Hiroのもいもいフィンランドvol.53「期待の若手ハードロックバンドShiraz Laneインタビュー」
2015年に東京で開催されたフィンランドフェストLoud & Metal Attackで初来日をした若手ロックバンドShiraz Lane、覚えてる方もいるかと思いますが、先月セカンドアルバム『Carnival Days』が発売になりました。このアルバムから最初に先行シングルとして発売になった「Harder to Breathe」が最高にかっこいいではありませんか!発売前にプレリスニングパーティがヘルシンキの人気ロックバーThe Riffであり、その会場でヴォーカルのハンネス、ドラムのアナ、ベースのヨエルがインタビューに応えてくれました。
──まずあなた達のバンドShiraz Laneについて紹介してもらえますか?
アナ:俺たちはフィンランドのヴァンター出身5人組ロックバンドShiraz Laneだ。自分たち自身が好きで楽しめる音楽、こうやりたいっていうかっこいいロックをやっている。
ヨエル:ピース&ロッケンロール!
ハンネス:実際のところ5人のモンキーだよ(笑)。
──バンドは何年に結成されたんですか?
アナ:一番最初は2009年に俺とハンネスで結成した。2010年~2011年ぐらいに活動を始めて、バンド名もその頃につけたんだ。ライブ活動もそのころ始めた。
──今のメンバーが揃ったのはいつですか?
ハンネス:ヨエルが加入した2014年に現在のメンバーが揃った。
──2015年東京で開催されたフィンランドフェストLoud & Metal Attackで初来日しましたが、EP盤『Be The Slave Or Be The Change』が発売になった直後で、まだデビューアルバムが発売になってなかった時期にどうやって来日が決まったんですか?
ヨエル:俺たちのマネージャーがうまくやってくれたんだと思う。もちろんラッキーだったってのもあると思う。とっても素晴らしい体験ができた。あのショーはEPが発売になってからの2度目のショーだったんだ。その前の週にヘルシンキでEPリリースライブがあって、次の週日本にいって大勢の観客の前でプレイできた。素晴らしかったな。
──東京にはどのくらいの期間滞在したのですか?
ハンネス:4日間か5日間だったかな。東京を少し体験はできたけど、充分ではなかったな。
──その来日で思い出に残っていることは?
アナ:それまでにやったライブの中で最大のものだったし、今までに経験したことのないような観客の反応で、信じられなかったよ。東京の街といい、ヴァンター出身の若者にとって、素晴らしい体験になった。それまであんな世界は見たことなかったのですごいと思ったよ。
ヨエル:東京はこれまでに見たことないようなとってもマジカルな街だった。他では見たことない世界だった。
ハンネス:覚えてるのは花がいっぱい咲いてて、自然も素晴らしかったよ。それが一番頭に残ってて、また行きたいな。あまり時間なくて、ライブ会場と市街地ぐらいしか見る時間はなかったけど、最後の夕方だったかな。公園に行ったんだ。
──どこの公園ですか?
ハンネス:うーーーんと、どこだったかな。原宿だったかな。
──そのあとFrontiers Music Srlと契約。翌年2016年にデビューアルバム『For Crying Out Loud』が発売になり、セカンドアルバム『Carnival Days』が今年2月に発売になったとこですが、このセカンドアルバムはプロデューサーにPer Aldeheimを迎え、スウェーデンのストックホルムでレコーディングが行われましたが、なぜ彼をプロデューサーに選んだのですか?
ハンネス:プロデューサーを誰にするかってことで、ネットで探してみたんだ。見つかった中でどのプロデューサーが一番いいかって話になって、彼が候補にあがり、実際にスウェーデンにいってどんな人か会ってみたんだ。そしたらすごくいいやつで、最初のデモセッションの後すぐに彼に決定した。そのあとデモのレコーディングを続けてアルバム分のデモをレコーディングした。
──ストックホルムにはどのくらい滞在したんですか?
ヨエル:最終的なレコーディングに入る前に5週間週末にストックホルムに行ったんだ。木曜にフェリーで行って、週末をそこで過ごして、週末ごとに2曲づつデモレコーディングをしていったんだ。それがプレレコーディングで、そのあと6月に最終的なレコーディングにはいった。
アナ:まず夏最初に4週間楽器のレコーディングをして、一度戻って、その後ハンネスが一人でいって2週間ほど滞在したかな。一度帰ってきて、また2週間ほどいってと、すべて合わせると最終的には最初のデモレコーディングをのぞいて、9週間から10週間ぐらいかかってるかな。
──そしてすべてがうまくいったってわけですね?
アナ:あぁ、素晴らしくね。
──ではあなた達のニューアルバム『Carnival Days』はどんなアルバムなのか表現してもらえますか?
