【インタビュー】riyo(Koochewsen)、初ソロアルバム『dreamy dream』を引っさげヨーロッパツアーを開催!
Koochewsenのriyo(vo/g)が、初のソロアルバム『dreamy dream』を完成させた。ループ感を活かした楽曲や哲学的な歌詞、エモーショナルなボーカルなどが一体になって生まれるドリーミー&アーティステックな世界は、プログレッシブ・ロックに通じる多面的な音楽性を核にしたKoochewsenとは異なる魅力に満ちている。作詞/作曲、演奏はもちろんミックスダウンなども自ら手がけることで、riyoの人物像がダイレクトに伝わってくる作品になっていることにも注目。新たな領域に歩を進め始めたことを感じさせるriyoに、『dreamy dream』とヨーロッパツアーについて大いに語ってもらった。
■“センチメンタル”という言葉が自分の中にありました
■翳りを帯びていて夜中に似合う音楽というか
――riyoさん初のソロアルバム『dreamy dream』が、7月24日から配信リリースされますね。
riyo:僕は以前からソロをイメージした曲を作っていて、ソロライブもやっているんです。だから曲は溜まっていて、今回のアルバムに入れた曲のほとんどは、結構前にできあがっていたんです。ただ、ソロライブをした時に会場で売るくらいのことしかしていなかった。それで、そろそろちゃんとした形にしようかなと思って、このタイミングでアルバムを作ることにしました。
――満を持した一作といえますね。アルバムを作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
riyo:そういうものは特になかったけど、“センチメンタル”という言葉が、なんとなく自分の中にありました。翳りを帯びていて、夜中に似合う音楽というか。僕が自然体で曲を作ると、そういうものになることが多いんですよ。なので、今回はそれをそのまま出すことにしました。
――曲はすでにあったとのことですが、その中でアルバムの指針になった曲などはありましたか?
riyo:1曲目に入っている「惑星はひとり」と、表題曲の「dreamy dream」です。「惑星はひとり」は1人であれこれパソコンをいじって曲を作ったりしていたら、なんかうまくいったんですよね。そういう曲です(笑)。
――「惑星はひとり」はモチーフになっているキーボード・リフがループしているオケに対して、歌が展開していくという成り立ちが印象的です。ある意味、ニューウェイブやテクノに通じる手法ですよね。
riyo:たしかに「惑星はひとり」は、テクノっぽさがありますね。「惑星はひとり」の入り口になったのは、ループ感だったんですよ。ずっと同じことが繰り返される気持ちよさというのがあって。僕はミニマル・ミュージック的なアーティスト……アシュ・ラ・テンペルとかが好きでよく聴くんです。ただ、彼らは基本的にインストじゃないですか。ああいう音楽をもう少し聴きやすくして、そこに歌を乗せてみたいなと思ったんです。
――意表を突く場面転換や凝った構成などを活かした楽曲が多いKoochewsenで活動されていながら、こういう淡々とした音楽も好きだというのは面白いです。「惑星はひとり」の歌詞についても話していただけますか。
riyo:曲、歌詞ともに書いたのが結構前なんですよ。2~3年前で、たぶんその頃は淋しかったんだと思います。あとは、僕の中では“人=宇宙”みたいな感覚があって。人というのは、誰しもが内側に宇宙みたいなものを持っていると思うんですよ。で、僕は目に見える外側の宇宙よりも内側の宇宙に興味がある。どちらも同じくらい謎で同じくらい大きいものですよね。外側の宇宙は無限に広がり続けていると言われているけど、内側でも同じことが起きていて、人間の意識の広がりも果てがない。宇宙にしても、人の意識にしても科学のメスが入り切らない領域で謎に満ちている。そういうところで、人と宇宙は似ているなと思っているんです。「惑星はひとり」は外側の宇宙を歌っているけど、そういうところが滲み出ている気はしますね。
――「惑星はひとり」は、少ない音数で広大な宇宙を表現していますね。もう1曲の「dreamy dream」は、タイトルどおりドリーミーな世界観を具現化したナンバー。
riyo:これはできた時に、めちゃめちゃ手応えを感じました。この曲を作った時は……人は、夢を見ますよね。それも、すごく不思議だなと思うんですよ。夢を見る理由やメカニズムも、よくわかっていないんですよね。夢は完全に頭の中の世界なのに、現実とつながっていたりするし。たとえば、僕は死刑になる夢を見たことがあるんですけど、ギロチンが落ちてきて“バッ”と切られる瞬間に目が覚めたんですよ。そうしたら、ベッドの脇にあったホウキが倒れてきて当たるところだった。つまり眠っていて視覚はないのに、周りのことを感知しているし、ホウキが倒れることを予知したともいえる。不思議ですよね。
――崖から落ちる夢を見て、ハッと目覚めたらベッドから落ちたというような経験がある人は多いですね。
