【速レポ】<中津川ソーラー>GRAPEVINEが真摯に紡ぎあげた、心が洗われる音世界
いよいよ<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>も終幕が近づいてきた。REDEMPTION STAGEの大トリを飾るのはGRAPEVINE。2日目を締めくくる大役。何かしらの試みがあってもおかしくない場面。だが、どこまでも真摯にただただ音を奏で、言葉を大切に紡いでいったのだ。
◆GRAPEVINE 画像
定刻になり、SEも鳴らさずに登場した田中和将(Vo、G)、西川弘剛(G)、亀井亨(Dr)、高野勲(Key)、金戸覚(B)。それをじっと見つめるオーディエンス。何も語らずとも、信頼関係ができあがってるのだろう。
メンバーが定位置につき、「Ama」が鳴った瞬間、優しいだけじゃない、効かせるところはしっかり効かせたロックサウンドでありながら、いきなりフワッと身体が軽くなる感覚になる。田中のヴォーカルに高野のコーラスが加わると、よりふくよかになるメロディー。オーディエンスも気持ちよく身体を揺らし、自由に音を浴びていく。
幻想的なライティングに照らされた「スロウ」は、2018年のレポートでも記したが、やはり西川のコーラスが抜群にいい。田中の歌声を支えながら、新しい色が足され、心にスッと飛び込んでくるメロディーを抱きしめたくなってしまう。
必要な音だけで構築された空間的なアレンジ、田中の魂むき出しな歌声にシビレた「COME ON」、高野が奏でるイントロから胸を鷲掴みにされ、物語が自然と頭をよぎり、泣き出しそうになってしまうぐらいドラマティックな「風待ち」も素晴らしかった。
そして、そこから強靭なロックナンバーである「God only knows」を放つ。派手な動きもないが、そのグルーヴに身を委ねると興奮が加速し、鼓動が速くなっていく。
呼吸するのを忘れてしまいそうになるぐらい緊張感のあるイントロから、伸びやかな歌声を田中が響かせ、バシッと場面が切り替わる様も秀逸だった「豚の皿」、待ち望んでいた人も多かったに違いない「光について」の求心力も見事。心が洗われる音世界。オーディエンスは思い思いに手を挙げ、言葉とメロディーを噛みしめる。互いに忖度しない、理想的なライヴの成り立ち方のように見せた。
そして、2019年の<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>のREDEMPTION STAGEで最後に演奏されたのは「Alright」。軽妙ながら味わい深いニュアンスがクライマックスにふさわしかった。これまで特段オーディエンスを呼び込むような動きがなかった田中がハンドクラップを誘ったが、名残惜しいをかき消す為に必要な音だったんじゃないかと思うほど、多幸感にあふれた光景となっていた。
誇らしげに強く突きつけることはしない。虚勢を張るようなこともない。だがしかし、それは確実に音楽と向き合い続け、大切にライヴを積み重ねてきたからこそなし得る強者のパフォーマンス。いいものを観た。そう、誰しもが語りたくなったはずだ。
取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎柴田恵理
【GRAPEVINE セットリスト】
02. スロウ
03. COME ON
04. 風待ち
05. God only knows
06. 豚の皿
07. 光について
08. Alright
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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