【詳細レポ】佐藤流司率いるThe Brow Beat、さらなる高みへ
2月7日木曜日、東京・豊洲PIT、The Brow Beat参上。The Brow Beatとは、Ryujiこと俳優・佐藤流司をボーカルに、PENICILLIN・HAKUEIのトータル・プロデュースのもと、ハード・ロックやミクスチャーなど歴戦の強者をメンバーに揃えたバンド・プロジェクト。すでにアルバムは2枚リリース、今日はセカンド・アルバム『Hameln』を引っ提げた全国ツアー、そのファイナルだ。広いフロアいっぱいに並べた椅子には一つの空きもなく、1500人の熱が会場を温める。『刀剣乱舞』に出ているあの人? 俳優のバンド? 一体何をやる? 知っている人も初めての人も、百聞は一見に如かず。午後7時、期待に満ちた幕が開く。
◆ライブ画像(全7枚)
いや、正確には幕が切って落とされる。「ハーメルンの笛吹き男」を思わせる、ドラマチックなオープニング映像に続く爆音&閃光、はらりと落とされた幕の向こうに豪華な宮殿を思わせるステージ・セット。Ryujiはさながら貴族か王子か、中世の騎士を思わせる出で立ちに満場の女性ファンから凄まじい歓声が飛び交う。1曲目「光のアルペジオ」から「日本」へ、曲は高速で驀進するメタリックかつメロディアスなハード・ロック。さらにエレクトロ・ダンス・ロック調の「Hide and Seek」へと、ド迫力のバンド・サウンドに乗せ野太く歌い、強烈なデス・ボイスも決めるRyuji。さすが俳優、声量と言葉の切れ味がハンパない。耳をつんざく轟音の中、歌詞がすべて聴こえてくる。ベース・CHIROLYN、ドラムス・かど しゅんたろう、ギター・鳴風、超個性派たちのバックアップは完璧だ。
「今日がツアー・ファイナル。悔いを残さないように、最後までガンガン盛り上がっていきますか!」
重厚なミドル・テンポのメタリック・ダンス・ロック「Brilliant Transparency」から、ピアノのメロディを加えた激しいミドル・ロック・バラード「unlost」へ。手を振り上げ、宙をつかみ、客席を見据える、その一挙手一投足にドラマを感じる、他のロック・ボーカリストとは一線を画す演劇的な個性。「自分が大切にしているものを思い出して聴いてください」と前置きして歌った「ドミノ」の、立ち尽くしひたすら歌うだけのストイックなパフォーマンスが、真っ直ぐに胸を打つ。この表現力、只者じゃない。
と、めいっぱいかっこよく盛り上げたセクションが終わるやいなや、突然「爆笑トーク、用意してますよ!」と、ガラリとムードを一変させるのがThe Brow Beatのライブ流儀。Ryuji退場→メンバー3人のほのぼのトーク→ゴシック調にキメたRyuji再登場→「しりとり合戦」に突入という謎展開に場内は大爆笑。かっこよくて面白い、優しくして突如突き放す、The Brow Beatのツンデレ・ロック美学ここにあり。
「CLOWN」からはド派手な赤コート&黒ガーターベルト+眼帯でキメたHAKUEIが参加し、ステージ最前線が一気に活性化。Ryuji&HAKUEIのアクティブな絡みでぐいぐい盛り上げ、メンバー紹介のコール&レスポンスでさらにヒート・アップし、畳みかけるように「OVER」から「Snow White」へ。強力なファンク・ミクスチャーとヘヴィなダンス・ロックが入り乱れ、スモークが発射され、もはや観客は狂喜乱舞。HAKUEIを送り出したあともスピードを緩めず、ドラム・ソロに続きシンプルなエイト・ビートのハード・ロック「Scarlet Syndrome」で突っ走る、サディスティックなまでの攻撃的パフォーマンスは天晴のひとこと。手抜きなし、忖度なし、常に喉を全開に歌い叫ぶ、Ryujiのあの体のどこにそんなパワーが埋蔵されているのか。
「ここからまだまだアツくなっていきます。倒れない程度に自由に楽しんでください。まだまだ行けるか!」
これでも喰らえ!とばかりに繰り出す超速スラッシュ・メタル「ジセイノク」、そしてRyujiの拡声器を使った歪みボーカルがばっちりハマった「パラノイド・スター」。フロント3人が固まり、広がり、フォーメーションを変えながら熱い音を叩きつける、The Brow Beatが4人組のバンドであることを強烈にアピールするパフォーマンス。本編ラスト、明るい希望に満ちたロック・チューン「メビウス」の、Ryuji自ら作詞した力強い言葉が真っ直ぐ耳に飛び込んでくる。オレは君だけ包める空になろう──。「Browbeat=威嚇する」というバンド名のもと、笑いもかっこよさも感動も、いくつもの感情を揺さぶるパフォーマンスを繰り出す多面体、それがThe Brow Beat。
