【インタビュー】ZOOM G11 × meguri (paranoid void)、「プレイや音色の幅を広げたいギタリストにぴったり」

ポスト

ZOOMギター用マルチエフェクター/プロセッサーのフラッグシップとして2020年春に販売をスタートしたモデルがG11だ。135種類もの多彩なエフェクトを内蔵、22種類のアンプモデルとそれに対応する22種類のキャビネットモデルを搭載したほか、注目のIRローダー機能は、スピーカーキャビネットの鳴りをキャプチャしたインパルスレスポンス(Impulse Response)を取り込めるというもので、桁違いのリアリティと豊富なサウンドバリエーションを得ることが可能となった。5inchタッチスクリーンはスピーディーなナビゲーションが容易となるなど、操作性や実用性も高い。

◆ZOOM G11 × meguri (paranoid void) 画像

ZOOM G11をすでに楽曲制作用機材として導入しているのが、女性3人によるマスロックバンド“paranoid void”のギタリストMEGURI。変拍子やポリリズムを織り交ぜ、浮遊感あるギターサウンドが特徴的なインストゥルメンタルを武器に、<FUJI ROCK FESTIVAL 2019>のROOKIE A GO GOへ出演したことをはじめ、2020年には初のアメリカツアーを成功に納めるなど、世界へ羽ばたくバンドとして急成長を遂げている。“究極のサウンドを追い求める、すべてのギタリストへ”というテーマを持つG11はMEGURIの音楽制作にどんな影響を与えているのか。その使い勝手やサウンドメイク術、エポックな機能の数々について訊いたインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■IR機能を使うことで
■奥行き感を表現しやすくなった

──MEGURIさんがギターを務めるparanoid voidは、2019年に<FUJI ROCK>のROOKIE A GO GO出演、その後、初のUSツアーを敢行するなど、マスロック界注目のバンドとして認識度が高まり続けています。コロナ禍で思うようなライブ活動が出来なくなってしまったこともあって、自宅での作曲作業が増えたそうですが、まずご自宅のレコーディング環境から教えていただけますか?

MEGURI:ソフトウェアはLogic Pro Xで、オーディオインターフェイスはモニターとしてお借りしているZOOM G11を使ってます。


▲ZOOM G11

──ZOOM G11の使い勝手はいかがでしょう。率直な感想は?

MEGURI:直感的に音が作れてめっちゃ便利(笑)。

──paranoid voidの楽曲からは空間へのこだわりを感じますが、ZOOM G11を使用した音楽制作も“現場のプレイに伴う空気感”をレコーディングに落とし込むことを意識していますか?

MEGURI:楽器の鳴りや響き、サウンドのミックス感について“良いなー”と思うポイントって、現場で体感したときと音源で聴いたときとでは、そもそもだいぶ違うと思うので。だから現場のプレイ感をそのままレコーディングしたいというよりも、最近は別物と考えてます。

──今回、ZOOM初のIR技術がG11に導入されています。これは部屋鳴りを表現できるわけですが、実際と比べての再現性や感想はいかがでしょう?

MEGURI:実はG11のIR機能についてはまだ完全に使いこなせていないんですけど、使いこなすことができたら、もっとすごいことができるんだろうなあと感じているところなんです。今までの宅録では、“楽器の鳴り感や空間感を思ったように表現するのが難しい”という点がネックだったんですが、IR機能によって空間の奥行き感を表現しやすくなったと思います。


▲ZOOM G11

──レコーディング環境下にて、もうひとつ特徴的なものとして挙げられるのが、先ほどMEGURIさんも「使っている」とおっしゃったオーディオインターフェイスとしての機能です。これによって、USBオーディオで直接DAWに録音可能となったことをはじめ、ウェット音(歪みや空間系などエフェクトがかかった状態)と、ドライ音(完全なラインだけを通した音)を同時に別々のトラックで録音をすることもできる。つまり、ヴァーチャルプラグインのようにエフェクトをバイパスしたものをレコーディングできるわけですが、この機能はMEGURIさんの音楽制作に何か影響を与えましたか?

