【インタビュー】YUKIYA [Kαin]、充実と葛藤の10年を語る「当日何をどう話すか、大きな課題です」

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■存続させたい気持ちはありますけど
■後輩の人生に負担をかけさせたくない

──そうですよね。それと気になるのは11月25日に赤坂BLITZで開催されるツアーファイナル<活動開始10周年記念公演「to the end of time」>のタイトルなんです。

YUKIYA:これは願望ですね。“to the end of time”には“いつまでも”という意味があるので、“ずっと続いたらいいな”という想いで付けました。Kαinのギタリストであり、サブボーカルをとっているSHIGEはENDLESSというユニットでメインボーカルをとってギターを弾いているんですけど、ENDLESSは年明け1月27日のワンマン公演<ENDLESS ONE MAN GIG「The sky is the limit -Final Chapter-」>を最後に無期限で活動休止することを発表しているんですね。ライブ活動から一線を退きたいというSHIGEの意向によるものなんですけど、それに伴って今後Kαinの活動が難しくなると思うんです。

▲<結成10周年記念名阪ワンマンツアー「by the end of the decade moon」>

──Kαinのライブに参加できなくなるかもしれないということですか?

YUKIYA:インタビュー冒頭で、「メンバーはバンド以外の仕事で生計を立てている」という話をしましたけれど、お互いにプライベートなことも含めての付き合いなので、SHIGEが今、人生の中で大事な時期だということも知っているし、止められない部分があるんですよね。

──そうなんですね。

YUKIYA:なので、事務所やメーカーがついているバンドであれば、赤坂BLITZのライブの前に何らかの発表をするべきだと思うんですけど、僕ら自身が結論をちゃんと出せていないんですよ。メンバーとも「今日こそライブの後にちゃんと話そう」と思うんですけど、「もう少し酔ってから」と思っている内にお互いにベロベロに酔ってしまうという。

──切り出すタイミングが掴めないんですね。

YUKIYA:たぶんSHIGEもそうなんですよね。「今までのようにライブ活動をすることが難しくなるかもしれない」とは前から言われていましたし、仕事の内容や国外にいることが多い状況も理解しているし、後輩の人生ですからね。だから、正直、毎日自問自答して悩んでます。例えば「1年に1回だけでもライブやろうよ」って言ったら、SHIGEは「わかった」って言って、海外にいてもその時だけ戻ってくると思うんですよ。メンバーとしては存続させたい気持ちはありますけど、20年以上付き合ってきた後輩の人生に負担をかけさせたくないですから。

──葛藤している真っ最中なんですね。

YUKIYA:そうですね。このインタビューの前半では商業ベースでやってこなかったバンドの良い面をお話ししましたけど、メンバーが音楽を生業として生きていない以上、プロ意識をめちゃめちゃ持っていたとしても、規模がどんなに大きくなってもそれは趣味だと考えるべきなのかなと。SHIGEとは「オヤジがそろそろ定年でさ」みたいな話もするんですよ。2人とも長男なので、将来、一緒に住むかどうかとか。

──そういう現実にも向き合わないとならなくなりますものね。

YUKIYA:そうなんです。親がいなかったら自分は存在していないし、家族あっての自分じゃないですか。僕らメンバーはちょっと関係が近すぎるのかもしれないけれど、それが今、バンドが抱えている問題ですね。「これが最後になるかもしれない」って常に思っているから、ライブがいいのかもしれないですね。

▲<活動開始10周年記念公演「to the end of time」>

──ということはファイナルの赤坂BLITZで何らかの発表をするんですか?

