから、新たなるバンドへのプロローグへと発展した。2012年8月には1stアルバム『A BEGINNING FROM THE END.』をリリース。そして、圧倒的なサウンドで底知れぬパワーとスケールをアピールした彼らが2013年7月10日、2ndアルバム『-REVERBERATIONS-』をリリースする。シーンの酸いも甘いも噛み分けたメンバーが、自らの力で着実に歩みを進め、ポップやヘヴィネスといったカテゴライズすら無意味に思えるほど、豊かなオリジナリティを得ているところにTHE MICRO HEAD 4N’Sならではの醍醐味がある。これまでのプロフィールと現在の最高傑作について、5人が持ち前のユーモアを交えながら語り尽くす。
◆『-REVERBERATIONS-』トレーラー映像
■一緒にやってきたSHUN.に電話して、「最後に闘いに行くか!」と
■価値観が変わったのかな? 昔は目立ちたい精神が強かったんです
──THE MICRO HEAD 4N’Sは、もともと一度も音を合わせていない状態で結成されたバンドでしたよね。
kazuya:そうです。このバンドを結成する前の僕は、八方塞がりみたいな時期が続いて精神的に病みまして。これは人としてダメだと。もう音楽を辞めようかなと思ったときに、周りから「最後にもう一度だけバンドをやってみれば?」と言われたんですね。それがきっかけでまずFANATIC◇CRISISの頃から一緒にやってきたSHUN.に電話して、「最後に闘いに行くか!」と。実は、彼も当時病んでたんですけど(笑)、「よっしゃー!」と言ってくれたんです。
SHUN.:病み仲間です(笑)。僕も本当に“この先の人生どうしよう?”ぐらいに思ってたから、ある意味、救いの手みたいな感じでね。「やろう!」っていう返事しかできなかったです。
kazuya:それから他のメンバーを探すときに、僕の中で1つテーマがありまして。それは、ディスカッションしながら作り上げていく本当の意味でのバンド。これがやりたかったんです。そのためにもキャリアがある人を探して、以前、やってたユニットでサポートでベースを弾いてもらいたいと思っていたZEROくんに声をかけたんですよ。
ZERO:まったく想像もしてなかったですね。D’espairsRayが解散した直後だったんで、解散に対しての消化はできてたんですけど、まだ音楽を続けるかどうかまで考えてなくて。
──そこで何が決め手になりました?
ZERO:「今やんなきゃもったいない。やるなら早いほうがいい」って言われたんです。僕の経験を踏まえたうえで言ってくれた言葉だと思ったから。「いつやるの?」と聞かれたら、「今でしょ!」と答えますよね(笑)。
kazuya:ははは(笑)。ZEROくんの加入が決定して、そのままRickyに“今日、遊ばない?”って連絡したんですよ。で、ZEROくんと3人で呑みに。
──Rickyさんとkazuyさんは10年来の呑み仲間だったとか。
Ricky:僕の中では親友でした(笑)。
kazuya:単純にRickyの声がすごい好きで、自分の曲にRickyの声が乗ったらいいなーと思ってたんです。けど、今さら“一緒にバンドを組まない?”というのも恥ずかしくてね(照笑)。ただ、そのときはもう失うものなど何もなかったので、当たって砕けろみたいな感じで。
──Rickyさんは復活したDASEINやRIDER CHIPSなどをはじめとするバンドやユニットほか、ソロ活動も行っている中で、THE MICRO HEAD 4N’Sに入ろうと思ったのはなぜですか?
Ricky:やっぱりkazuyaですね。せっかくならミュージシャン同士、ステージで絡みたいなと前から思ってたし、kazuyaから口説かれて面白そうだなと。“スケジュール的にちょっと迷惑かけるかもよ?”ということが心配だったんだけど、「それは大丈夫!」と言ってくれてね……まぁ、今となってはそれはウソだったんですけど(笑)。ここ最近はTHE MICRO HEAD 4N’Sでスケジュールが埋まってますから(笑)。ただ、それぐらい、このバンドに対して本気なんですよね。最初は“楽しいことしようぜ”っていうくらいのラフな感覚だったのが、真剣に遊びたくなっちゃったんですよ。
──そこで4人のメンバーが集まったわけですが、最初はドラムレスでの活動を考えていたそうですね?
kazuya:その頃、結束力を高めるためにも呑み会を大事にしていて。ちょこちょこ呑んでるところに、ZEROくんがTSUKASAくんを連れて来てくれたんですよ。
TSUKASA:2011年8月24日のことですね。僕としてはドラマーを探してるのかな? っていう気持ちで行ったんですけど、後から「4人でやるつもりだった」と聞いて。それを知らずに、「俺やります!」って言ってしまったんです(笑)。
──なぜそういう流れに?