MEGURI:とても便利な機能ですね。私は複数の空間系エフェクトを混ぜて音色を作って、それからフレーズを決めることが多いんです。そうすると、レコーディングした音を後で聴き返したとき、「ここって、何を弾いてたんだっけ?」と、もはや原音のフレーズがわからなくなってることがよくありまして(笑)。でも、この機能を使うとそれを回避できますよね。直感的で瞬間的に思いついたフレーズを弾いても、後から原音をプレイバックして確認できるのでフレーズを再現しやすいという利点もあるんです。

──PCの負荷もほとんどないですし、演奏に集中することができるというプレイヤーにとって必要な機能ですね。G11はサウンドの組み合わせも自由自在です。MEGURIさんお気に入りのプリセットや、ご自身の組み合わせを教えてください。

MEGURI:アンプはUK30Aでゲインを最小限に抑えて、空間系のエフェクトとしてparticleR、slow attack delay、corona tri、hot spice、これに加えてIR機能のMS_12inあたりをかける。そうすると、幻想的で温度感のないオーロラっぽい音になります(笑)。

■イメージを音楽として表現し切れる
■技術と知識を常に身につけていきたい

──想像するだけでparanoid voidの音が聞こえてきそうです(笑)。ところで、MEGURIさんはライブで、コンパクトエフェクターを多用していますよね。Gシリーズもツマミ操作を基本としていますが、その使い勝手はいかがでしょうか?

MEGURI:ライブではコンパクトエフェクターやマルチエフェクターをループスイッチャーに割り当てて、音色を作ったり制御しているんですね。ループスイッチャーにMIDI送信ができない普通のコンパクトエフェクターは、各バンクでツマミを手動で調整する必要が出てきます。その点、G11はバンクごとに好きなコンパクトエフェクターを並べて、それぞれツマミで設定/保存しておけば、いつでも同じ設定を呼び出せるので、本当に便利だと思います。


▲ZOOM G11

──今回新開発されたアンプサウンドにKrampusやRedloomなどがありますが、お気に入りは?

MEGURI:バンドサウンドの傾向と自分の気分的に、透明感のあるサウンドを出したい場面が多いので、FD系のアンプを使うことが多いですね。あとRedloomもチューブアンプっぽい豊かさがあって気に入ってます。

──paranoid voidでは、ディレイ/モジュレーションを使用したギタープレイが真骨頂と言えると思いますが、G11に搭載されたモジュレーションエフェクトの印象や優れているポイントはありますか?

MEGURI:まず、ディレイやモジュレーションの種類が多いので、いろいろ試せて楽しいです。自分のボードにある既存のエフェクターだけの組み合わせて音色を作るとなると、どうしてもマンネリ化しがちですが、G11のようにいろいろ入ってると音色の幅がぐっと広がると思います。

──では、アーティストとしてご自身の今後の展望と、ZOOM製品に期待することをお聞かせください。

MEGURI:G11のような便利な機材が登場したり、DTM機材が発達したこともあって、誰でもある程度の技術と知識を持っていれば音楽を作れる時代になったと思います。そんな中で、私たちでなければならない、必然性のある作品を作るためには、今まで以上に真摯に音楽と向き合っていく必要があると感じます。なので、いつでも感性を濁らせないようにしたいですし、イメージを音楽としてきちんと表現し切れる技術と知識を常に身につけていきたいです。

──最後に、G11に興味を持っていたり、実際に使っているギタリストへメッセージをお願いします。

MEGURI:G11は宅録ギターサウンドのクオリティを上げたいという人や、プレイの幅、音色の幅を広げたいという人にぴったりだと思います。



■ZOOM G11 ギター用マルチエフェクター/プロセッサー

G11は、従来比(ZOOM G5n)3倍以上の圧倒的なプロセッシングパワーを誇るDSPを搭載した、ギター用マルチエフェクツ・プロセッサです。22アンプモデル、22キャビネットモデル、135エフェクトを内蔵し、最大9エフェクト+1アンプモデルを同時使用できます。16種類の定番アンプモデルに加え、ZOOMオリジナルの新開発のアンプモデル6種類を搭載。実在する名機のサウンドを丹念に解析しそれらを組み合わせた、実用性の高い理想的なアンプサウンドを提供します。

