【ライブレポート】Nozomu Wakai's DESTINIA、メタル・ファンの熱狂

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2019年1月21日という日付を、メタル・ファンは永く記憶することになるだろう。

新世代ギター・ヒーロー若井望の率いる新生DESTINIAによるワールド・プレミア・ライヴ<DESTINIA METAL SOULS Live in Japan>。アルバム『METAL SOULS』のレコーディング・メンバーであるトミー・アルドリッジ(ドラムス/ホワイトスネイク、オジー・オズボーン・バンド他)、マルコ・メンドーサ(ベース/ホワイトスネイク、ブルー・マーダー、ザ・デッド・デイジーズ他)、ロニー・ロメロ(ヴォーカル/リッチー・ブラックモアズ・レインボー、元ローズ・オブ・ブラック)とのステージ初合体に、開演前からフロアには熱気が立ちこめていた。





日本・アメリカ・メキシコ・チリと出身地こそ異なれど、ひとつの“メタル・ソウル”で繋がれた4人。国境を超えた新たなフロンティアから生み出されるライヴのプレリュード(序曲)として、彼らはドヴォルザークの『新世界より』のテープに乗ってステージに姿を現す。

ジャーン!と盛大なイントロから、いきなり必殺キラー・チューン「Metal Souls」に突入する。若井の鋭角的なギター・リフ、ロニーのシャウト、トミーとマルコの雷鳴のようなリズム・セクションがひとつの塊となって観衆を襲う。さらにテクニカルなフレージングと独自のメロディ・センスを兼ね備えたギター・ソロが場内の空気を引き裂き、1曲目にして早くもレッドゾーンに達した。


「Rain」「JUDGEMENT DAY」「Promised Land」と、『METAL SOULS』からの曲が続くが、メンバー4人がひとつのステージでプレイすることで、その個性のオーガニックな融合が実現している。4本の鉄線を編み込んだ鋼鉄のワイヤーのごとく、どの曲もスタジオ・ヴァージョンより強靱かつしなやかに変貌を遂げていた。


さらに大きな変化を見せていたのが、2014年のアルバム『Requiem for a Scream』からの「Still Burning」「Requiem for a Scream」だった。オリジナルでは森川之雄とロブ・ロックが熱唱を披露した曲だが、ロニーのヴォーカルを得て、新たなディメンションへといざなわれていく。

さらに過去曲の表情を一変させていたのがトミーの存在だった。ドラム・キットと同時に観衆のハートをブッ叩く彼のプレイは、驚くべきことに1980年代と同じパワーとエネルギーが漲っている。ライヴ前半で早くもドラム・ソロが飛び出し、オールド・ファンにはお馴染みの素手ドラミングも場内をヒートアップさせた。

そんな凄腕プレイヤー達を向こうに回して、若井のギターも冴え渡る。テクニカルなシュレッド速弾き、メロディアスなフレージングの妙味など、緩急をつけながら聴く者のハートのツボを突くプレイは、お互いに刺激を受け、与えながら、さらに熱気を帯びたものとなっていった。





巨大フェスティバルの野外ステージから薄暗いクラブまで、世界中のあらゆる規模の会場で演奏されているメタル・ミュージックだが、「Take Me Home」はビッグなアリーナ・メタル・ナンバーだ。クラブ規模の会場には収まりきらないスケール感は、天井を突き抜けんばかりだった。さらにロニーとのコール&レスポンスを経ての「Raise Your Fist」に、観衆はタイトル通り拳を突き上げて声援を送った。

「The End of Love」でいったんステージを下りた彼らだが、“愛の終わり”なんて寂しい曲でライヴを終えるわけにはいかない。戻ってきたロニーは観衆に「ロックの準備はできているか?」と尋ね、そのまま「Ready for Rock」へと雪崩れ込む。



そして豪華な布陣のライヴを締め括るのは、豪華すぎるカヴァー大会だ。シン・リジィの「ヤツらは町へ」、ジョン・サイクスの「プリーズ・ドント・リーヴ・ミー」、オジー・オズボーンの「オーヴァー・ザ・マウンテン」、そしてホワイトスネイクの「フール・フォー・ユア・ラヴィング」は、いずれもトミーあるいはマルコが過去のバンドでプレイしたことがある曲だ。それらは単にハード・ロック・クラシックスというだけではない。ジョン・サイクスやランディ・ローズなど、若井の原点となっているギター・ヒーローが弾いたことがある曲であり、先日ロニーが脱退を発表したローズ・オブ・ブラックも「クライ・ノー・モア」ビデオでシン・リジィ愛を大アピールするなど、いわば4人の“メタル・ソウルズ”を繋ぐ絆だった。


4人の想いが結実した『METAL SOULS』ライヴだが、彼らの旅路は始まったばかりだ。この夜、初めてお目見えしたステージ上のDESTINIAのバックドロップ(垂れ幕)は、これから世界のメタル・ファンの熱狂を見下ろすことになる。クラシック・ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを受け継ぎながら、新時代へと向かうメタル・ロード。それが彼らの“運命=DESTINIA”の道だ。


文:山崎智之
写真:Etsuo Kawamura

<DESTINIA METAL SOULS Live in Japan 2019年1月21日@渋谷TSUTAYA O-EAST>

1.Metal souls
2.Rain
3.JUDGEMENT DAY
4.Promised Land
5.Still Burning
6.Tommy's Drum solo
7.Requiem for a Scream
8.Take me home
9.Raise Your Fist
10.Metamorphosis
11.Be a Hero
12.Cross The Line
13.The End of Love
14.Ready for Rock
15.The Boys Are Back in Town / Thin Lizzy
16.Please Don't leave me / John Sykes
17.Over the Mountain / Ozzy Osbourne
18.Fool for your Loving / Whitesnake
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