【メールインタビュー】超能力戦士ドリアン、キラーチューン揃いの新作『ハンパねぇ名盤』
3ピースロックバンド・超能力戦士ドリアンが4月22日、ミニアルバム『ハンパねぇ名盤』をリリースした。“キラーチューンを揃える”というコンセプトのもと制作された本作には、シークレットトラックも含めて全9曲が収録されている。
新たな技を習得したことにより作詞家としてのステップアップを実感しているというやっさん(G&Vo)に対し、歌っている最中に“自分は何を言ってるんだろうか”と思う瞬間が増えたというおーちくん(Vo)。歌詞を存分に活かせるアレンジを心がけたというけつぷり(G&Cho)による音作りにも注目の『ハンパねぇ名盤』について、本来であれば対面でのインタビューでじっくりと話を聞きたかったところだが、今回はメールインタビューで紹介してもらうことにした。
◆ ◆ ◆
■これは良い作品になるでぇ
──『ハンパねぇ名盤』は、どんなテーマのもとに作られたアルバムでしょう?
やっさん(G&Vo):アルバムというのは、いわゆる“アルバム曲”があったりするじゃないですか。アルバムの流れを良くするために作った曲だったり、他の曲をより際立たせるためにあえて入れる曲だったり。そういう曲は無く、全曲リードを任せられるようなキラーチューンを収録した作品を作ることをコンセプトにしました。
──“濃い曲”が揃った、狙いどおりのアルバムになっていますね。曲を揃えていく中で、アルバムの指針になった曲などはありましたか?
やっさん:“キラーチューンを揃える”というコンセプトだったので、特に無かったです。ただ、「ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい」を一曲目に決定した時に、ハッピーな幕開け! という感じがして、“これは良い作品になるでぇ”と思いました。
けつぷり(G&Cho):作曲という面では、「人見知RIVER」が強く印象に残っています。今回のアルバムでは最後に制作した曲で、どんな曲調にするかというところで、ギリギリまで悩みました。その他の各曲に幅広いバリエーションを持たせることができただけに、だんだんハードルが上がって、プレッシャーが増していたんですよ。そういう中で、より一層の差別化を図るためにはどうすればいいだろうか……と脳内の引き出しを開けまくっていたら飛び出してきたのが、メタルというアイデアでした(笑)。メタルでも、あくまでもキャッチーに落とし込むために、サビは明るめに整備したり、ギターはレギュラーチューニングを貫いたりと、重くなりすぎないように細心の注意を払ってバランスを取りました。結果的に、普段は激しい音楽を聴かないというような方にも、わりと受け入れてもらいやすい1曲にできたと思います。
やっさん:僕の中で特に印象が強いのは、「ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい」ですかね。元々はラグビーW杯を見ている時に“こんなに激しくボールを欲しがっているなら、全員にあげたいなぁ”と思ったのがキッカケで思いついた曲で、オリンピックもあるし、テーマとしても最高やん! となったんですよ。それで、MVも撮りましたが、ご存知の通りオリンピックは延期になりまして(笑)。ある意味、持ってる曲やなと思っています。ただ、この曲はスポーツをしている人だけに向けた曲ではなくて。人には奪い合うほど欲しい“ボール”に代わるものが、それぞれあると思うんですよ。僕らはそれを全員に与えられるようなバンドに成長して、2021年のオリンピックでは国立競技場で、この曲を歌えるように頑張ります! 自分で何言うてるか、途中からわからなくなってきました!
──意気込みは伝わりましたよ(笑)。今作はより楽曲の幅が広がっていることもポイントで、ファンキーなオケとキャッチーなメロディのマッチングを活かして、さらに中間で和風になる「ファミリーコンサート」や、ライブを思わせる熱い盛りあがりをパッケージした「魚じゃないのよイルカは」なども注目です。それに、超能力戦士ドリアンにふさわしく、今作も必見といえる歌詞が揃っていますね。
やっさん:「ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい」はトータルとしてはバカみたいなことを言っているのに、“Cメロで突然良いことを言う”という“ギャップ”(やっさん命名)という技を覚えたり、「人見知RIVER」で突然関係のない話になる“外し”(やっさん命名)を発明したり、作詞家として1つ上のステップにいけたなと思います。
けつぷり:歌詞に関しては、今回は全体を通して強いメッセージ性や、隠された意味のようなものは少ないと思います。その分、わかりやすさや語感が洗練されて、スッと入ってくる歌詞に仕上がった印象です。それを、より活かすために、歌詞の中に散りばめられたパワーワードや語呂の良さを存分に活かせるアレンジを心がけました。
おーちくん(Vo):歌っていて、“自分は何を言ってるんだろうか”と思う瞬間が以前にも増して多くなった気がします。聴いているお客さんも僕と同じところで心が引っかかって、気づいたらズブズブとドリアンワールドにハマってくれていると嬉しいですね。
──超能力戦士ドリアンの歌詞はいわゆる“あるある”ではなくて、独自の視線や感性を活かしていますよね。“こういうことって、あるよね?”ではなくて“僕はこう思います”という姿勢でいながら“そうそう!”と思わせるところが秀逸です。日々生きている中で気になることがあると、メモっておいたりされるのでしょうか?
やっさん:生活の中で気になることがあった時は、“曲名にできる語呂”にしてメモするように意識しています! そのパターンで思いついた曲は、わりとすぐに完成することが多いですね! 今作では、「ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい」「口から炎を吐けたら強い」「パンケーキ量多い」などがそうでした。
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