【インタビュー】田中雄士、遅咲きのヒーローへの道を体現する男が語る”人生の面白さ”

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■目でも楽しませてくれる存在の方が周りも楽しいですよね。
■そして、それでも努力し続けるし、頑張るし、“みんなも一緒に頑張ろうよ”って


──セルフボースティングのカルチャーはヒップホップの世界に元々ありますけど、「BLACK CARD feat.AK-69」は、まさしくそういう痛快さを感じます。

田中:ブラックカードに焦点を当てたMVは、日本にはあまりないのかなと思っています。AKくんとの共通点を探しながら話し合った結果、“ふたりともブラックカード、センチュリオンだから、それを曲にしたら面白いんじゃない?”っていうことになったんです。

──ユーモアも感じる曲です。《まるで服着替えるみたいに車変える》《リッチなのはマナー》とか、思わず笑ってしまいました。

田中:普段から思っていること、自分特有のことを歌詞にしたんです(笑)。

──AK-69さんの《昔待たせてたのはアイフル》も最高です。

田中:彼の個性が出ていますよね(笑)。一緒にやって勉強になりましたし、いろいろ糧にできたらいいなと思っていました。

──フェラーリが出てきたりするMVも華やかな仕上がりですね。


田中:ウォーレン・バフェットとかビル・ゲイツとか、お金持ちが質素にしていたりするじゃないですか。彼らは有名で、実際にものすごい資産家だからそれで良いと思うんですけど、目でも楽しませてくれる存在の方が周りも楽しいですよね。自分も周りにそういうのを見せて、「あっ、いいなあ」って感じて欲しいと思っています。自分はキックボクシングのチャンピオンだし、事業もやっているし、歌も歌えるし、だけど、それでも努力し続けるし、頑張るし、“みんなも一緒に頑張ろうよ”っていうことですね。おせっかいなメッセージかもしれないですけど、それが根底にあるのかもしれないです。何かしらの良い刺激を受けてくれたら自分としては本望です。

──田中さんの人生自体が、世の中に対しての良いメッセージになっているのだと思います。紆余曲折もありつつ努力を重ねて、こうして様々な分野で結果を出していくというのは、なかなかできないことですからね。

田中:40歳を過ぎてヒップホップの世界に参入する自分のハートの強さと図々しさは、武器だなと思っています(笑)。

──(笑)“40代でメジャーデビュー”って、インパクトがありますね。

田中:なかなかないですよね。それで叩いてきたり、“なんだよ、このおじさん”って言う人もいると思うんです。でも、シカトでどんどん前に進もうと思います。何を言われても屈しないです。ガキの時も普通の少年とは全然違う経験をしていますし、ハートの強さは桁が違うと思っていますから。

──そういう田中さんの姿は、若いリスナーにも良い刺激になると思います。

田中:そうなったら嬉しいです。年齢を重ねる中で若い人から学ぶこともたくさんあるって感じるようになりましたから一緒に何かやりたいし、刺激し合いたいですね。若いラッパーはラップも上手いですし、勉強させて欲しいです。勉強したり、吸収させてもらうことが好きなんですよ。

──今回のEPでも多彩な表現スタイルを探求していますよね。「STAY WITH ME feat. BIG RON」は、どういう経緯でカバーすることになったんですか?

田中:HOKTさんの紹介でBIG RONさんと仲良くさせてもらっていたんです。それでBIG RONさんの曲の「STAY WITH ME feat. JAMOSA」をカバーすることになりました。CIMBAが“BIG RONさんとやるんだったら、この曲のカバーが良いですよ”というアドバイスをしてくれて、“たしかに!”と思って。

──原曲は2007年のリリースですね。

田中:はい。CIMBAとHOKTさんのディレクションで、“もっと切なく歌って!”というのがあってちょっと苦労したんですけど、レコーディングで最終的にすごく切ない声を出すことができました。


──今回、こうしてお話をして感じるんですけど、田中さんは真面目な努力家ですよね?

田中:ある意味そうですね。たまに適当なところもあるんですけど(笑)。でも、人生をロールプレイングゲームみたいに捉えているところがあります。ちゃんとレベルを上げながら仲間を集めて、その仲間にもグレードアップしてもらって、ミッションをクリアしながら前に進むようなイメージというか。そういうのを楽しんでいます。

──様々なことに真剣に向き合い続けている中で、こうしてヒップホップシンガーとして作品をリリースするという出来事があるのも、人生の面白さですね。

田中:はい。いろんなやりたいことが同時にあって、行き着いた先にこういうことがあったんですよね。これが自分の人生なのかなと。自分が何も結果を残していなくて、ただ“音楽をやりたい”って言っても誰も聴いてくれなくて、説得力もなかったと思うんです。今までの流れがあった上で歌い始めて、“遅いけど頑張るんだよ”っていうのは、1つのキャラとメッセージになるのかもしれないです。“遅咲き”っていうのを武器にして頑張り続けなければいけないですし、音楽を通して輪を広げて、いろんな人たちと高め合えたらすごく楽しいなと思っています。

──“何歳になっても花を咲かせることができる”というこの作品が示しているメッセージは、幅広い層の人の希望に繋がり得ると思います。

田中:まだ咲いていないと感じている人も遅咲きのヒーローになって欲しいですね。自分もこの先に何かしらのチャレンジをするはずですし、音楽もずっと続けられたら最高です。夢に溢れています。生きていて楽しいですし、そんじょそこらのことではへこたれないです。音楽はまだバズっているわけではないですけど、徐々に、着実にきているので、いろんな人のもとに声が届くようになるまでやります。届くはずです。

──今後、ビジネスの世界とかでさらに結果を残していくのも、音楽活動の説得力を増していくことに繋がるのではないでしょうか?

田中:はい。全部のことを、平行して多動的に全力でやっていかないといけないと思っています。1個に絞ってしまうと自分のキャラと違うというか。全体的に力を出しながら結果を出していくのが自分の使命なのかなと。次の作品に向かっても既に動き始めていて、大物のフィーチャリングも決まっていますし、ラブソングとかにも挑戦したいですね。コンスタントに出していきながら、さらにいろいろなことを試していきたいと思っています。

取材・文◎田中大

▲EP『遅咲きのヒーロー』

EP『遅咲きのヒーロー』

【CDリリース情報】
発売日:2021年7月21日(水)
<収録曲>
M1.遅咲きのヒーロー
M2.BLACK CARD feat.AK-69
M3.断捨離 feat. HOKT(N.C.B.B) 
M4.STAY WITH ME feat. BIG RON
M5.I'll Get It All feat.輪入道

【配信情報】
発売日:2021年7月21日(水) 
ストリーミング・サービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて7月21日より配信スタート。
Linkfire: https://jvcmusic.lnk.to/yujitanaka_osozakinohero

※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music

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