ヨエル:バラエティに富んでて、とてもビッグに聴こえる。強力な曲を作ったし、自分達で思うのに、うまくできたと思う。
ハンネス:バラエティ豊か。特定のものにとらわれずいろんな要素を取り入れた。
アナ:1stアルバムに比べたら、自分たち独特のものは変わらず入っているが、前回より良い形になってはいってる。そしてバラエティに富んでいて、すべての面においてよい意味で1stより大人になったアルバムだ。
──あなた達メンバーの中で曲は誰が作るのですか?
ハンネス:全員。曲のアイデア、メロディやリフ、リズムなど誰かが思い浮かんだら、それを練習しながら曲にしていくんだ。だから曲が自分たちのものに聴こえる。なぜなら皆が参加してるから。普通ロックバンドでよくあるのは一人か二人がメインに曲を作る場合が多いんだけど、俺たちの場合は皆が参加している。
──では歌詞は誰が書いてるんですか?
ハンネス:このセカンドアルバムはミキと俺とで書いた。ミキはとっても才能あるやつなんだ。それからプロデューサーのPer Aldeheimも加わってる。
──セカンドアルバムからの1stシングル「Harder to Breathe」はとってもお気に入りの曲なんですが、この曲について話してもらえますか?ミュージックビデオも気に入ってます。
ハンネス:お、気に入ってくれた?あのビデオはヨエルとミキのビジョンをもとに作ったんだ。ヨエルが編集もしてる。
──ヨエルがですか?
ハンネス:あぁ、そうだよ。彼が撮影もしてる。すべてやってるんだ。それは俺たちバンドの強みでもある。他のバンドにはめったにいないと思うから。
──じゃこの曲について話してもらえますか?
ハンネス:このアルバムには2曲重い曲があって、その一つがこの曲なんだ。歌詞を読んでみるとわかるように、付き合ってるカップルの思いみたいなものが書かれてるが、それ以上は言わないでおく。聴いた人がそれぞれに解釈してくれたらいいと思う。他に音楽的なことについて何か加えたいことある?
アナ:最高に素晴らしい!
ヨエル:重いヘヴィーな曲をベースに、美しいメロディのハンネスのヴォーカルが重なっていて曲としていい出来になっている。最初のシングルとして選んで正解だったと思う。今のところラジオオンエアーとかフィンランド国内を考えた場合この曲にしてよかった。
ハンネス:それからHIMの影響もとても受けている。俺たちみんなHIMが好きなんだ。フィンランドのバンドの中では一番だと思うし。例えばピアノを取り入れたりとかね。
──最近のフィンランドの音楽情勢をみていると、歌詞が英語の国内バンドはまず国外にツアーにでてキャリアを積まないと国内であまり注目されないように思うのですが、、、
ハンネス:あぁ、全くその通り。
ヨエル:うん。その通りだ。今のフィンランドでは歌詞がフィンランド語の音楽のほうが簡単に人気がでるので、そうじゃなきゃまずどこかでベースになるものを作って、俺たちはビッグバンドなんだって見せつけてはじめてフィンランド国内でも気づくって感じだ。歌詞が英語のフィンランドのバンドはラジオオンエアー率も低いし、メディアでもあまり注目されない。ビッグになるまではね。
──あなた達はHard Rock Rising 2014 でフィンランド代表になりカナダのトロントに行き、国内のWacken Metal Battle 2015 でも優勝してドイツのWacken Metal フェスにも出演、さらにはLordiやBrother Firetribeとのヨーロッパツアーもやりましたね。
ハンネス:トロント公演は俺たちにとって新しいメンバーで初めての国外でのライブだったという点でとても重要なライブだったと思う。練習にもなったし。
ヨエル:ロックバンドのツアーに触れる初めての体験。5日間同じ奴らと一緒に過ごすというツアー経験をして、うまくいったし今でもうまくいってる。最終的にはライブ自体よりも現地に行ったことのほうが重要な体験になったと思う。
ハンネス:そしてWackenはかなり独自の経験になった(笑)。伝説のフェスで、オーディエンスを盛り上げるため友達も同行したんだ。嵐の吹き荒れる中(笑)。寒いのに加えて稲光!でもそんなものは俺たちフィンランド人にはなんともなかったよ。大雨の中三夜テントで寝たんだ。
アナ:それはいい経験になった。俺たちの中で軍隊にいったのはたった一人しかいないので、残り4人はそんな大雨の中テントで寝るなんて経験をしたことなかったからね。
──軍隊に行ったのは誰だったんですか?
ハンネス:ミキ。海軍に行ったんだ。
アナ:Wackenに出演したのも2015年で、まだEP『Be The Slave Or Be The Change』しか発売になってなかったけど、いろんな経験ができ俺たちにとって初めてのビッグな年だった。
──その後でLordiやBrother Firetribeのサポートでヨーロッパツアーもしましたよね。では国外ツアー中のハイライトはなんでしたか?
