【対談】DAISHI [Psycho le Cému] × RYUICHI [LUNA SEA]、「できないことをやろうとしている」
■“近いけど遠い”──本物とはそういう存在
■この後のツアーでは動かないようにしよう(笑)
──RYUICHIさんは近年、LUNA SEAとしてもソロとしても活動が盛んですが、プロジェクト間の相互作用はありますか?
RYUICHI:今はコロナがあって、そこまで忙しくできていないですけど、以前はLUNA SEAとソロを合わせて年間80本ぐらいライヴをやっていたんですよね。文字通りマイクを使わないノーマイクライヴとか、いろんなことを。たぶん僕は、自分を飽きさせないように、いつも何かを試しているような気がするんです。古舘伊知郎さんが一人しゃべり(※『古舘伊知郎のトーキングブルース』シリーズ)だけで1〜2時間の公演を実施されていたように、僕とピアノの2人だけのライヴもできるんじゃないかって。マイクを使わない怖さと闘うノーマイクの自分もそうだし、やっぱり活動の全部にロックの魂はありますね。もしかしたら、教会で優しい歌を歌っているように聴こえるかもしれないけど、武器が次便の生声しかないわけだから、全てを削ぎ落したところで闘わなきゃいけない、自分を出さなきゃいけない。
DAISHI:丸腰の状態ですよね。
RYUICHI:この大変な時期にLUNA SEAでここまでできたから、それがソロに還元できて。ソロで新たなチャレンジができたから、LUNA SEAに自信を持って行けるという……その繰り返しです。だから僕は、8時間45分のマラソンライヴ(※ソロ20周年を記念した<RK 20th Anniversary グランドフィナーレ“無限の生命”~果てしなき旅、その先という名の道を目指して~>/2018年開催/全158曲連続披露)みたいなことをやるんですよ。できないことをやろうとしてるというか、できないという考え自体を取り払わないとダメなんだなって。やり始めたからにはやり続けるしかないですから。
──LUNA SEAのツアーの間を縫うように、ソロの河村隆一としてマイクを使わない教会ライヴ<Ryuichi Kawamura No Mic,Two Speaker Concert at Gloria Chapel>が7月22日(木・祝)および23日(金・祝)に開催されます。そこに向けて、今、どんなモードですか?
RYUICHI:声帯の使い方自体が違うし、体調によっても違ったものになるんだけど、マイクを使わないライヴは、DAISHIがさっき言ってくれた、身体を鳴らすということがすごく大事なんです。無理して歌うとあっという間に声が潰れちゃう。だけど、背中を鳴らしたりすることで、その空間に僕の声が充満するというか。すべてを埋め尽くすみたいなことができると、次にマイクを持ってステージに上がった時には「あれができたんだから、マイクを持ったら絶対負けない」という気持ちで、またステージに上がることができるんです。だから、リセットポイントっていうのかな。
DAISHI:国際フォーラム ホールAでRYUICHIさんが、マイクを外してアカペラで歌われた時、僕は結構後ろのほうの席で観てたんですけど、生声が届いて、ホンマ、ヤバかったですよ! アンコールの時だったと思うんですけど、最後はファンの人も前のほうへ押し寄せて、ライヴハウスみたいな盛り上がり。思っていたライヴと違うギャップもあって、すごく楽しかったですね。
──では、この機会にDAISHIさんからRYUICHIさんへ訊きたいことってありますか?
