【インタビュー】HYDE、<黑ミサ BIRTHDAY>は「音楽人生の集大成」
■<黑ミサ>は緊張感を保ちながらジワジワと
■展開をコントロールしていく加減が独特
──ちなみに、そもそもは富良野でのファンクラブイベントから始まったものでしたけど、このアコースティックスタイルのライヴを<黑ミサ>と名付けた理由は?
HYDE:最初は富良野の山奥でやるライヴだから、ひっそりと“これ、内緒ですよ?”みたいにしたほうが夢があるなと思って<黑ミサ>って付けたんですけどね。でも、今となってはあんまり秘密じゃなくなっちゃった(笑)。それこそ去年の幕張 (2017年12月23日および24日開催<HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO->)あたりからコンセプトがズレ始めたような……。
▲<HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO->12月23日+24日@幕張メッセ国際展示場4・5・6ホール |
HYDE:でも、僕の中にはやっぱりゴシックが根づいているから、自分のコンサートもそういうものでありたいっていう気持ちはありますね。だから去年の幕張のときもLEDのスクリーンをあえて縦に設置して、ちょっと宗教的な見せ方をしたり。そういう要素はしっかり残していきたいです。
──振り返って去年の幕張公演はいかがでしたか。
HYDE:普段の激しいライヴとは全然ベクトルの違う気持ちよさがありましたね。沁み渡るというか。あと、自分の意志でお客さんをコントロールするような独特な感覚もあって。なんだろう、ここにあるものすべてが活かすも殺すも自分次第、ここでガラッと雰囲気を変えるのも自分だし、まだもう少し張りつめたムードをひっぱるのも自分だし。普段の激しいライヴだと“早く場を温めよう”っていう気持ちがどこかにあったりするんだけど<黑ミサ>はもっとゆっくり、緊張感を保ちながらジワジワと展開をコントロールしていく加減が独特で、すごく面白かったです。
▲<ACOUSTIC CONCERT TOUR 2018 -黑ミサ ASIA->2018年5月2日@上海Luwan Gymnasium |
HYDE:アジアは逆にコントロールが難しかったですね。言葉が上手く通じないのでMCとか、どうしてもかわいくなっちゃうみたいで。ほら、外国人アーティストがカタコトの日本語でしゃべると、やっぱりちょっとかわいくなっちゃうじゃないですか。そういう意味では難しかったね、歌とMCのギャップが(笑)。むしろ日本でやるよりアットホームな感じ。でもみんな、すごく感動してくれてたみたいで、やり甲斐はありましたけどね。
──ところで去年の<-黑ミサ TOKYO->はHYDEさんの1stアルバム『ROENTGEN』の楽曲を披露するというのもコンセプトのひとつでしたよね。今回は何かそういったコンセプトやテーマを考えていらっしゃるのでしょうか。
HYDE:今回は節目でもあるので、自分の音楽人生の集大成、ハイライトっていうのかな。自分の気に入った作品を歌っていこうと思ってます。だから『ROENTGEN』には特にこだわらず、L'Arc-en-Cielからソロ全般を含めて、自分が気に入っている作品や評価された作品を中心にやっていこうかな、と。あと今回、幕張も和歌山もメニューは一緒にしようとも考えているんですよ。同じ人が何回も来てくれるようなライヴだったら日によって替えたほうがいいと思うんですけど、<黑ミサ>はそうではないし。完成されたひとつのメニューでじっくりと魅せたい。そのほうが喜ばれるんじゃないかなって。もちろん、もし2回観たとしても面白いものにしたいですけど。
──また、昨年はKenさん (L'Arc-en-Ciel)がゲストとして登場されましたが、今回は?
HYDE:予定はないですね。やりだすとクセになって、居ないと今後成立しなくなっちゃうので、HYDE一色でやらせてもらおうと思ってます。
──今回もドレスコードがあるんですよね。
HYDE:そうですね。“スマートカジュアル”ってなんやねん?ってよく言われますけど(笑)、男性ならTシャツにジャケットとか、女性はワンピースとか? なんとなくオシャレして来てくれたら客席の雰囲気もスペシャル感が出るので嬉しいです。座ってじっくりと僕が作ってきた曲を聴いてもらうスタイルなので。
▲<HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO->12月23日+24日@幕張メッセ国際展示場4・5・6ホール |
HYDE:特に和歌山でのライヴは僕の夢でもあったので、これでひとつ達成したって思うかもしれないですね。このライヴを両親や親戚にも観てもらったら、これでもう和歌山ではやらなくてもいいかなって思っちゃうかも(笑)。もちろん機会があればまたやりたいですけど、今回やっておけば、あとはいつ死んでもいいかな、みたいな(笑)。極端な話だけどね。そういう意味での達成感はあるんじゃないかな。
──それだけ地元でやりたかったんですね。
HYDE:というか、ビッグホエールがずっと気になってたんです。和歌山出身なのに、あそこでやってないっていうのが悔しくて。アーティストってそういうものなんですよ。例えばロンドンで誰かのライヴを観たとしても“僕はここにいるのに、なんでこのステージでやれないんだろうな”って思っちゃう。同じように“僕の地元なのに、なんでここでできないんだろう?”って気持ちがずっとあって。そういう意味でも達成ですよね。
──じゃあ満を持して地元のトップを取り、心置きなく次のステップに進む、と。
HYDE:ははは! そうだね。
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