【ライブレポート】The Brow Beat、多様な音楽性で描いた未来
アニメ『遊☆戯☆王SEVENS』の主題歌にも起用されたシングル「ハレヴタイ」を7月に発売し、メジャーへ進出したThe Brow Beat。メンバーは、俳優としても活躍するRyujiこと佐藤流司とPENICILLINのHAKUEI。
異色で異彩を放つ2人が生み出す音楽性は振り幅が広く、ヴィジアル/サウンドメイキングも含め、多くの支持を集めている。そんなThe Brow Beatは、メジャー進出後最初のアクションとして、東京建物 Brillia HALLを舞台に9月30日と10月1日の2日間にわたり<The Brow Beat LIVE 2021「Let's play harevutai, shall we!?」>を行った。
◆ライブ画像(8枚)
The Brow Beatにとっては、2020年2月以来の有観客ライブ。久し振りにファンを前にして、客席中から見えるマスク越しの笑顔に興奮を覚え、積極的に拍手のリアクションを求めれば、その喜びを何度も言葉にしていた姿も印象的だった。
2日間とも、最新シングル「ハレヴタイ」に収録した曲たちを軸に据え、インディーズ時代にリリースした『ラグナロク』『Hameln』『Adam』の3枚のアルバムの中から、ライブで人気の曲やRyujiとHAKUEIのツインヴォーカルを活かした曲たちを、2日間にわたり巧みに選出。
今回の公演は、「メジャー進出後初のライブ」「久し振りの有観客」という2つの大きな理由もあり、初日は新しい舞台へ飛び立つ意志を記した「ハレヴタイ」で幕を開け、今の自分たちの姿勢を示した。
その後、「Grind age」や「21グラム」など、激しさや感情の内側を刻んだダークな面を描きながら、終盤へ向けては「サザンクロス」「光のアルペジオ」で希望を提示。ライブで活きる激しめの楽曲を中心に据えながら、一人の主人公の揺れ動く心模様を巧みに表現した。アンコールで「アイリス Acoustic Ver.)」を披露していたように、初日は、The Brow Beatの持つ表現豊かさをドラマチックな一つの物語として描きだしていたと言える。
ラウド/ヘヴィな曲調で激しく攻める「シンデレラ」から幕を開けた2日目の公演は、「ハレヴタイ」のような希望に満ちた楽曲や「灯篭流し」のように胸に染みるバラードも加えながら、全体的に感情を剥き出しに荒々しく攻める楽曲を多く並べ、閉塞した今の時代だからこその「強く生きろ」という意志を荒ぶる気持ちを持って突きつけてきた。
2日間にわたる公演ともに細かい見どころが多くあった中、特筆したいのが「21グラム」のときの鬼気せまるRyujiの歌声と表情だ。和要素を活かしたこの曲は、気持ちの変化に合わせダーク/ラウドと楽曲の表情も次々変わってゆくオルタナティブでドラマチックなスタイル。
暗鬱な曲調に乗せ、人が抱え持つ愚かな感情を嘆く表情を示したかと思えば、激しく唸る音に気持ちを重ね合わせネガティブな要素を吐き散らし、光をつかもうと高らかに絶叫する姿を、Ryujiは1曲の中で何度も見せてきた。それは、役者だからこそ成りきれた姿。MC時の、強気なのに優しい兄貴的な姿とは異なる様は、音源はもちろん、ライブを通してぜひ見てもらいたい。
そして2日間ともに共通していたのが、中盤にRyujiのみが歌うブロックを設けていたこと。正しく伝えるなら、本来The Brow BeatはRyujiのための音楽プロジェクト。HAKUEIはThe Brow Beatのプロデューサーであり、メンバーも兼ねている立場だ。ツインヴォーカルは、あくまでも補佐的なもので、メインはRyujiの歌を伝えることにある。
ただ、最近はツインヴォーカルを活かした楽曲が増え、それらの曲の評価も高いことから、ライブでもツインヴォーカル曲が多くなっている。これは今のThe Brow Beatが2人で歌うスタイルを追求することへ楽しさを覚えているからだ。今後は、ふたたびRyujiを中心に、ときにHAKUEIが加わる形になる可能性も十分にある。そこは、今後のThe Brow Beatの展開を楽しみにしていたい。
もう一つ印象的な場面をあげるなら、いつもは会場中の人たちと一緒に“命は風に乗り旅をする 命は歌に乗り旅をする”と歌う「睡蓮」での合唱シーンだ。観客たちが歌えないぶん、ステージのメンバーたちみんなで合唱。大勢の観客たちが、大きな熱い手拍子と、声を出さずにマスク越しに歌う姿を見せていた。
その姿を見て、Ryujiを筆頭にメンバーたちがノンマイクでさらに大きく声を張り上げていく。たとえ声は出せなくとも、お互いに心が通じあえていることを感じれたとき、自然と心には込み上げる想いが。
2日目の公演で、Ryujiが「みずから行動を起こさない限り、何も現状は変わらない」と語っていた。行動を起こし続けることでここまで成長してきたThe Brow Beatのように、その言葉は、2人にとって当たり前のこと。その当たり前を今、この時期に、会場を埋めつくした満員の観客たちへ向けて語ったことに強く意味があったと感じている。
今回の2日間の公演を通し、ようやくThe Brow Beatのライブ面でも日常が戻り始めた。2日目のMCでは、HAKUEIが「今、新曲を次々と作っている」と述べていた。それが、未来でどんな形となって現れるのか。今は、それを楽しみにしていよう。
文◎長澤智典
写真◎菅沼剛弘
セットリスト
01.ハレヴタイ
02.日本
03.Grind age
04.Adam
05.21グラム
06.Oblivion
07.ヤタガラスの影踏み
08.ジセイノク
09.-Member Call-
10.沙羅羅羅
11.OVER
12.サザンクロス
13.光のアルペジオ
EN1.
14.アイリス Acoustic Ver.
15.睡蓮
EN2.
16.Snow White
17.シンデレラ
■10月1日公演
01.シンデレラ
02.Grind age
03.ハレヴタイ
04.Adam
05.21グラム
06.灯篭流し
07.BLACK SHEEP
08.パラノイド・スター
09.-Member Call-
10.沙羅羅羅
11.CLOWN
12.サザンクロス
13.光のアルペジオ
EN1.
14.アイリス
15.睡蓮
EN2.
16.Snow White
17.日本
18.L.R
アーカイブ配信情報
10月1日公演→10月7日23:59まで
詳細:https://eplus.jp/sf/detail/2399400002-P0030036P0030037?P6=001&P1=0402&P59=1&block=true
◆The Brow Beat オフィシャルサイト
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