DAISHI:さっきRYUICHIさんが「センターから動かない」という話をされたじゃないですか。ヴォーカルって、動かずに歌うほうが絶対に難しいんですよ。ドシッとして歌えるようになるまでには、すごく経験と時間が必要なんです。何かしておかないと、向き合うのが怖い。ヴィジュアル系の若い子のライヴを観ると、たいていヴォーカルがずっと動き回ってますから(笑)。歌で勝負できないと分かってるから、動いたり煽ったりしちゃうんですよ。僕も未だになかなかできないですけど、RYUICHIさんの映像を観て、ドシッと歌える練習を何回したことか。
RYUICHI:ははは。
DAISHI:本当に歌の上手い大御所の演歌歌手のステージングって、ほとんど動かないですよね。ヴォーカルっていろいろやっているほうが間が持つというか。そのほうが恥ずかしくないし、マイクだけスッと上げて歌うのって、結構怖いんですよ。
RYUICHI:そういう考えもあるんだね。今、いいこと言ってもらえた。だって、“RYUICHI、ステージ上で全然動かないな”と思われている可能性もあるわけだから(笑)。さっきのワイヤレスの話じゃないけど、たまにファンの方から、「歌ってない時でいいので、上手と下手に1回ずつぐらい来てもらえたらうれしいです」みたいなことを言われましたもん。僕としても「だよね~」みたいな(笑)。
DAISHI:近くで観たいというファン心理はあるでしょうけど、近くに来ないからまた、ヴォーカルのカリスマ性が出てくるんですよ。
RYUICHI:それは以前、どこかのライヴハウスの人に言われたことがある。ライヴハウスって客席とステージの距離が近いから、手を伸ばせば顔とか髪に触れられるんだけど、「絶対に触られないのがカリスマ性だ」って。「お客さんに引っ張り込まれるようでは、それは本物のヴォーカリストじゃない」みたいな。“近いけど遠い”──そういうことなんだろうね。あぁ良かった。この後のツアーでは動かないようにしよう(笑)。
DAISHI:あはは! たまに動いてくれると、よりうれしいですけどね。LUNA SEAさんを観ていて、そういうところも勉強されているんだろうなと思います。
──Psycho le Cémuは8月14日(土)、姫路市文化センター大ホールでの20周年記念公演<Psycho le Cému 理想郷旅行Z ~二十年後の僕たちへ・・・~>を控えています。
RYUICHI:地元だよね。
DAISHI:はい。結成22周年で、やっと地元の一番大きいホールでライヴできることになりました。僕たちにとって一つの夢だったので、長い時間が掛かりましたけど、楽しみで。
──今年5月3日の結成記念日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催予定だったライヴが、姫路に会場を移して8月に開催されるんですよね。5月の時もコロナの影響で直前までどうなるか分からない状況で、結果、緊急事態宣言発出を受ける形で開催見送りとなりましたが、気持ちの切り替えは難しくなかったですか?
DAISHI:延期になったことは良くないんですけど、メンバー的には地元姫路で出来る喜びがあるんです。元々は2020年5月3日に姫路で開催する予定だった20周年記念の最終章がコロナで延期になって、さらに今年5月3日に渋公で予定していた延期公演が再度延期になってしまった。この再延期公演は結成記念日ではないですけど、会場を姫路に戻すことができたので。
RYUICHI:最初は姫路の予定だったんだ? 渋公のチケットを買った人たちも振替で参加できるの?
DAISHI:はい。コロナの影響で、まだどうなるか分からない部分もあるんですが、“これはご縁かな”とも思ってるんです。というのも、姫路市文化センター大ホールが今年でなくなっちゃうので。
RYUICHI:え、そうなの? じゃあもう何があってもやるしかないね。
DAISHI:そうなんですよ、ギリギリ滑り込みなんです(笑)。僕たちは当時、姫路のバンドとして地元のライヴハウスに所属していたんですけど、そこから東京に進出したので、以降なかなか姫路でライヴする機会がなくて。“姫路でライヴをするなら一番大きなホールでやりたい。そうなれるまで頑張る”という気持ちが強かったんです。
RYUICHI:分かるよ。
──まだまだ先が見えないコロナ禍ではありますが、ライヴが無事に開催されることを祈りつつ、最後にお互いに期待することなどお聞かせください。
DAISHI:<VISUAL JAPAN SUMMIT>のメインステージで、僕らがトップバッターとして出演させていただいて、自分らの中ではLUNA SEAさんと一緒のステージに立つことができたと思っているんです。またいつか、何かの機会で同じステージ立てるよう頑張ります。
RYUICHI:ぜひぜひ。DAISHIはソロとかやったらいいよ。いろいろ楽しめば、プラスになることもいっぱい見えてくるだろうし。今は世の中が新型コロナに翻弄されて、なかなかやりたいこともできない状況でもあるから、まずは、姫路凱旋公演を成功させて。その先でまた一緒に何かできたら。そのときはぜひよろしくお願いします。
DAISHI:はい、ありがとうございます! よろしくお願いします!!
