【インタビュー】YUKIYA [Kαin]、充実と葛藤の10年を語る「当日何をどう話すか、大きな課題です」

ポスト

YUKIYAこと藤田幸也 (ex. D≒SIRE / JILS)がSHIGE (ENDLESS / ex. D≒SIRE)らと結成したKαinが結成10周年を迎え、11月25日に<活動開始10周年記念公演「to the end of time」>と題したワンマン公演を赤坂BLITZで開催する。

◆Kαin 画像

長年のパートナーであるSHIGEが2018年1月27日のMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREワンマン公演を最後にENDLESSを無期限活動休止することを発表。Kαinの今後の動向に注目が集まる中、YUKIYAが生々しい言葉で語ってくれたのは今の心境と葛藤だ。20年以上のキャリアを持ち、V系シーンに影響を与えて続けてきたソングライターにしてヴォーカリストがピュアに音楽に向き合ってきたからこその想いが、言葉になって溢れ出たロングインタビューをお届けする。

   ◆   ◆   ◆

■今がいちばんバンドの状況もいいのかな
■’90年代のような打ち上げが続いてます(笑)

──D≒SIRE、JILSを経て結成したKαinはYUKIYAさんにとって「原点回帰のバンド」だと以前おっしゃっていましたが、そのバンドが結成10周年を迎える今の心境を教えてください。

YUKIYA:Kαinは5年以上活動していた2つのバンドを経て始めたので、最初はユニットのような形でも好きな音楽ができればいいと思っていたんです。なので、メンバーとの関係性がバンドっぽくなるとも想像していなかったし、10年続くなんて思ってもみなかったですね。

▲YUKIYA(Kαin)

──そうだったんですか。

YUKIYA:前にやっていたJILSは8年ぐらい続いたんですけど、インディーズではあったものの、バンドの収益でメンバーが生活していたので、ある程度、商業的なことを考えて「そろそろシングルを出さないとな」とか、年間スケジュールを立てていたんです。収益を上げていかなきゃならなかったので、そこから離れたかったのも解散の理由のひとつでしたね。Kαinは作る音楽も自分の趣味に近いし、活動のペースも含めて、簡単に言うと好き勝手にやって、結果、長く続いたので。

──今、話していただいたように、活動のスタンスやバンドの在り方が違ったことは大きかったんですか?

YUKIYA:そうですね。ざっくり言うとJILSを解散した時点で自分は引退した気分だったというか、ビジネスとしても成り立つように音楽を頑張るというところからは身を引いたつもりでした。Kαinは最初、地元の後輩でメンバーを固めたんですが、3年ぐらい出来たらいいなって。

──3年を軽く超えてバンドが続いた要因は何だったと思いますか?

YUKIYA:こういう言い方をするとまた波紋を呼ぶかもしれないですけど、全く大人が関わらなかったのが良かったのかなと。D≒SIREもJILSもメンバーだけで活動していたら幸せだったのかもしれないですけど、幸か不幸か動員が増えてきて外部の大人たちが関わるようになってからメンバーの歯車が狂ったところがあった気がするんですね。Kαinのメンバーは音楽以外の仕事で生活が成り立っているので、それが良かった気がします。変な話、10年経ってこんなにメンバーと仲がいいと思っていなかったですし、今がいちばんバンドの状況もいいのかなと。いい歳して未だに‘90年代のような打ち上げが続いてますし(笑)。

──朝までコースで飲んでいるんですか?

YUKIYA:はい。覗きに来たライブの関係者が「やべえ」って帰るぐらいなので。

──お店の中で潰れているメンバーあり、みたいな光景が。

YUKIYA:覚えているヤツがいないみたいな飲み方を今もしているので、身体的にはどうかなと思いますけど(笑)、精神的には幸せなのかなと。翌日、スマートフォンを見ると写真がたくさん残ってるんですけど、記憶にないんですよ。でも、見ると果てしなく幸せそうなんです。この歳になって、そんなに楽しくやれてるなら、このバンドは成功だったんじゃないかと思うぐらい。20年以上、一緒にやっているギターのSHIGEともよく話すんですけど、現実的なことに縛られなかったのは良かったですね。年間の活動の中でメンバーが最も重要視しているのは各自の誕生日ライブだったりするので(笑)。

▲YUKIYA(Kαin)

──先ほどメンバー間の関係がバンドっぽくなっていったという話をされていましたが、何かキッカケはあったのでしょうか?

YUKIYA:いくつかターニングポイントはあったんですけど、Kαinのような活動はともすればダラダラしてしまいがちなところがあるので、「このまま次のスケジュールを僕が切らなければ消滅してしまうのかな」と思った時期があったんですよ。そうしたら、他のメンバーも同じようなことを感じていたのか、リハーサルがない時でもスタジオに入って制作したり、特に用もないのに年が明けた1月2日からSHIGEに「寿司食いに行こう」って全員呼び出されたり(笑)、3年ぐらい前から集まる機会が増えたんですよね。それ以降からライブもやればやるほど良くなっていって、僕のTwitter以外では告知していない状況にも関わらずコンスタントにライブをやれるぐらいお客さんも集まってくれるようになったんです。

──なるほど。

YUKIYA:それと、一般的にライブって最前列のほうはウワーッてなってても、後ろのほうの人たちは比較的おとなしかったりすることが多いと思うんですけど、Kαinではライブハウスで目が届く範囲の中に盛り上がっていない人がほとんどいないんですよ。99%場内がアガっているから熱量が高くて、昔のように「うまく伝わらないな」ってもどかしい気持ちになることがまずないんです。そうなると自分たちも気分が良いから、ライブが終わると「飲みに行くか」って。

──メンバーがガチッと固まるタイミングがあったんですね。

YUKIYA:徐々にだと思いますけどね。ウチのメンバーってオタク気質でDTM (Desk Top Music)に強いんですよ。だから、機材を買う時も「いちばん上のグレードを狙って購入しないとダメだ」みたいな空気があって、誰かが新しい機材を導入すると音質が上がるので、ほかのメンバーも負けじと自分のサウンドをより良くしていくんです。ギターのSANAは曲が増えるたびにエフェクターが増えていくので、今ではエフェクターボードが1人では持てない重さになってる(笑)。そのせいで全く面識のないエフェクター会社の方から連絡が来るようになったり。

──お話を聞いていると充実した気持ちで迎える10周年ですね。

YUKIYA:ライブは誰に見ていただいても恥ずかしくないと言えるぐらい、今、自信がありますね。メンバー全員そう思ってるんじゃないかと。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報