【インタビュー連載 Vol.1】HYDE、「＜黑ミサ＞は特別なもの。これで最後に」

■＜Halloween＞と＜Wakayama＞
■同じ＜黑ミサ＞でもベクトルが違う

──さて、その平安神宮公演2日目の終演直後には新たに＜20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021＞開催が発表されました。10月30日および31日はハロウィンコンサートとして千葉・幕張メッセで＜20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Halloween＞、11月23日および24日はHYDEさんの地元・和歌山県の和歌山ビッグホエールにて＜20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Wakayama＞という2タイプの＜黑ミサ＞が行なわれるということですが、いつ頃から構想されていたんですか。

HYDE：ずいぶん前ですね。2019年の12月から南海電鉄で“HYDEサザン”っていう特急電車が大阪〜和歌山間を走っているんですよ。僕がデザインをプロデュースしたラッピング車両なんですけど。で、当初はその運行が今年10月頃に終わるということだったので、じゃあ、それに合わせて地元で＜黑ミサ＞をやりたいなと思ったんです。だってヘッドマークとか本体に＜黑ミサ＞って書かれた電車が走ってるのに、何もできないのはもったいないじゃない？ ただ、9月10月は我々のスケジュールと会場が空いている日程が合わなくて、11月なら取れるということだったんですね。だったら“HYDEサザン”の運行をそこまで延長できないかって相談をしたりしながら話を進めていったんです。＜黑ミサ＞を開催して、それをもって“HYDEサザン”のフィナーレとなればコンサートと電車の両方が成立するなって。結局、運行は来年3月まで延長されることになったんですけど（笑）。なので、あの電車が走っているうちに＜黑ミサ＞をやりたいなって思ったのが始まりでしたね。



──もちろんソロ活動20周年だからというのも構想の一因では？

HYDE：そうですね、ラッピング車両と20周年とが重なったということですね。＜黑ミサ＞って本来は富良野で、ごく小規模で行なうディナーショーなんですよ。だから前回(＜HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY＞)、前々回(＜HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO-＞)みたいに、＜黑ミサ＞は特別なものという位置づけで捉えていて。そろそろ小さいところでひっそりとやるものに戻したいので、こうやってオーケストラを擁して大々的に開催するのはこれで最後にしたいんです。もちろん＜黑ミサ＞ではなく違う名前でオーケストラコンサートをやるのはいいと思うんですけど。

──＜ハロウィン＞と＜黑ミサ＞というのもありそうでなかった組み合わせです。

HYDE：＜黑ミサ＞をやるなら和歌山だけじゃなく、みなさんのニーズに応えて関東でも開催したほうがいいっていう意見が出たんですよ。それで幕張メッセのスケジュールを当たってみたら、たまたま会場が取れた日がハロウィン当日だったっていう。

──あ、狙っていたわけではないんですか。

HYDE：本当に偶然。そうなったらもう「こりゃ、ハロウィンを絡めないわけにはいかないな」と（笑）。ハロウィンを絡めるならお客さんにも仮装して来てほしいし、仮装した姿でもちゃんと座って観てもらえるように、通常より少し座席の間隔を空けるとか、いろいろ工夫をしたら今の時代に合ったハロウィン、他のハロウィンではできないようなコンサートができるかもしれないって考えたんです。クラシックでありながら、ちょっと可愛らしくハロウィンテイストに曲をアレンジしたり、まだ実際には決まってないですけど、例えばゲストをお呼びするとか、そういうちょっとしたトリックを用意したり、ハロウィンならではの雰囲気をオーケストラコンサートとして演出できたら面白いかなっていろいろアイデアを考えているところなんですよ。＜黑ミサ 2021 Halloween＞と＜黑ミサ 2021 Wakayama＞では同じ＜黑ミサ＞でもだいぶベクトルの違ったものになると思うので、ぜひ楽しみにしていてほしいですね。


取材・文◎本間夕子
撮影◎田中和子







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