アンコール。黒づくめのラフなスタイルで登場するやいなや、「好きなお肉は?」というテーマで話題沸騰、場内はまたも爆笑の渦。意味不明だがめったやたらに面白い。続けてシリアスな命の賛歌「睡蓮」をしっとり歌い上げ、サビでは観客全員の美しいアカペラ・コーラスが荘厳に響き渡る、喜怒哀楽のジェットコースターのような急展開にも慣れてきた。「ふざけたことばかりしてますけど、本当に感謝してます」──ぽつんとつぶやく本音が、だからこそリアルに響く。
アンコールの白眉は、何と言ってもhide with Spread Beaverのカバー「ever free」。三部作と呼ばれたhideの代表曲を、このツアーでは日替わりで演奏しているが、古き良きJ-ROCKの魂を受け継ぐRyujiの堂々たる歌声が頼もしい。しかも「昨日歌詞を飛ばしたから」という理由で「ROCKET DIVE」も披露する、メンバーも知らなかった嬉しいサプライズに場内大沸騰。歌い終えて「悔いなし!」」と言ったRyujiの男気に拍手を。そして、hide with Spread BeaverのメンバーだったCHIROLYNの、万感込めたパフォーマンスに喝采を。ラスト曲「Browbeat」を歌うRyujiの満面の笑み、そこにこの日のライブのすべての答えがあった。
おっと、まだまだライブは終わらない。ダブル・アンコールは、メンバーを交えたゆるゆるトーク→HAKUEIを呼び込み恒例の乾杯(本日のドリンクはペリエ)→Ryujiの無茶振りでHAKUEIが「一人しりとり」に挑戦→RyujiとHAKUEIのものまね合戦(ちなみに『ドラえもん』のジャイアン)と、お馴染み謎展開でとことん盛り上がった空気をピリッと引き締める、プロデューサー・HAKUEIによる「今後ともThe Brow Beatをよろしくお願いします」という大人の挨拶。まるで楽屋の公開打ち上げのような、こんなにナチュラルな姿をステージでさらけ出してくれるバンド、他にちょっと思い浮かばない。
最後の力を振り絞り叫び歌う「Black & Black」、そして明るいエイト・ビートの「アイリス」。RyujiとHAKUEIがバンド・ロゴを染め抜いたフラッグを高々と掲げる。バンドはまだ旗揚げしたばかり、本当の勝負はここからだ。「ありがとうございました。また会いましょう!」──笑顔で手を振るRyujiは、若く激しく野心に満ちた、限りない高みを目指すロック・ボーカリストの顔だった。終演後には、来る6月8日、二度目の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも発表された。The Brow Beatが、ジャンルや先入観の壁をぶち破ってどこまで大きくなるのか、壮大なドラマは猛スピードで新章へと突入してゆく。
取材・文◎宮本英夫
セットリスト
M2 日本
M3 Hide and Seek
M4 Brilliant Transparency
M5 unlost
M6 ドミノ
M7 CLOWN
M8 -Member Call-
M9 OVER
M10 Snow White
M11 Scarlet Syndrome
M12 ジセイノク
M13 パラノイド・スター
M14 メビウス
ENCORE 1
M15 睡蓮
M16 ever free(hide with Spread Beaver cover)
M17 ROCKET DIVE(hide with Spread Beaver cover)
M18 Browbeat
ENCORE 2
M19 Black&Black
M20アイリス
ライブ情報
Produce & Guest Vocal:HAKUEI
Support Members
Guitar:鳴風
Bass:CHIROLYN
Drums:O-JIRO(PENICILLIN)
※チケット詳細は後日発表。会場へのお問い合わせはご遠慮ください
リリース情報
2019年6月5日(水)発売
5,000円+税
本編+特典映像
※詳細は後日発表
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