riyo:そう。夢は不思議だなというところから始まって、実はとんでもないことが起きているんじゃないかなと思ったりするんですよ。たとえば、僕らが現実だと思っている世界が実は夢で、夢の世界が現実なのかもしれないとか。オカルト的なことではなくて、今ここにある自分がいろいろなことを知覚していること自体が、すごいことだなと思うし。それに意識のチューニング……周波数みたいなものが、この現実世界にいる人は全員合っている。だから、いろんな事象や物事を同じように知覚できて整合性が取れている。でも、夢の中ではそれが人それぞれでバラバラになって、物理法則に反したこととかが普通に起きて、それを不思議なことだとは感じずに受け止めていますよね。そういう中で、たまたま同じ意識の次元にいるのが僕らが現実と呼んでいる世界だと思う。本当は意識というのはメチャクチャ広くて、パラレルワールドに近い話になるのかもしれないけど、無限に意識の周波数みたいなものがあって、その中でたまたま同じ周波数の世界を見ているんだろうなと。本当はもっといろんな現実世界があるはずだと思うんですよ、絶対に。
――幽霊も実際に存在していて、幽霊の意識と自分の意識の波長が重なると見えると言いますし。
riyo:そういうことだと思いますね。ちょっとした弾みに意識のチューニングがズレて、別の世界の人達とチューニングが合って……という現象ですよね。天の声が聞こえたというのも、そういうことかもしれないし。
――「dreamy dream」は、そういう不思議な感じを音楽で表現したいと思われたんですね?
riyo:最終的にそうなったという感じです。最初は、夢を題材にした歌を作ろうという感じではなかった気がするんですよ。行ったり来たりしながら、ちょっとギターを弾いて、これは夢の感じがするなと思って、そこから歌詞を考えて、さっき話したようなことも考えたりしながら形にしていった。この曲自体には言いたいことがないというかメッセージ性はないんですよ。“夢だ!”ということだけな気がする。現実よりは夢の世界の中にシフトしていきたい……みたいな。もうちょっと言えば、逃げたいという思いですよね。そういったいろんなことが積み重なって、こういう曲になりました。
――「dreamy dream」はポストロックに通じる雰囲気もありますが、それも意識したわけではない?
riyo:していないですね。なにかっぽくしようみたいなことは、全く考えていなかったです。
――「惑星はひとり」のテクノ/ニューウェイブ感と同じく、自身の感性に沿って曲を作ったら、結果的にそういう匂いがあるものになったということですね。
riyo:そう。“ポストロックありき”みたいな作り方ではなかった。“夢”ということをイメージしながら曲を作っていって、世界観を深くする音色を入れたりSEを足したりという感じでした。
――今作は注目したい曲が並んでいて、たとえば「tobitate」は、アコースティック・ギター1本だけのオケと緻密なボーカリゼーションで、深みのある世界を構築しています。
riyo:「tobitate」は、今回の制作で最後に作った曲です。6曲だけだと物足りない感じがして、もう1曲ほしいなと思って。他の曲はソロ・プロジェクトという感じで、結構オケが凝っているんです。だから、シンプルに歌とギターだけの曲を作りたかったような気がする。最初は歌とギターでやってみたんですけど、さすがにちょっと物足りなくて。それで、冒頭のインスト・パートをつけたり、ちょっとコーラスで遊んでみたりして、今の形に落とし込みました。「tobitate」の歌詞は、なんていうんだろう……適当といえば、適当なんですよ(笑)。この曲を作ったのは、たしか春か初夏だったと思うけど、風が気持ちいい日だったんですよね。その日は美術館に行って気持ちいい風が吹いていて、そうしたら曲が思い浮かんで、家に帰ってすぐに作った。歌詞も、メロディーも同時に浮かんだんです。
――ということは、“芸術や自然に触れたりして気持ちがあがることで、魂は開放される”ということを歌っているともいえますね。
riyo:そうかもしれない。この曲は1番はセミのことを歌っていて、2番は人のことを歌っていて、“地上で暮らす人よ 重力に逆らって無限を目指せ”というような歌詞になっている。この“重力”というのは重力そのものだけではなくて、“秩序”とか“ルール”といったものも表しているんだと思う。僕らが生きているのはすごく小さな世界。社会があってルールがあって資本主義で動いていて……という。全世界が資本主義というわけじゃなくて、国や地域によって違っていて、いろんなルールがある。それに、現代のそういう社会の成り立ちというのは、宇宙の流れから見たらメチャクチャ歴史が浅いんですよね。みんなそれがわかっていても、時代に埋もれていってしまう。だから、いろんな重力に縛られているのは無意味なことで、自分の心を揺らすものに触れて魂を浄化させたほうがいい。僕はそんなふうに思っています。
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