YUKIYA:はい。お客さんに何らかの形で伝えないと、とは思ってます。正直、それ以降は全くライブをブッキングしていないんです。

──Twitterでも「BLITZは生涯忘れられない日になるだろう」と書いていらっしゃいましたよね。

YUKIYA:美意識なところで言えば、これ以上ない区切りになると思ってます。僕ら全員、10年続いたバンドをやったことがないので。当日、お客さんに何をどう話すかは、大きな課題です。

──今回のツアーではライブの代表曲のひとつで未正式販売楽曲である「葬」のCD+DVD2枚組をライブ会場やCD SHOP等で全国無料配布しているとのことですが、「葬」というタイトルも含め、いろいろ繋げて考えてしまいます。

YUKIYA:今、バンドの状態がすごく良いので、やり残したくない気持ちはあって、そのひとつが音源制作だったりもするんです。僕はアナログのレコードからCDに切り替わる様を中学生で経験した世代なので、コンパクトなCDがすごくキラキラ見えて、レコードもCDも宝物だったし、音源こそが作品だという気持ちが強いんですけど、その一方でそもそも音楽は形のないものだったな、とも思うんです。

──音楽の始まりまでさかのぼっていくと?

YUKIYA:ええ。昔の方がきっと音楽をどうにか形に残そうと楽譜というものを考えて、でも、それだと音楽的知識や楽器がないと再現できないから、音を記録することに繋がっていったと思うんですけど、本来は記録じゃなく記憶に残すもの。その歌や演奏する熱量を感じて、心の中にあるものが音楽なんじゃないかって。このメロディや歌詞を50年覚えてくれている人がいたら、人間が一生を賭けてやったひとつのこととして誇れるんじゃないかとも最近、思うんですよね。少し前は形に残すってことに捉われていて、もちろん今も残したい気持ちはあるんですけど、本当の意味での音楽やバンドの価値はそこじゃないなって。音源になっていない曲を大合唱してくれている景色を見て、名古屋では“これが音楽だ”っていうのをちょっと掴めた気がしたんです。

──今日は本当に現在進行形のリアルなYUKIYAさんの話がたくさん聞けました。最後にBARKS読者に赤坂BLITZへ向けてメッセージをお願いします。

YUKIYA:当日はCDになっていない曲もたくさん演奏すると思いますが、初めていらしても音楽やバンドサウンドが楽しめるライブだと思うので、興味を持っていただけたら、ぜひ。俺たちは本当の意味でのインディーズのロックバンドだと思っているので、足を運んでいただけたらと思います。

取材・文◎山本弘子



■<活動開始10周年記念公演 「to the end of time」>

2017年11月25日(土)東京・赤坂BLITZ
▼券種
・特典付チケット:¥8,000-(税込) ※全席指定 ※ドリンク代別途必要 ※TMFRメルマガ会員優先販売
・一般チケット:¥5,000-(税込) ※自由席(入場整理番号付き) ※ドリンク代別途必要 ※一般発売(プレイガイド)のみ
・一般当日券:¥5,500-(税込) ※自由席(入場整理番号付き) ※ドリンク代別途必要
※未成年者は身分証提示で入場時に全額キャッシュバック。対象席種は一般チケット・一般当日券
【先行予約】
受付席種:特典付チケット:¥8,000-(税込) ※全席指定 ※ドリンク代別途必要
藤田幸也オフィシャルサイト『Yukiya.Tokyo』のメールマガジンにて受付URLを発表
http://yukiya.tokyo/net-dm/
【一般発売】
11/5(日)〜 ※販売席種:一般チケット¥5,000-(税込) ※ドリンク代別途必要
(問)NEXT ROAD 03-5114-7444



■CD+DVD2枚組「葬 -so-」

2017年10月14日(土)~
※ライカエジソン全店 (東京、原宿、名古屋、大阪、全4店舗&通信販売)で全国無料配布
KZCD-029 CD+DVD2枚組
※YUKIYAデザインによるオリジナルサイズの見開き紙ジャケット仕様
作詩作曲:YUKIYA 編曲:SANA+YUKIYA+Kαin
REC&MIX:ATSUSHI MASTERING:SHIGE

■<結成10周年記念名阪ワンマンツアー「by the end of the decade moon」>
2017年11月12日(日)大阪・北堀江club vijon



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