さらに、スピーカーキャビネットの鳴り(音響特性)をキャプチャしたインパルス・レスポンスを取り込めるIRローダー機能\を搭載し、即戦力の70個のIRデータをプリセットするほか、サードパーティー製のIRデータも最大130個まで本体にロードすることが可能\。新開発のアルゴリズムによる、2種類のディストーション、3種類のモジュレーションも内蔵し、新次元のクリエイティブなギターサウンドを創り出します。

スマートフォン感覚で操作できる5インチのタッチスクリーン、いつでも即座に調整できる独立したアンプセクション、専用LCDとノブを備えた5つのストンプパネルを装備し、音作りや各種設定をより直感的かつスピーディーに行うことができます。

すべてを新しくする、圧倒的なプロセッシングパワー、5インチ・タッチスクリーンと独立したアンプセクションによる抜群の操作性。桁違いのリアリティをもたらすIRローダーには、70種のIRデータをプリインストール。究極のサウンドを追い求める、すべてのギタリストへ。


▼ 主な特長
・16種類の定番アンプモデル+6種類の新開発ZOOMオリジナルアンプモデル
・22種類のキャビネットモデルに加え、70個のIRデータをプリインストール
・新開発のオリジナルエフェクト:ディストーション2種+モジュレーション3種
・最大2048サンプル、合計200個(70プリセット+130ユーザー)を読み込めるIRローダー機能
・最大9エフェクト+1アンプモデルの同時使用が可能
・240種類のエフェクトパッチをメモリー可能(ファクトリー/ユーザー兼用)
・5インチ・タッチスクリーンと独立アンプセクションによる、直感的なユーザーインターフェース
・最長ステレオ5分のフレーズを録音できるルーパー機能と68種類のリズムパターン機能
・4イン/4アウトのUSBオーディオ・インターフェース機能
・外部エフェクトを接続できる2系統のセンド/リターン端子、外部機器と連携できるMIDI IN/OUT端子
・音楽プレイヤーなどの接続に便利なステレオAUXインプット端子
・ボリューム/ピッチ/ワウ等をフットコントロールするエクスプレッションペダル
・外部IRデータの読み込みやファームウェア・アップデートが行えるUSBメモリ接続端子
・追加エフェクト/パッチを入手できる、Mac/Windows用ソフトウェア『Guitar Lab』対応
・別売Bluetoothアダプタ(BTA-1)で、iPhone/iPad用アプリ『Guitar Lab』を利用可能
・外形寸法/重量:253 mm (D) × 495 mm (W) × 64 mm (H) / 2.8 kg

保証:1年/但し無償のオンラインユーザー登録で保証期間をさらに2年間延長し、合計で3年間の製品保証が可能(2020年4月より)
メーカー希望小売価格:¥90,000(税抜)




■paranoid void プロフィール

メンバーは、MEGURI (guitar)、YU-KI (bass)、MIPOW (drums)。浮遊感のあるギターサウンドと絶え間なく表情を変えるリズムフレーズが特徴。変拍リズムを織り交ぜたインストゥルメンタルを展開する。

2019年07月、<FUJI ROCK FESTIVAL'19>ROOKIE A GO-GOに出演
2019年12月、2曲入りシングル「02」をデジタルリリース
2020年01月〜02月、全21公演のアメリカツアーを実施
2020年08月、大阪ワンマンライブSOLDOUT
2021年、イギリスで開催の<ARCTANGENT FESTIVAL 2021>に出演決定

この記事をポスト

この記事の関連情報