【インタビュー】とけた電球「自分自身を見つめ直しながらバンドとして新しい作品を作りたい」
時代を超える普遍的なグッドメロディを奏でるポップ/ロックバンドとけた電球の2021年は、決意のリリースラッシュで幕を開けた。まずは2月16日、MBS/TBSドラマ『ホリミヤ』オープニング曲「どうすんの?」と、エンディング曲&劇場版主題歌「灯」(トモス)の2曲同時デジタルリリース。そして3月5日、ホリプロ60周年記念映画『NO CALL NO LIFE』主題歌「ふたりがいい」のデジタルリリース。たとえライブができなくとも、活動ペースがスローダウンしても、決して前を向くことをやめない。結成9年、派手さはなくとも一歩ずつ確実に成長してきたバンドは、2021年という時代の風に吹かれて何を思うのだろう?
■僕が「この部分はうまく作れないな」と思ったら
■メンバーに作ってもらったり歌詞を書いてもらう
――まず聞きたいのは、「この1年間、バンドとして音楽への向き合い方について、どんなふうに感じていますか?」ということなんです。
岩瀬賢明(Vo&G):去年はワンマンライブが二つ中止になったり、開催予定だったツアーがなくなったりして、「バンドを続けられるかな?」という不安がすごくありました。でも今回のリリースの話をいただいたりして、「まだやれることがあるんじゃないか」という気持ちになって、それが今でも続いていますね。ライブはしにくい状況ですけど、リリースだったり、まだ決まってないですけど配信とか、いろんな形を模索しながらバンドを続けていけたらいいと思います。今は「この1年耐えられたんだから、今年もいろんな形で活動できるだろう」という、前向きな気持ちでいますね。
――メンバー同士でいろいろと、話すこともあったり?
岩瀬:あまりそういう、「頑張ろうぜ」みたいな感じのバンドではないんですけど(笑)。でも今回のレコーディングを通して、言葉にはしていないですけど、「こんな状況でも頑張ろう」という気持ちにみんながなれたのかな?と思っていますね。
▲「ふたりがいい」
――そして新曲「ふたりがいい」は、所属事務所の60周年を記念した大作映画。主題歌に指名されて、かなりプレッシャーがあったんじゃないかな?と想像します。
岩瀬:でも関わっているのが若い方ばかりで、プロデューサーの方も若くて、監督の方も僕らと同世代なんですよ。60周年という大きな節目ですけど、「若手で頑張ろう」という感じがあったので、「僕らもこの映画に曲として力添えできたら」と思っていましたね。
――作詞作曲は岩瀬賢明、境直哉の共作です。作り方はどんなふうに?
岩瀬:基本は僕が作ったデモが元になっているんですけど…どんな感じで作ったんだっけ?
――思い出してください(笑)。
岩瀬:最初に要望があって、「爽やかな曲調とせつない歌詞」という感じにしてほしいと言われたんですね。それで曲を作り始めて…最初は歌詞も全然違っていて、もっと抽象的だったんですよ。でもレコーディングの最中に、昔からお世話になっているエンジニアの方から、「どんなものにでも当てはまる歌詞になっていると思う」という指摘をしてもらって…映画のストーリーが、若い二人のせつない恋の物語なので、そこにちゃんと共感できるポイントを見つけなきゃいけないと思って、歌詞を書き直しました。その共感ポイントが、「主人公の男の子と女の子は、二人でいれば無敵だと感じているんじゃないかな?」というところで、それでタイトルを「ふたりがいい」にしたんですね。いろんな連想ができる言葉だし、そこから歌詞を書き直しました。
▲岩瀬賢明(Vo&G)
――その、エンジニアさんの指摘がなければ、今とは違う歌詞になっていたかもしれない?
岩瀬:そうですね。たぶん、人に届きにくい歌詞だったような気がします。
髙城有輝(Dr):この曲は、聴いた瞬間にすぐ「ドラムはこんな感じだろうな」というイメージができたのを覚えています。爽やかな曲調にしたいという要望があったので、ドラムの役割としては、若さとか、止まらない感じとかを表現しようかなと思いました。
境直哉(Key):僕は岩瀬のデモを聴いた時から、この曲がすごく好きで、過去に思いをはせるタイプの曲ではなく、未来を向くタイプの曲なのかな?と思っていました。いちおう共作名義になっているんですけど、Cメロのところだけ僕が加筆させていただいた形になっています。最初のデモに足りていないものとして、もうちょっと主観的な要素を付け加えたくて、Cメロを書かせてもらいました。結果的にエンジニアさんのアイディアもあって、岩瀬の歌詞もそっちに寄る形になったので、良かったなと思いましたね。
岩瀬:もともと俯瞰して見ている歌詞だったのを主観的な歌詞に変えたんですよ。
境:最初は、説明口調だったんだよね。
岩瀬:そう。人のことを歌っていて、僕がそこにいない歌詞になっていたので。それは僕がまだ、映画のお話に対して共感ポイントを見つけられていないからじゃない?ということを、エンジニアの方に言っていただいて、ハッと気づいて、あらためて共感ポイントを探したのが、「ふたりがいい」というタイトルであり、テーマだったので。そこから全部書き直して、話の中に僕もちゃんと入れ込んで、僕目線で書けたのが、最終的な歌詞になりました。それを元から(境が)やってくれていたので、違和感なくピースがハマった感じでした。
▲境直哉(Key)
境:Cメロの“君のことだけ残して/逃げてしまうくらいなら/全て失くしてしまったとしても/守りたい/抱きしめたい”というのが、僕が足したところです。リフレインの連続みたいなメロディラインと、“守りたい/抱きしめたい”という歌詞とが合わさって良さが出ればいいなと思ったので、個人的にはすごく気に入っています。
――今の話を聞いて思ったのは、バンドのメインソングライターは、自分の世界を構築するタイプが主だけれど、でも岩瀬くんは、人からアドバイスをもらうことも全然OKなタイプなのかな?と。
岩瀬:僕はけっこう柔軟な方だと思いますけど…どうかな?
境:むしろ「人の意見を取り入れることに意味がある」と考えるタイプだと思う。
岩瀬:自信がない、というのもちょっとあるんですけどね(笑)。これは本当に「良くも悪くも」なんですけど、「人が聴いてどう思うか」をすごく気にするタイプなので、特に「メンバーはどう思うかな?」ということや、マネージャー、エンジニアの方とかの意見を聞いて、「こっちのほうがいい」というものがあって、それを多くの人が支持していたら、「じゃあそうしよう」ということになります。曲に関しても、僕が「この部分はうまく作れないな」と思ったら、メンバーに作ってもらうとか、歌詞を書いてもらうとか、ここ2年ぐらいはそういう感じですね。だから共作名義が増えているんですよ。
――確かに。増えていますね。
岩瀬:全体の流れは僕が作るんですけど、苦手な部分は誰かに頼んだりするようになりました。
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