【ライヴレポート】NOCTURNAL BLOODLUST、東名阪ツアーファイナルで「新しいものをぶつけたい」
NOCTURNAL BLOODLUSTが12月23日、新代田FEVERで東名阪ツアー<THE AKASHIC BREAK TOUR>のファナル公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
◆NOCTURNAL BLOODLUST 画像
不意にBGMのボリュームが上がると同時に客電が落ちる。いつもなら歓声が上がるところだがフロアに集まったオーディエンスたちは思い思いのスタイルで手をあげてメンバーたちを迎え入れる。本日がツアーファイナルということもあるのだろう。オーディエンスの様子からは、コロナ下の制限の中でも精いっぱいの表現でメンバーたちを迎え入れたいという意思が強く感じられる。
「行けんのか! 遠慮するな、本気でかかってこい!」と尋(Vo)が煽ると「Life is Once」で公演の口火が切られた。イントロからゴリゴリの選曲。楽曲の展開に合わせて、頭や手を振ったり、その場で揺れたり、オーディエンスそれぞれが自分のスペースで、思い思いのスタイルでライヴを楽しみ始める。尋はMCで「それで全力か!?」とガンガンに煽り倒し、共に楽しもう!とばかりにオーディエンスの背中をグイグイと押していく。煽る以上は…ということなのか自身もキレキレのシャウトを放ち、さらにギアを上げていく。まるで相互作用のように1曲ごとにバンドのパフォーマンスとオーディエンスの盛り上がりが一体感を増し、ボルテージが高まっていくのが分かる。
シフトアップしたノクブラのリズムを支えるのはNatsuの正確で圧巻のドラムワーク。そこにMasaのうねるような重低音ベースと、Yu-taroの丁寧なギターワークが低中音域からバンドのサウンドを支え、Valtzの華麗なギターワークと、尋の縦横無尽のヴォーカルワークが思う存分暴れまわる。復活直後の頃のような張り詰めた緊張感とはまた違う、ツアーを経た信頼の結びつきに支えられたバンドのサウンドが見るものを次々にライヴの熱量に取り込んでいく。
「DEAD END」では「今年一番のジャンプを見せてみろ!」と尋が煽り、オーディエンスはしゃがんだ状態から一斉に恒例のジャンプ。みんなで全力で楽しむために協力しあっている光景からは、声は出せず、場所も移動できないという制約はあるものの、許される範囲の中で、全身を使って最大限楽しんでいることがひしひしと伝わってくる。その思いを感じ取ったのか、Masaは一緒にライヴを作ってくれるオーディエンスへの感謝をMCの中で述べつつ、「ツアーの感じ、ライヴの感じを確かめながらやっている」と正直に明かした。今の世情、そして現体制での初のツアーという前提もあり、より日常に近いツアー形式でのライヴの在り方をバンドとして試行錯誤しているのだろう。
MC明けからは「Malice against」「REM」「VENOM」「THE ONE」といったナンバーが圧巻のグルーヴでライヴハウスを一つにまとめあげ、メンバーはステージを降りた。そこかしこから手拍子が沸き上がり、アンコールへと突入。手拍子に迎え入れられた格好のメンバーたちは少しおどけながら再登場。MCでは2022年5月より行われるツアーの開催を告知し、ファイナルが渋谷CLUB QUATTROとなること、さらにはツアーに先駆けてフルアルバムをリリースすることも明かされた。
「ここのところ、ミニアルバムやシングルが多かったけど、新しいものをぶつけたい」──尋
その言葉からは次のアルバムへの静かに燃える意欲が感じられる。ゴリゴリの激重デスコアチューン「Pleasure of Torture」でアンコールをスタートしたあとは、「Liberation」でコールに応える尋のパフォーマンスや、フロント3人でロールダンスを見せるなど、楽しませる方向も提示したうえで、「Reviver」の超タイトな演奏で、2時間近くにわたった濃密な公演を締めくくった。
今回のツアーは、終わってみればNOCTURNAL BLOODLUSTの懐の深さを改めて見せる機会になったと言えるだろう。復活後、最初の公演となった<NEW WORLD ORDER>(2021年5月)では、直前の配信ライヴも相まって、まるでライヴを一つの作品として捉えたような正確無比なパフォーマンスを見せた。全12バンドとの対バン形式で6日間にわたって開催された<6DAYS OF CHAOS>(2021年9月)では共演者を圧倒する限界ギリギリの音圧とライヴ巧者ぶりを見せつけた。一方、今回のツアーは過去や他者との比較から離れ、純粋にライヴを楽しむ場をオーディエンスと一緒に作りあげる、楽しさが際立っていた。5人による生身の音の化学反応を基軸としたライヴは、たとえ同時期の同じ会場であっても決して同じものにはならない。ライヴやツアーが日常になる日をすでに見据えて、バンドは次のステップの準備を始めたのだ。
撮影◎Seijiro Nishimi
■<NOCTURNAL BLOODLUST THE AKASHIC BREAK TOUR FINAL>2021年12月23日(木)@新代田FEVER SETLIST
02. BREAK THIS FAKE
03. PROPAGANDA
04. 銃創
05. DEAD END
06. Punch me if you can
07. The Wasteland
08. FACELESS
09. Left behind
10. Corruption
11. NG+
12. ZeTeS
13. Malice against
14. REM
15. VENOM
16. THE ONE
encore
en1. Pleasure of Torture
en2. Liberation
en3. Reviver
■NEW ALBUM『タイトル未定』
※収録曲未定
■<THE AWAKEN TOUR 22>
5月08日(日) 横浜F.A.D
5月14日(土) 名古屋 CLUB UPSET
5月21日(土) 大阪DROP
6月11日(土) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
この記事の関連情報
NOCTURNAL BLOODLUST、約1年ぶりワンマン<INVASIONS of ARGOS>詳細発表
NOCTURNAL BLOODLUST主催<TERRANIGMA>に我儘ラキア、Another Storyが出演
【インタビュー】NOCTURNAL BLOODLUST、8年ぶりアルバムに極上の密度と難易度「死角なし。向かうところ敵なし」
NOCTURNAL BLOODLUST、アルバム発売日にオンラインリスニングイベント開催
a crowd of rebellion、対バンツアーの全ゲストアクト発表
NOCTURNAL BLOODLUST、8年ぶりフルアルバムからリード曲「Cremation (feat. PK of Prompts)」MV公開
NOCTURNAL BLOODLUST、8年ぶりフルアルバムは『ARGOS』
【ライヴレポート】<JACK IN THE BOX 2021>、全6時間全40曲に40周年の見えない絆「kyoさん、帰ってきてくれたよ! 」
NOCTURNAL BLOODLUST、新アルバムのリリースとツアー開催を発表