TSUKASA:kazuyaさんが語った野望に共感したのと、初めてみなさんに会ったその夜がすごく楽しかったんです。
──そうして一度も音を合わせないまま結成に至ったと。ex.FANATIC◇CRISIS、DASEIN、ex.D’espairsRayといった名だたる個性的なバンドのメンバーが集結したことでどんな音になるんだろう? と期待が高まったものです。実際、ご自身達のなかにはどのような音楽的方向性が?
kazuya:だからこそ言葉ではなく形にしようと、まずデモを作っていきました。
──なるほど。まっさらに近い状態から進めたわけですね?
kazuya:そうですね。当初はRickyのキーが今まで自分が経験したことのない世界だったので、なかなか曲とのハマりが難しかったですね。さらに言えば、2バスと5弦ベースも経験したことがなかったので、試行錯誤しながら土台を作っていった感じです。
──kazuyaさん自身にも新たな挑戦があったという。
kazuya:まさに。その僕が作ったデモに対して、それぞれ“そういうふうに解釈するんだ!?”っていう新感覚も面白かったですね。
──今、2バスと5弦ベースという話がありましたが。D’espairsRayでは重く激しいビートを叩き出していたTSUKASAさんとZEROさんリズム隊が、歌を中心に据えたロックを演奏することで、2人のコンビネーションに変化はありました?
ZERO:そもそもバンドとして出してる音が違うので、同じようなことを弾いたとしてもまったく異なるものになるんですよ。最初はどう混ざるのかな? と考えていたことも、実際にバンドで合わせてみると意外とバランスよく聞こえるものだなと感じたというか。
TSUKASA:このバンドのいいところって、曲のメッセージ性かなと思っていて。だから歌を邪魔しないようにという意識はありますね。それはサウンドの攻撃性を重視していた前のバンドとは違う部分で。ZEROとはリズム隊として、十数年一緒にやってるから、ツーカーみたいな……本当かな(笑)?
ZERO:ははは(笑)。前のバンドとはすごく変わってるように感じるかもしれないけど、僕ら的にはオイシイところは変わらず残している。だから本質的には、変わってないところのほうが僕は多いですね。
──kazuyaさんとSHUN.さんのコンビネーションは?
kazuya:SHUN.の性格が丸くなったので、FANATIC◇CRISIS時代に比較すれば、僕が指示出したことをしっかりと受け入れてくれる。そういう意味では話しやすくなりましたね。昔は“俺がギターソロ弾く!”みたいなバトルがあったんですけど、今はお互いに“どうぞ、どうぞ!”と譲り合ってます(笑)。
SHUN.:うん(笑)。価値観が変わったのかな? 昔は目立ちたい精神が強かったんですよ。でも実はバッキングのカッコよさってあるじゃないですか、そこに気づいたというか。それぞれの持ち味があるから、ヘヴィなサウンドだったら俺が弾けばいいし、ポップでメロディアスな曲だったらkazuyaが弾けばいい。まず曲があって、そこからのギターというふうに考えるようになりましたね。
──ボーカリストRickyさんにとって、数あるプロジェクトの中でTHE MICRO HEAD 4N’Sはどんな存在ですか?
Ricky:うーん、ロックな部分を満たしてくれるところでもあるし、仲間で作っているという意識が一番強いバンドですかね。
──では、まず1stアルバム『A BEGINNING FROME THE END.』についてうかがいますが、“終わりからの始まり”と“絶望の先の光”がこのアルバムのコンセプトとなっていました。この当時はバンドや自身の状況を歌詞に反映させることが必然的のように感じられたのですが?
Ricky:そうですね。メンバーそれぞれが以前やっていたバンドが終焉を迎えて、そこから“もう一度ステージに立ちたい”という共通の想いを持った5人が集まって、始まったバンドだから。僕らのような状況ってなかなかドラマチックだし、そのドラマを歌詞に反映させてお客さんに届けたほうがいいんじゃないかなと思いましたね。
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