【ライブレポート】ハリー・スタイルズ、初ソロ・ツアーで示した新たなダイレクション

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ハリー・スタイルズ初のソロ・ツアー<HARRY STYLES LIVE ON TOUR>の今年最後の公演が、金曜日(12月8日)東京・EX THEATER ROPPONGIで開かれた。

◆12月8日東京公演 画像

9月にアメリカでスタートしたこのツアーは2018年も引き続き開催され、5月に再び日本公演も行なわれるが、来年の会場はアリーナ級になるため、劇場やクラブで開かれた今年の公演はハリーやそのパフォーマンスを間近で目にできる貴重な機会となった。

会場の規模もさることながら、ギターを抱えたハリーのシルエットが紗幕に浮かび上がった瞬間から、ワン・ダイレクション時代とは異なるショウになるのは明らかだった。真っ赤なスーツ姿で登場したハリーは、新しいサウンドと表現スタイルにより、クラシックで粋な“ロック・スター”の一面を披露した。

ヴォーカル・パフォーマンスにおける彼の実力はすでに証明されているが、ソロとなったことで、その幅やヴァリエーションの広がりを再確認させた。低音が際立つ「Two Ghosts」、ハスキーなヴォーカルが光る「Sweet Creature」……、ワン・ダイレクションというバックグラウンドがなく、いまデビューしたばかりだったとしても新しい才能として注目されていたのは間違いない。

セットリストは、英国・アメリカをはじめ世界各国で1位に輝いたデビュー・アルバムの収録曲を中心に、ワン・ダイレクションの「Stockholm Syndrome」「What Makes You Beautiful」、アリアナ・グランデのために書き下ろした「Just A Little Bit Of Your Heart」、フリートウッド・マックの「The Chain」のカバーがパフォーマンスされた。


これは、この数ヶ月定番のセットリストだが、この夜、今年最後の公演ではサプライズも……。ハリーはアンコール、ギターを抱え1人でバルコニーに姿を見せ、リトル・ビッグ・タウンの「Girl Crush」をマイクなしで演奏するという特別なモーメントをプレゼントしてくれた。ソロ・アーティストとしての自信がうかがえるパフォーマンスでもあった。

ショウの内容やサウンドはワン・ダイレクション時代とは全く異なるものだったが、ハリーがチャーミングなところは変わらず、「ただいま」「がんばりまーす」「日本に住みたい」「帰りたくない」などお茶目な日本語のMCに加え、「今夜は今年最後のショウになる。ツアー最後は日本で迎えたかった」と話し、日本のファンを喜ばせた。

また、キーボード/バック・ヴォーカリストとしてバンドに参加する日系の女性メンバー、Clare Uchimaさんから、彼女がハリーと初めて会ったときの逸話──ランチの後、ハリー自らがみんなのお皿を片付け始めたなど──も明かされた。ハリーは裏方であるスタッフやクルーへの感謝の言葉も忘れず、相変わらず謙虚で礼儀正しく、ファンは彼が愛される理由をあらためて認識したことだろう。

そして、オーディエンスと一体感があり、温かい雰囲気のショウは、ハリーから与えられたものばかりではなかった。ラストでは、ホールのあちこちから「THANK YOU FOR THE AMAZING FINAL SHOW(素晴らしい最後のショウをありがとう)」と書かれた紙が掲げられ、日本のファンからの愛と感謝はハリーにもしっかり伝わったはず。

次回はこれほど小さな会場ではなくなるが、彼の才能と新しいダイレクションがどう展開していくのか、次はどんな姿が観られるのか楽しみだ。


12月8日EX THEATER ROPPONGI公演のセットリストは以下のとおり。

Ever Since New York
Two Ghosts
Carolina
Sweet Creature
Only Angel
Woman
Meet Me In The Hallway
Just a Little Bit of Your Heart (アリアナ・グランデ カバー)
Stockholm Syndrome (ワン・ダイレクション)
What Makes You Beautiful (ワン・ダイレクション)
Kiwi

アンコール
Girl Crush (リトル・ビッグ・タウン カバー)
From The Dining Table
The Chain (フリートウッド・マック カバー)
Sign of the Times

Ako Suzuki
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