【インタビュー】HYDE、<黑ミサ BIRTHDAY>は「音楽人生の集大成」

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HYDEが2019年1月、<HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黑ミサ BIRTHDAY>を開催する。当初、自身の誕生日である1月29日に地元・和歌山 ビッグホエールで行われることが発表された同公演だが、多くのファンの声に応える形で、1月23日および24日に幕張メッセイベントホール2DAYS、1月29日および30日に和歌山ビッグホエール2DAYSという巨大規模に拡大。結果、前夜祭として行われるHYDEIST会員限定公演を含め、<黑ミサ BIRTHDAY>という名目で全5公演が開催されることとなった。

◆HYDE 画像

もともと<黑ミサ>は、冬の富良野で行なっている恒例のファンクラブイベントだ。昨年12月23日および24日には幕張メッセ国際展示場4・5・6ホールにて<HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO->と題し、約20名のオーケストラとバンドを従えて一般開催、大反響を呼んだ。また、2018年5月には5ヵ所6公演の<HYDE ACOUSTIC CONCERT TOUR 2018 -黑ミサ ASIA>でアジア圏を感動の渦に巻き込んだことも記憶に新しい。そして開催される<黑ミサ BIRTHDAY>は昨年の< -黑ミサ TOKYO->同様、オーケストラを従えたアコースティックライヴとして届けられることが明らかとなっている。

“地元開催”や“誕生日ライブ”、“前回開催の成果”といった注目ポイントを含め、BARKSではHYDEに<黑ミサ BIRTHDAY>ついてじっくりと話を訊いた。さらには2018年の総括や2019年のオリジナルアルバムの予感など、HYDEの現在とこれからに迫るロングインタビューをお届けしたい。

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■育ててもらった恩返しじゃないけど
■和歌山の人たちにも観てもらいたい

──この冬もアコースティックスタイルで行なわれるライヴ<黑ミサ>が決定しました。HYDEさんのお誕生日である1月29日と翌日の30日には地元・和歌山県のビッグホエールで<HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黑ミサ BIRTHDAY -WAKAYAMA->、それに先駆けて1月23日、24日には幕張メッセイベントホールでは<HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黑ミサ BIRTHDAY -TOKYO->と、かなり大規模な開催となりますね。

HYDE:本当のことを言うと、大きな会場での<黑ミサ>はもう少し開催の間隔を空けたかったんです。僕の中ではあんまり恒例化させるつもりはないし、どこか貴重なライヴであってほしいなとも思ってて。だから当たり前に毎年やるものだと思われるのはちょっと違うんですよね。ただ今回、自分の誕生日っていうタイミングではやりたいなと思って。そうしたらどんどん膨らんでいったっていう(笑)。

▲<HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO->12月23日+24日@幕張メッセ国際展示場4・5・6ホール

──当初発表されたのは和歌山公演のみで、HYDEさんの誕生日と地元・和歌山というところに特別感がありました。

HYDE:そもそもはビッグホエールでライヴをやりたかったんです。けっこう大きい会場なんですよ、日本武道館と同じくらいのキャパかな(※キャパシティ8,500人)。関西で言えば、大阪城ホールとかもあるし、立地条件という意味でも和歌山でそのクラスの会場を埋めるのって難しくて、かなりビッグなアーティストでないとなかなかできないんです。だから僕がやるにしても、やり方やタイミングを考えないと難しいだろうなと思ってて。でも<黑ミサ>なら可能性があるだろうし、僕の誕生日と合わせたらきっと喜ばれるものになるんじゃないかなって、1年前ぐらいからなんとなく考え始めてたんです。

──蓋を開けてみたら、こんなに大きなものに。

HYDE:和歌山にそれだけ人が集まるのかな? 本当にやれるのかな?って半信半疑だったところもあったんですけど、1月29日公演があまりにも反響が大きかったので、速攻で“30日は空いているか?”って確認を取って会場を押さえたんです。僕の想いとしては、やっぱり和歌山の人たちにも観てもらいたいっていうのがあって。和歌山出身のアーティストとして、今、こうして活動していますけど、たぶん僕のコンサートなんて観たこともない和歌山県民はいっぱいいると思うんですよね(笑)。なので、29日はすぐ埋まってしまったけど、30日だったらせめてもう少し和歌山の人に観てもらえるかもしれないなって。

──故郷の人たちにアーティストとして成長した自分の姿を観てほしい、と?

HYDE:そうですね。育ててもらった恩返しじゃないですけど、最近は歌で人を感動させることが多少なりともできるんだなって思えるようになってきたこともあって、なおのことそういう気持ちは強いです。でもアコースティックライヴというものをやり始めていなかったら、このライヴ自体、実現してなかったかもしれないですね。歌を聴かせることの面白さに気がついたからこそのものなので。

▲<MTV Unplugged: VAMPS>2016年1月19日@品川ステラボール

──きっかけは2016年に行なわれた<MTV Unplugged: VAMPS>でしょうか。

HYDE:<黑ミサ>はもともと富良野でファンクラブイベントとしてやっていたので、そこで小さなアコースティックライヴはやってたんですけど、たしかに<MTV Unplugged>はデカかったかな。あそこまでしっかりとオーケストラを従えて、自分の楽曲を再構築するっていう作業がまず面白かったしね。あと、やっぱりそれまでの僕のコンサートはパフォーマンス重視だったところがあるんですよ。歌を聴かせるよりもまずは見せなきゃってどこかで思っていたので、歌は二の次だったんです。そうしないと盛り上がらないような、ヴァイブスが伝わらないような気がしてたんですよ。でも、そんなこともないな、と。動かなくていい、歌だけでも充分に、気持ちだったり、何かしら伝わるものがあるんだなって気づかされたのが、その頃でしたね。

──そのあたりから自分の歌に対して自信や手応えを感じられるように?

HYDE:自信っちゃ自信かな。とはいえ、普段から練習してるわけでもないし、そんなに“歌が大好き!”ってわけでもないんですけど(笑)。なんだかんだで音楽人生やってきて、やっぱり昔の歌を聴くと弱いなと思う部分はいっぱいあるんですよ。でも、そういうところも技術的にずいぶん克服してきたなって最近は思えるので、多少は自信に繋がってるんでしょうね。昔の映像とかを観て申し訳ないなって思うこともありますよ。こんな歌を聴かせてしまって、バンドメンバーにも申し訳ないなって。ファンのみんなも、僕のことを好きでいてくれてるのに、周りから“HYDE、下手だね”って言われてかわいそうだな、とか。そういう過去があるからこそ、今は、昔の悪いイメージを変えられるような、“HYDEのファンでよかったな”って思ってもらえるようなライヴを観せたいなと思うんです。

──ちょっと本題から逸れますが、当然、HYDEさんご自身も自分がヴォーカリストだという自覚は常に持っていらっしゃるわけですよね。

HYDE:まあ、そうね。仕事だから。

──仕事、ですか。

HYDE:うん。僕に与えられたというか、いちばん評価される仕事だなって。日本人って“仕事”っていう言葉をすごく悪いイメージで捉えがちだけど、僕は男にとっていちばん重要なことだと思ってるんですよ。仕事のできる男がいちばんカッコいい。もしかしたら他にやりたいことだってできたかもしれないけど、僕にとってはこれがいちばんいろんな人に評価されるものだったし、自分の運命も含めて、今、ここに立っているわけで。だから僕は天職だと思ってます。

──その天職を全うする意味でも<黑ミサ>は本領発揮の場となりますね。

HYDE:はい。

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