取材・文◎大前多恵
■<Psycho le Cému 理想郷旅行Z ~二十年後の僕たちへ…~> 振替公演
open17:15 / start18:00
▼チケット
S席 ¥19,800 / A席 ¥9,800
一般発売:8月8日〜
Web先行受付:7月20日〜
■<Ryuichi Kawamura No Mic,Two Speaker Concert at Gloria Chapel>
7月23日(金・祝) 東京・キリスト品川教会 グローリア・チャペル
・1st:open13:30 / start14:00 / 終演15:15(予定)
・2nd:open17:30 / start18:00 / 終演19:15(予定)
(問)キョードー東京 0570-550-799
http://www.kyodotokyo.com
▼会場チケット ※SOLD OUT
全席指定¥11,000 (税込)
一般発売日: 2021年7月11日(日)
※ご来場者全員にオリジナル教会ソング(1曲)プレゼント
※未就学児童のご入場はできません
※教会へのお問い合わせはご遠慮ください
▼配信チケット
ライブ配信:7月23日(金・祝)18:00~19:30
見逃し配信:ライブ配信終了後、 準備が整い次第~2021年8月10日(火)11:59
※配信開始時間は変更となる場合があります。
■ライブ配信視聴可能デバイス
・スマートフォン / タブレット(U-NEXTアプリ)
・パソコン(Google Chrome / Firefox / Microsoft Edge / Safari)
・テレビ(Android TV / Amazon FireTV / FireTV Stick / Chromecast / Chromecast with Google TV / U-NEXT TV / AirPlay)
※ライブ配信には1時間に最大約5.5GBの通信量を消費します。 当日はWi-Fi環境での視聴を推奨します。
https://www.video.unext.jp/lp/ryuichi_kawamura?rid=PR00590
▼河村隆一コメント
「今回の公演はマイクを使わずに歌う教会ライブです。 教会の箱自体がスピーカーになってくれるので、 大きな声を出して、 教会の箱をめいっぱい鳴らして、 皆さんに感動を与えられたら良いなと思っております。 配信ライブでも会場に響き渡る声を楽しんでいただきたいです。
もともと自分の声が響くとか大きいといった自覚は無かったのですが、 たくさんの人たちに色々なところで、 「隆ちゃんの声でかいよね」「響くよね」「通るよね」と言われて。 じゃあポップスやロック、 オペラなど、 マイクを使わないで歌ったらどうなるんだろうか?と思ったのがこのコンサートの始まりです。
人間の息吹というか人の声ってこんなに鳴るんだなって感じられるでしょうし、 皆さんの耳も能動的になって、 僕の声を取りに行くようなライブになると思います。 僕のチャレンジングなアートワークを感じる瞬間になると思うので、 ぜひ楽しんでいただきたいです」
■<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 20202021 -CROSS THE UNIVERSE-> ※振替公演
2020年3月21日(土)→振替日程:2021年6月12日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月22日(日)→振替日程:2021年6月13日(日) 開場15:00/開演16:00
▼松山市民会館 大ホール ※延期
2020年4月11日(土)→振替日程:2021年6月26日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年4月12日(日)→振替日程:2021年6月27日(日) 開場14:00/開演15:00
▼札幌文化芸術劇場 hitaru ※延期
2020年5月09日(土)→振替日程:2021年7月03日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年5月10日(日)→振替日程:2021年7月04日(日) 開場15:00/開演16:00
▼名古屋国際会議場センチュリーホール ※再延期
2020年5月14日(木) →再延期・振替日程:2021年7月17日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年5月15日(金) →再延期・振替日程:2021年7月18日(日) 開場15:00/開演16:00
▼南相馬市民文化会館ゆめはっと大ホール ※再延期
2020年3月14日(土)→再延期・振替日程:2021年7月31日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月15日(日)→再延期・振替日程:2021年8月01日(日) 開場15:00/開演16:00
▼宇都宮市文化会館大ホール ※再延期
2020年2月27日(木)→再延期・振替日程:2021年9月01日(水) 開場17:30/開演18:30
2020年2月28日(金)→再延期・振替日程:2021年9月02日(木) 開場17:30/開演18:30
▼仙台サンプラザホール ※再延期
2020年4月25日(土)→再延期・振替日程:2021年10月02日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年4月26日(日)→再延期・振替日程:2021年10月03日(日) 開場15:00/開演16:00
▼上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール) ※再延期
2020年3月28日(土)→再延期・振替日程:2021年10月23日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月29日(日)→再延期・振替日程:2021年10月24日(日) 開場15:00/開演16:00
▼大阪国際会議場メインホール ※再延期
2020年4月04日(土)→再延期・振替日程:2021年11月29日(月) 開場17:00/開演18:00
2020年4月05日(日)→再延期・振替日程:2021年11月30日(火) 開場17:00/開演18:00
▼本多の森ホール(旧石川厚生年金会館) ※再延期
2020年3月07日(土)→再延期・振替日程:2021年12月04日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月08日(日)→再延期・振替日程:2021年12月05日(日) 開場15:00/開演16:00
▼神戸国際会館こくさいホール ※再延期
2020年5月02日(土)→再延期・振替日程:2021年12月20日(月) 開場17:00/開演18:00
2020年5月03日(日)→再延期・振替日程:2021年12月21日(火) 開場17:00/開演18:00
ツアー詳細: https://www.lunasea.jp/news/LUN_news_crosstour2021
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