アナ:ハイライトを選ぶのはとっても難しいよ。特にLordiとは7週間一緒にツアーして、小さなキャンピングカーで、メンバーみなインテンシブに密着しあってて、あのツアーは一生忘れることはないだろうな。とにかく素晴らしい経験ができて、その中から何か一つを選び出すってことは難しいな。ヨーロッパを旅行できて、さらにロックをプレイできるなんてとってもクールだったよ。
──じゃ反対に悲惨な経験とかはありますか?
ハンネス:それよく聞かれるんだけど、そんなことあったかな。
アナ:俺たちハッピーゴーイングのやつらだから特にないな。
ヨエル:誰も死んでないし(笑)。すべてうまくいったよ。
──この後の今年の予定は?まずヘルシンキでアルバムリリースライブで、そのあとトゥルク公演もありましたね。夏はフェス出演かな?
ハンネス:夏は今のところTuskaフェスにRockfest、秋にイギリスがはいってて、予定ではどこかでフィンランドツアー、国外ツアーもあると思う。ヨーロッパと他に希望では南アメリカとアジア。実現するかどうかはまだわからないけど、計画はいろいろ立ててる。
──来日の予定は?
ハンネス:今のところまだないけど、来週にでも行きたいよ(笑)。
──再来日が実現できたらどこか行きたいとこはありますか?
ハンネス:俺はとっても美味しい寿司屋に行きたい。それからどこか公園!俺自然が大好きなんだ。
ヨエル:富士山?
ハンネス:おー、そうだ。そうだ。富士山行かなきゃ(笑)。
アナ:富士山でライブするってのはどうだい?
ハンネス:あぁ、俺たち富士山でライブする初めてのバンドになるかもな(笑)。
アナ:Shiraz Lane 20120年富士山の頂上でライブ!
ヨエル:俺は単純な希望で、渋谷の交差点のそばに橋があって、その下にあった小さなレストランにまた行きたい。自動販売機で食券を買うと、料理がでてきて、あれよかったな。
アナ:チェーン店だったと思う。
──どんな料理のレストランだったのですか?
ヨエル:すごく小さいレストランで、牛肉とごはんと豆らしきがでてきた。すごくおいしかったので、また行きたいな。
ハンネス:それからポカリスエットを飲みたい。10万リットルぐらい(笑)。
最後にメンバー全員からBARKSの読者に映像メッセージです。
そのセカンドアルバム『Carnival Days』のアルバムリリースライブが3月3日ヘルシンキのNosturiで行われました。開場後10分ぐらいしてからついてみると入場を待つ長い列が。フィンランドのライブ会場はアルコール販売の関係で、18歳未満の未成年者が入れる会場が少ないのですが、このNosturiは1階の後ろと2階がお酒を飲める18歳以上エリアとして区切られていて、未成年者も入れる数少ない会場。外に長い列ができてたわりには中に入るとステージ前はゆるーく3列ぐらいしか人がいない。多くはお酒が飲めるエリアにいて、入ったらまずはお酒を飲む(笑)!そこはすごくフィンランド!ライブが始まる頃には前にも人が詰まってきて、ヘルシンキのお隣ヴァンター出身ということもありほぼ地元。「お前らNo1バンドだ!」「サイコー!」などと歓声が飛びライブは盛り上がりました。ヴォーカルのハンネスはかなりのハイトーンヴォイスでよくとおる声の持ち主。さらにショーマンシップにもあふれてて、観客とコンタクトをとりライブに引き込まれる感じ。とにかく若いエネルギーに満ちあふれてる!前回2年ほど前に観たときより、パフォーマンスも演奏もぐっと上達した印象を受けました。同時にニューアルバムもかなり成長を遂げた印象を受けました。
プレリスニングパーティの時に一人で来ていたファンの隣に座り声をかけてあげてたメンバーもいたり、犬を連れてきてたファンの犬と戯れたり、両手を広げてハグしてまわってたメンバーもいたりと、ファンサービスもたっぷり。ライブ会場でも物販の壁に、ライブ後ここでミート&グリートを行うことが書かれた紙が貼られてました。バスの時間があったため最後まで観ることができなかったので参加はできませんでしたが、発売になったばかりのニューアルバムを会場で買って帰ったらサイン入りだったりと、ここでもファンサービスたっぷり。
この後スウェーデンのストックホルム、春にはフィンランド国内公演、夏はフィンランド最大のメタルフェスTuska Open AirやThe Rockfest出演、秋にはUK公演も決まっています。どこかで観る機会があればぜひ行って観てください。
ベースのヨエルが撮影と編集したという『Carnival Days』からの1stシングル「Harder to Breathe」のミュージックビデオがすごくカッコいいので要チェック!こちらです。
インタビュー・文・写真:Hiromi Usenius
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