【世界珍楽器さんぽ #10】“魂”を持つアイヌの伝統楽器・トンコリ
アイヌ民族の伝統楽器・トンコリは漫画『ゴールデンカムイ』の中にも描かれたことから、その名前を目にしたことがある方も多いかもしれません。
トンコリは樺太と北海道北部で奏でられている弦楽器です。ヘッドと糸巻があり、ギターや三味線系の楽器のような見た目をしていますが、楽器としては箏の仲間で、「五弦琴」とも呼ばれています。
こちらの楽器、基本的には「フレットを押さえて音を変える」ことはせず、開放弦のみで音楽を奏でるのだそう。つまり「5音だけでメロディを作る」のですが、曲によってチューニングは変化するようです。この辺りの特徴はまさに箏ですね。
この楽器、真正面に向けて演奏する画像や動画が多いので、「板に弦を張ったような楽器」にも見えるのですが、実際には胴体部分に空洞が作られており、深く張りのある音色がします。
トンコリは“女性の身体を模した楽器”といわれており、各部は人体の名称で呼ばれ、胴体の中には“魂”としてガラス玉なども入っているそうです。弦には植物の繊維を撚ったものや動物素材などが用いられていましたが、三味線の弦(絹)も使われているとのこと。
近年ではトンコリと西洋音楽とを組み合わせ、新しい試みを行うアーティストも登場しています。このトリップ感を聴くと、「5音」は制限ではなく長所に思えますね。
(BARKS編集部 安藤)
■今日の楽器「トンコリ」
分類:弦楽器
特徴:五弦琴とも呼ばれる。チューニングは変動する
日本での入手難易度:10万円前後から入手可能
ひとこと:OKI DUB AINU BANDものすごくカッコイイ